News

新着情報
ニュース

バラスト水処理装置の開発とその賢い運用に関する講演会 (2011年09月22日(木))開催報告

2011.04.16
海洋政策研究財団は、平成23年9月22日に海洋船舶ビル10階ホールにおいて「バラスト水処理装置の開発とその賢い運用に関する講演会-G2、G8およびG9への対応と国内外処理装置の最新情報-」を開催しました(レジメ)。バラスト水処理装置製造会社だけでなく、国交省、環境省、船主、運航会社、船級協会、試験機関などから118名の参加がありました。


講演の第一部では、IMOにおける議論の最新状況(資料1-1)として国土交通省海事局船舶産業課の大坪新一郎国際業務室長が講演を行いました。IMO MEPCにおける議論のポイントとして、処理技術の開発状況やレトロフィットに対応するための修繕ドックのキャパシティなどのreview状況、さらにポートステートコントロール(PSC)におけるサンプリングに関する議論について判りやすく説明がありました。
また、バラスト水処理装置(BWMS)を巡る最新状況(資料1-2)として海洋政策研究財団海技研究グループ華山伸一主任研究員が講演を行いました。この中では、バラスト処理装置はその性能や中和行程の有無などにより3つの世代に整理されること、バラスト水タンク内塗装に対する処理薬剤の影響およびPSCにおけるサンプリングにおいてD-2基準超過を指摘される可能性について説明がありました。


次に、講演の第二部では、バラスト水管理システムの承認に関するガイドラインに係る効果的な試験の具体的方法(資料2-1)について東京大学アジア生物資源環境研究センターの大村卓朗特任助教が解説を行いました。この中では、G8の陸上および船上試験の困難さについて、試験水の作成や生物の生死判定法などについて解説するともに、赤潮時など特殊な条件下ではG8試験時の条件より厳しくなる可能性の指摘がありました。また、活性物質を使用するバラスト水管理システム承認の手順(資料2-2)について華山伸一主任研究員より解説を行いました。ここでは、過去の40件以上の審査の経験に基づく、G9審査の要点が解説され、現時点で安全と考えられる処理システムのコンセプト及び最終承認のための審査時おいて重視されるシステムとして完成度について例を挙げながら説明がありました。


第三部のパネルディスカッションでは、ファシリテーターとして東京大学アジア生物資源環境研究センター長の福代康夫教授、パネリストに上記の講師に加え、TECHCROSのMike JW Lee, Director、JFEエンジニアリング(株)の岡本幸彦主幹、(株)日立プラントテクノロジーの沼田好晴部長により、質問票を用いた活発な討論が行われました(資料3)。特に、韓国TECHCROS社の装置は、既に48隻に搭載されており、その経験に基づく回答は示唆に富むものでした。

 

第二部の質問と回答の一部を掲載します。

Q1
第一世代のバラスト水処理装置を見分ける方法はあるのか?
A1
中和行程を持っていない処理装置は、薬剤注入量が以降の世代に比較して少なくなる結果、殺滅効果の余力が少ないと考えらます。そのような観点から判断できるのではないか。
Q2
G9申請をした後に、追加書類(例えばBWMSの操作マニュアルなど)を提出した場合は、いつ、どのようなルートで提出すればよいのか教えてください。
A2
G9申請後に追加書類をIMO事務局に提出した場合は、評価作業の順番は追加した時点で自動的に繰り下がります。これは、IMO事務局からもアナウンス済みです。申請時における事前検討が充分でなかったことになります。
Q3
GESAMPのシステムの審査に於いて、人体に対する安全性、ship safetyは考慮されているとのことだか、船級の審査に沿ったシステムの安全性が十分に考慮されているのかどうか?例えば、電気分解を採用している装置では水素ガスの発生を伴うが、そのリスクは考慮されているのか?
A3
海水電気分解時の水素発生は、電解電極や電解膜の物理的な配置、直流電流の与え方、サイドストリームでの発生などによって、大きく異なります。システムによってはガスセパレーターを設置し、水素ガスを逃がす必要性もあります。本件については、特に最終承認において厳しく審査をしております。
Q4
中和装置として活性炭を用いていますが、これを中和剤による装置に変更しようとする場合、G9申請は必要でしょうか?もちろんMADC(最大許容排出濃度)は変更しないこと、検証データもそろっていることが前提です。
A4
少なくとも最終承認はシステムの完成度を審査しますので、最終承認の再申請は必要となります。ただし、再申請に対する考え方は申請国によって異なりますので、国土交通省へ事前に相談した方がよいと考えます。
 

【参考】
講演会資料(レジメ)

IMO におけるバラスト水管理条約に係る議論の最新状況 海事局船舶産業課 国際業務室
大坪 新一郎(資料1-1) 
 (688KB)
BWMS を巡る最新状況 OPRF 華山 伸一(資料1-2)  (1.2MB)
G8 efficacy 試験の具体的方法 東京大学 大村 卓朗(資料2-1)  (7.3MB)
G9 毒性試験およびassessment report の作成方法 OPRF 華山 伸一(資料2-2)  (2.6MB)
パネルディスカッション 質問票(資料3)  (92KB)

ページトップ