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米スティムソン・センターと「気候変動と海洋リスク」に関する共同研究を立ち上げました

2019.07.23

笹川平和財団海洋政策研究所(東京都港区 所長:角南篤)は、気候変動と海洋に関わるリスクへの新たな取り組みとしてスティムソン・センター (米国ワシントンD.C 所長:ディビッド・レーン)との共同研究を2019年度から開始し、7月11日にワシントンDCで第一回ワークショップを開催しました。スティムソン・センター(正式名称:ヘンリー・L.・スティムソン・センター)は安全保障問題に関する研究や提言で実績を有する米国のシンクタンクであり、約30年の歴史を持つ米国で最も影響力のある研究機関の一つです。

近年、気候変動の深刻化によって、開発途上国および世界の都市では経済・社会・環境的な脆弱性が高まり、特に沿岸域では、海面上昇や気象災害などによって人々の移転やインフラへの損害などが顕在化しています。さらに、違法・無報告・無規制(IUU)漁業などの問題も生じており、食料安全保障や健全なガバナンスに関わるリスクや懸念も高まっています。本研究では、米国のスティムソン・センターと海洋政策研究所と共同で「気候変動と海洋リスク」をテーマに研究を実施します。アジア太平洋、カリブ海、東アフリカ、中東の4地域から、海洋政策研究所は、特にアジア太平洋地域から複数の沿岸域の大都市を選定し、気候変動による災害や海面上昇、移住、産業への影響、ひいては安全保障上の課題などについて「リスク予測マップ」を作成し、政策提言につなげます。特に、スティムソン・センターが開発した「気候変動・海洋リスク脆弱性指標(CORVI)」を用いて分析を行い、これらの情報が、地域住民や政策決定者、さらにビジネスや投資家への意思決定に資するよう、情報提供するとともに様々なレベルで研究成果を発信し働きかけます。

本研究については、2018年10月にインドネシア・バリで開催されたアワーオーシャン会議(Our Ocean Conference)においても、笹川平和財団海洋政策研究所による海洋分野での新規の貢献として発表されました(*)。


*同会議での角南篤所長によるスピーチ(英文)についてはこちらをご参照ください。


Stimson Center 1

角南篤 海洋政策研究所長(前列右から2番目)およびサリー・ヨゼル スティムソン・センター環境安全保障グループ長(前列中央)ならびに研究チームメンバー


Stimson Center 2

スティムソン・センターによる研究プロジェクト紹介(詳細についてはこちらをご参照ください)


2019年7月11日(木)の第一回ワークショップでは、海洋政策研究所 角南篤所長、サリー・ヨゼル スティムソン・センター環境安全保障グループ長ら合計12名が参加し、研究手法や対象の絞り込み、現場の政策的ニーズなどについて議論しました。海洋政策研究所からは前川美湖 主任研究員および黄俊揚 研究員が太平洋諸島を中心とした海洋リスクに関連する既存の研究活動について紹介し、田中元 研究員および吉岡渚 研究員が、フィジーを中心にCORVIによる海洋リスク分析の可能性と展望について発表しました。研究を進める上での課題や方向性が明らかになり、有意義なワークショップとなりました。今後は研究成果を2019年のアワーオーシャン会議や2020年の国連海洋会議などの場で発信できるよう関係機関と連携しながら研究活動を進めて参ります。


Stimson Center 3

ワークショップの様子


Stimson Center 4

ブライアン・フィンレイ スティムソン・センターCEO(左)、サリー・ヨゼル 環境安全保障グループ長氏(右)と角南篤 笹川平和財団海洋政策研究所長(中)


(海洋政策研究部研究員 吉岡渚)


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