中国の国際問題の専門家を招へい
笹川日中友好基金は、「中国オピニオンリーダー招へい」事業の一環として、中国の国際問題の専門家を招へいし、日本側の有識者やメディア関係者との交流事業を実施しております。2024年度は計3回の招へいを実施しました。
笹川日中友好基金は、4月23日から28日の間、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、日中間の対面交流が遮断されて以来、約3年半振りに中国の大学及び研究機関から有識者を招へいして、日本の有識者やメディア関係者との対面交流を実施しました。
今回は、「中国オピニオンリーダー招へいⅡ」事業の一環として実施されたもので、中国社会科学院西アジア・アフリカ研究所殷罡研究員、復旦大学国際関係研究院の馮玉軍教授、当基金のカウンターパートである米中新視角基金会周志興総裁の3名が来日しました。中国は、3月にイランとサウジアラビアの国交回復を仲介するなど、外交でその存在感を発揮しています。また習近平国家主席がロシアを訪問してプーチン大統領と会談し、ロシアとウクライナ間の和平交渉に向けた仲裁役を担うことを表明し、日本でも関心の高い話題となっています。このような知的関心に応えて来日した殷罡研究員は中国で最も影響力のある中東問題の専門家の一人で、中国と中東の外交史及び中国の中東政策について造詣が深く、馮玉軍教授は中露関係と中国のロシア政策に深い見識を持っています。
専門家たちは4月24日、笹川平和財団の国際会議場で開催された日本のメディア関係者との意見交換会に講師として参加しました。殷罡研究員は「中国はなぜイランとサウジアラビアの国交回復合意の仲介を実現したのか」、馮玉軍教授は「ロシア・ウクライナ戦争における中国の立場と中ロ関係の現実」をテーマに講演し、参加したメディア関係者からの活発な質問に応答しました。意見交換会終了後、専門家たちはメディア関係者との懇親会に参加し、自由闊達な雰囲気の中、参加者と屈託のない意見交換を行いました。
4月23日から25日までの間、招へい者たちは日本国際問題研究所を訪問し、同研究所に所属する研究者や外部専門家と情報交換、および意見交換を行いました。また、外務省や、中曽根康弘世界平和研究所の研究者、並びに当財団に所属する安全保障分野の専門家と、互いに関心を持つ国際関係の諸問題について意見を交わしました。
東京での交流を終えた後、専門家たちは関西に移動し、古代中国から律令制を導入した聖徳太子ゆかりの法隆寺や、唐の鑑真和上を開祖とする唐招提寺など、古都奈良の文化財を中心に史跡を訪ね、日本社会の歴史的、文化的背景について理解を深めました。
また、中東問題研究者の殷罡研究員は、日本にいるイスラム教徒の生活の実態を知るために、日本にあるモスクを訪問したいという要望を持っていました。そこで関西で交流した学識者たちの推薦を受け、神戸ムスリムモスクを訪問し、モスクの関係者及び礼拝に来たマレーシア人、インドネシア人、ウズベキスタン人などの信者たちと、日本で暮らすイスラム教徒の生活について懇談を行いました。
一行は、4月28日に6日間の交流日程を終え、関西国際空港から帰国しました。笹川日中友好基金は、中国の国内問題及び中国と関係が深い国際問題をテーマとして、今後も引き続き中国の有識者・専門家を招き、対話交流を通じて、日中両国間の知的交流の促進に努めてまいります。
メディア関係者との意見交換会
神戸ムスリムモスクで礼拝者たちと交流