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【開催報告】「ブルーエコノミーとブルーファイナンシング推進に向けた連携構築に関する国際会議と政策対話」をアジア開発銀行研究所(ADBI)と台湾国際協力開発基金(TaiwanICDF)と共催(フィジー・ナンディ)

2020.03.11

2020年は国連海洋会議などをはじめとする海洋分野の重要な国際会議が予定され、「海洋のスーパーイヤー」となることが期待されています。また、国連が2021年から2030年までの10年間を「海洋科学の10年」と位置づけるなど、持続可能な海洋の利用と保全への注目がますます高まる中、2020年2月25日から27日までの3日間、笹川平和財団海洋政策研究(OPRI-SPF)はフィジー・ナンディにてアジア開発銀行研究所(ADBI)、台湾国際協力開発基金(TaiwanICDF)と共に「ブルーファイナンシング推進に向けたイノベーション推進と連携構築に関する国際会議および政策対話」を開催しました。

前川主任研究員 Lee代表
Chuang副主任委員 Morgan研究副部長
海洋政策研究所前川主任研究員(左上)、駐フィジー台湾貿易事務局(TTO) Lee代表(右上)、 台湾海洋委員会Chuang副主任委員(左下)、アジア開発銀行研究所Morgan研究副部長(右下)による開会挨拶と報告の様子


本シンポジウムには、フィジー政府関係者、日本、豪州などアジア太平洋地域15カ国から研究者、行政関係者、太平洋地域機関の職員らが約50名が参加し、海洋に特化した経済「ブルーエコノミー」の振興に向けたファイナンスの在り方などについて議論を交わしました。吉野直行アジア開発銀行研究所所長のビデオメッセージで幕を開けた開会セッションでは、Peter Morganアジア開発銀行研究所研究副部長、Jessica C. Lee台湾貿易事務局(TTO)フィジー事務所代表と共に前川美湖海洋政策研究主任研究員が挨拶し、2020年は海洋にとって重要な国際会議が複数開催されることを強調し、持続可能な海洋資源の利用と保全に向けた革新的なファイナンシングへの期待の言葉を述べました。また、台湾海洋委員会のChing-Ta Chuang副主任委員(副大臣相当)が出席し、海洋プラスチックごみ対策に関する地域レベルでの官民連携に向けた提言を示すなど、政策に関する国際的な経験の共有と貴重な対話の場となりました。

Tirumala教授 吉岡研究員 Stuart氏
Artha博士 田中研究員 Voyerシニア研究員
左上から時計回りに、Raghu Dharmapuri Tirumala 教授(メルボルン大学);吉岡研究員(海洋政策研究所);Jack Stuart氏(Stimson Center);Rima Prama Artha博士(UNDP);田中研究員(海洋政策研究所);Michelle Voyerシニア研究員(ANCORS)


初日のプログラムは、4部で構成され、それぞれ「ブルーエコノミーと気候変動に対する適応」、「ブルーファイナンスメカニズム」、「海洋災害リスク管理とそのメカニズム」、「地域のブルーエコノミーと持続可能な開発目標(SDGs)」をテーマに最新の研究が発表されました。国連開発計画(UNDP)のエコノミストであるRima Prama Artha博士、Michelle Voyerオーストラリア国立海洋資源安全センター(ANCORS)シニア研究員などが登壇したほか、Jack Stuartシティムソンセンター研究員からは、海洋政策研究所と共同研究としてフィジーで実施している「気候変動と海洋リスク脆弱性指標(CORVI)」(参考:https://www.spf.org/opri/news/20190723.html)調査について発表し、シンポジウム参加者にも調査への協力を広く呼びかけました。海洋政策研究所からは、吉岡渚研究員がブルーファイナンシングのためのメカニズムについて、田中元研究員が北海道・道南地域を対象とした災害による海洋産業への影響と復興モデルに関するシミュレーションについてそれぞれ発表しました。さらに、メルボルン大学のRaghu Dharmapuri Tirumala教授による発表では、ブルーエコノミー関連プロジェクトの支援のための「ブルークレジットメカニズム」が提案されました。

Kolitagane事務次官 対話の様子1
Uusimaa気候変動専門官 対話の様子2
フィジー村落海洋開発省David Kolitagane事務次官とHanna Uusimaa気候変動専門官による基調講演および政策対話での活発な討論の様子。


最終日は、ブルーエコノミーに関する政策対話と題して、海洋産業の持続可能な発展のための戦略や、気候変動対策、インフラ整備といった視点で意見交換が行われました。フィジー村落海洋開発省からDavid Kolitagane事務次官は基調講演で、太平洋地域にとりエビデンスに基づいた研究成果が求められており、すべてのステークホルダーの協力が必要であると呼びかけました。またアジア開発銀行(ADB)からはHanna Uusimaa気候変動専門官が、ADBが実施する海洋分野での資金イニシアチブを紹介したほかメンバー国が民間セクターと連携して「バンカブル(融資可能な)」開発プロジェクトを行っていくことが重要であると述べました。海洋政策研究所黄俊揚研究員は開発銀行、民間セクター、NGOなどのステークホルダーが連携し海洋環境保全を効率的に推進していくための新たなブルーファイナンスのメカニズムを提案しました。そのほか、開催地であるフィジーをはじめとする島嶼国からの専門家の積極的な発言に触発され活発な議論が展開されました。とりわけ経済の中での観光業の重要性が高いアジア太平洋地域の島嶼国にとり、沿岸・海洋環境の持続可能性を基盤とした経済活動は、気候変動などのリスクが高まる中、ますます重要な課題となっています。このような政策や現場のニーズに対応するために、海洋政策研究所は、ファイナンシングの観点で、持続可能なブルーエコノミーのための経済活動や支援の在り方を探究し、本シンポジウムのような知識醸成の場、そしてパートナーシップを今後も強化してまいります。

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参加者記念撮影


(文責:海洋政策研究所 吉岡渚研究員)

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