笹川日中友好基金の招へいにより、中国の国際関係学者一行15名が7月14日から21日まで日本を訪問しました。コロナ禍で日中間の対面交流が遮断されて以来、3年半振りの大型訪日団となり、参加者たちは日本側の同分野の学者や、同時期に来日したアメリカ側の学者との対面交流を実施しました。
北京大学国際関係学院の王緝思教授が引率する今回の訪日団のメンバーは、中国の各大学で教鞭を取る中堅と若手の国際関係学研究者たちです。コロナ禍の影響により、日中両国の人文社会科学分野における学者間の交流が空前の困難に直面した時期に、笹川日中友好基金は日中の若手国際関係学者が交流する新しいチャンネルを拓き、両国の学者は日中米関係、グローバルガバナンス、東南アジア研究、外交史の4グループに分かれてオンラインの合同研究会を開催するなど交流を続けてきました。この交流事業の中国側参加者たちは今回の訪日団の主要メンバーを構成しました。
一行は7月14日に来日し、15日に日本側学者や、同じ時期に来日したアメリカ側の国際関係学者と東京大学で非公開の日中米対話会議を開催しました。翌16日には、笹川平和財団で中米学者の対話会議に参加しました。その後17日から日本側学者と沖縄に入り、沖縄県平和祈念資料館などを会場として、2泊3日の研究合宿を行いました。合宿では、まず学者たちが各自抱えている研究課題や、関心を持つ国際問題、関連分野の研究動向について報告し、意見交換を行いました。また、平和をテーマに、沖縄戦の史跡である旧海軍司令部壕や、軍民が身を隠した南部の糸数壕などを視察し、両国の国際関係学者たちが戦争の犠牲になった人たちのために手を合わせました。この他に米軍の嘉手納基地を展望し、火災後に再建中の首里城や、琉球王家の玉陵などの文化史跡を訪ね、沖縄の社会、歴史、文化に対する理解を深めました。
沖縄での研究合宿を終えて東京に戻った後、訪日団は20日に日本財団を訪ね、笹川陽平会長に交流の成果について報告し、国際情勢や日本の政治経済、社会文化など幅広い分野にわたって意見を交わしました。また、笹川平和財団を訪問し、安全保障、日米関係、東南アジアなどの事業を担当するスペシャリストと情報や意見交換を行い、ネットワーク構築を果たしました。
訪日団は上述の交流日程を終えたあと、7月21日に羽田空港から帰国しました。笹川日中友好基金は、今後も引き続き日中両国の中堅と若手国際関係学者たちの共同研究とネットワーク構築をサポートし、日中両国間の知的交流の促進に注力して参ります。