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【開催報告】インディベンデント・ユニバーシティ・バングラデシュとの「気候変動と海洋リスク」に関する共同研究キックオフミーティング

2020.10.30
2020年10月7日(水)に笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI-SPF)は、バングラデシュのインディベンデント・ユニバーシティ・バングラデシュ(IUB)と、海洋・気候変動リスク脆弱性指標(CORVI)を用いた共同研究のキックオフミーティングをオンラインで開催しました。(同研究の詳細については、こちらをご参照ください)。
キックオフミーティングの様子写真

キックオフミーティングの様子

キックオフミーティングでは、当該調査プロジェクトリーダー兼コーディネーターであるエマデュル・イスラム博士の司会の下、活発な議論が行われました。
エマデュル・イスラム博士写真

エマデュル・イスラム博士

まず冒頭で、IUBビジネス・アントレプレナーシップ校学部長 サワール・ウディン・アハメド教授が歓迎の意を表しました。アハメド氏は、大学は現存の知識を伝えるだけでなく新たな知識を創造する場であり、今回のCORVI調査はIUBにとり、後者の意味で重要な機会であると強調しました。また、気候や海洋リスクに対して脆弱なバングラデシュにとり、この調査は同国の人々の生存そのものに関わる重要な研究であるとの指摘がなされました。

次に、IUB副理事長 ミラン・パゴン教授から、このような国際的な共同研究は、様々な国と研究を実施しているIUBにとり歓迎するべき取組であること、さらに、10月6日(火曜日)に開催された「バングラデシュとその内陸および沿岸の近隣諸国にとってのベンガル湾の地域的重要性」と題したウェビナーとの関連性についても触れ、海洋と気候変動のリスクについて扱うCORVI研究の意義は大きいとの発言がありました。また、コロナ禍ついても言及し、このような状況を克服するための科学的データに基づく意思決定の重要性について強調し、まさにCORVIのようなデータに基づく調査研究が必要であると指摘しました。
サワール・ウディン・アハメド教授(左)、ミラン・パゴン教授(右)写真

サワール・ウディン・アハメド教授(左)、ミラン・パゴン教授(右)

笹川平和財団海洋政策研究所から、前川美湖主任研究員が、海洋政策研究所の紹介、CORVI調査の概要などについて説明しました。次に、バングラデシュにおけるCORVI研究の海洋政策研究所側の担当者である田中元研究員から、CORVIの分析手法や先行して行っているフィジーでの研究の中間成果、バングラデシュにおける調査計画について発表しました。
前川美湖主任研究員(左)、田中元研究員(右)写真

前川美湖主任研究員(左)、田中元研究員(右)

次に、バングラデシュのCORVI研究チームのアドバイザーであるダッカ大学開発学学部 ニアツ・アハメド・カン教授より、バングラディッシュでのCORVIの調査は戦略的に重要であること、同国では2014年にはベンガル湾の領有権を巡ってインドと対立が続いていた25,602平方kmの海域のうち、バングラデシュが19,467平方km の海域を確保したことが述べられ、同国での海洋の重要性が増しているとの指摘がなされました。CORVI研究が、現在のバングラデシュ政府の意思決定に寄与する可能性が十分にあるとのことでした。研究成果の多くは、政府の意思決定に活用される機会は稀ですが、CORVI研究のように政府の意思決定者のニーズを意識して構築されるツールであれば、政府レベルでの利用、ひいては同国におけるブルーエコノミーの発展に貢献する可能性があるとの展望が語られました。また、研究対象地域であるチッタゴンは、バングラデシュのいわば「玄関口」であり、CORVIはその意味でも具体的な貢献となり得るとのことでした。

笹川平和財団理事長・海洋政策研究所所長 角南篤博士は、日本とバングラデシュの共通の関心事項である海洋に関する調査を同国で開始することを歓迎しました。角南所長は、自身のバングラデシュでのこれまでの関わりについて紹介し、同国と日本の研究者間の交流の重要性、同国の海洋問題を分析する上でのチッタゴンの重要性について触れました。来年以降、是非チッタゴンを訪問し、同国の共同研究者らと直接対話することをとても楽しみにしていると締めくくりました。
ニアツ・アハメド・カン教授(左)、角南篤理事長(右)写真

ニアツ・アハメド・カン教授(左)、角南篤理事長(右)

IUBビジネス・アントレプレナーシップ校経済学部シャフリア・カビラ准教授からは閉会の言葉として、登壇者への謝意および共同研究への期待が示されました。
シャフリア・カビラ准教授写真

シャフリア・カビラ准教授

海洋政策研究所は、バングラデシュにおけるCORVI研究を約2年間かけて実施展開し、気候変動と海洋に関するリスクについての知見を広く共有するとともに、幅広い海洋問題についても理解を深め、発信してまいりたいと思います。
(文責:海洋政策研究所 海洋政策研究部 研究員 田中元)

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