小冊子『日中関係データブック』
『日中関係データブック』刊行によせて 監修 劉傑(早稲大学社会科学総合学術院教授)
教育の現場などで、中国のこと、日中関係のことを受講者に伝える場合、欠かせないのは具体的な数字と相手国の人びとの生の声である。しかし、日中関係にかかわる情報はさまざまな統計資料に散在しているため、利用しやすい状況とは言い難い。このような現状に鑑み、このデータ集は教育の現場で活用を念頭に編集された。日中交流はあらゆる分野に広がっているが、この冊子は大学生の視点を取り入れて、特に若者がもっとも関心の高い分野を選び、できるだけ最新のデータを利用することに心がけた。データの収集と編纂にあたって、笹川平和財団の尾形慶祐さんと小林義之さんが強いリーダーシップを発揮しながら、早稲田大学大学院生の研究グループの意見を大胆に取り入れて作業を推進してきた。みなさんのご尽力に心より敬意を表したい。
本データ集が激しく変動する日中関係を十分に反映しているとは思わない。また、一部のデータの扱い方には過ちがあるかも知れない。今後は利用者のみなさんのご指摘とご意見を伺いながらさらに充実させていきたいと思う。
劉 傑
2024年4月5日
『日中関係データブック』編集後記 アドバイザー 鄭成(兵庫県立大学環境人間学部教授)
大学で中国関連の講義を担当しています。日頃の講義で現代中国の説明にあたって、数字はよく使うものです。中国は国土面積が960万平方キロメートルで、人口は14億人である、といったような具合です。
ところで、このような説明はうまくいかない時もあります。中国側の数字を見るだけで、多くの学生がピンとこないからです。試しに日本の数字を合わせて挙げると、学生の飲み込みが目に見えるほど早くなります。なるほど、身近なことから入り、中国理解は効率よく深められるということです。その意味で、今春に上梓する『日中関係データブック』は、現代中国のことを勉強する大学生にとっては良き相棒となるでしょう。
無論、大学生だけではありません。本書は、現代中国に関心を持つ各界の読者を念頭に意識して編纂を進められたものです。信憑性が高く、充実した多様なデータを通じて、めまぐるしく変化する日中間の動向を、読者がいち早く把握できるように、編集陣一同が工夫を重ねて参りました。とくに、説明文の作成にあたって、編集者の自制心が働いて、あえて字数を惜しむようにしました。それは、データに多くのストーリーが潜んでおり、特定の読み方を下手に提示するより、読者自身が日中両方のデータを読み比べながら、自分なりの発見に辿り着いた方がよほど面白いではないか、と考えているからです。
編集陣のささやかな思惑が果たして実現できるでしょうか。読者諸賢のご意見、ご批判をお待ちします。
鄭 成
2024年3月19日
2024年4月10日 PDFデータを差し替えました
目次
カテゴリー区分 | PDF報告書 |
「日中関係データブック」プロジェクトチーム |
早稲田大学地域・地域間研究機構 劉傑教授、駱豊、桑原太朗、劉韻、王培璐、横山拓未、濵田澪水 笹川日中友好基金 尾形慶祐、小林義之、高翔、章格誠、王紫璇 アドバイザー 兵庫県立大学環境人間学部教授 鄭成 デザイン・レイアウト 小林好恵(KOBデザイニング) |
発行 | 2024.4.1 |
目次 | 政治外交 1 首脳外交 2 友好(姉妹)都市 経済 3 経済規模・貿易の全体像 4 日中の農林水産物貿易状況 5 日中の海洋GDPの比較 6 地域別の一人当たりGDP 7 投資 8 企業進出 教育・科学技術 9 科学技術 10 言語学習 人の移動 11 旅行・観光 12 移住・定住 社会 13 人口動態 14 ジェンダー 参考資料 日本人の中国に対する意識調査(2023年度)※抜粋 |