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米ウッドロー・ウィルソン国際学術センターウェブマガジン「New Security Beat」に共著記事が掲載されました

2021.03.01

笹川平和財団海洋政策研究所(東京都港区 所長:角南篤)は、沿岸都市における気候変動と海洋に関わるリスクへ取り組みとしてスティムソン・センター (米国ワシントンD.C 所長:ブライアン・フィンレイ)との共同研究プロジェクトを2019年度から実施しています。この研究では、スティムソン・センターが開発した「気候・海洋リスク脆弱性指標(Climate Ocean Risk Vulnerability Index: CORVI)」を用いて、沿岸都市のリスク評価に取り組んでいます。2021年現在、アジア太平洋地域、カリブ海地域、東アフリカ地域で合計7都市のリスク評価を実施しています。 2021年1月、研究プロジェクトの詳細について、米ウッドロー・ウィルソン国際学術センターが運用しているウェブマガジン「New Security Beat」に記事が掲載されました。

【要旨】
気候変動の深刻化に伴い、沿岸都市は様々なリスクに直面している。これらのリスクは都市が持つ既存の社会的、経済的、政治的課題と相互に関連し、沿岸地域の持続可能性に深刻な影響を及ぼしていると考えられる。スティムソン・センターが開発し、笹川平和財団海洋政策研究所との協働で世界各地の沿岸都市に展開している「気候・海洋リスク脆弱性指標(CORVI)」研究は、現在および将来の気候変動影響によってもたらされる脅威を多角的に分析し、複雑な気候リスクの影響を統合的に評価する取組である。
気候変動に対して脆弱な低・中所得国の多くは、質の高いデータを収集する能力が十分に備わっていないことが課題となっている。一方、リスクに対して早期にレジリエンスを強化するために、政策決定者やビジネスセクターは意思決定のための情報を必要としている。このギャップを克服するために、現地の専門家による調査データと既存の実証データを組み合わせ、沿岸都市における気候変動リスクの評価を可能とするCORVIが開発された。CORVIの評価指標は、生態学的リスク、財政的リスク、政治的リスクという分類の下、10のカテゴリーが設定され、さらに細分化された100の指標が設けられている。この指標を活用し、各沿岸都市で優先的に対処すべきリスクを特定し、政策的な解決策の設計やレジリエンス強化にむけた気候関連資金の調達にも寄与することが期待される。

記事本文は「New Security Beat」のウェブサイトにて御覧ください。
原題:Jack Stuart, Sally Yozell, Miko Maekawa & Nagisa YoshiokaThe Climate and Ocean Risk Vulnerability Index: Measuring Coastal City Resilience to Inform Action」2021年1月26日掲載

(文責:海洋政策研究所研究員 吉岡渚)

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