Solutions Journalism in Practice 003:地域の空き家・空き店舗をどう生かす?糸島・前原の「つながる」まちづくり/福岡社会人チーム
Solutions Journalism in Practice 003:地域の空き家・空き店舗をどう生かす?糸島・前原の「つながる」まちづくり/福岡社会人チーム
福岡県糸島市は、福岡市の西に位置し、美しい海や山に囲まれた自然豊かな地域である。空港のある福岡市からのアクセスも良く、県内外から多くの観光客が訪れる。また、2024年度後期のNHK連続テレビ小説『おむすび』の舞台の一つとなり、全国的な注目を集めた。
一方で、観光客の多くは海沿いの観光スポットや飲食店に向かい、そこから離れた筑前前原(ちくぜんまえばる)駅周辺まで足を運ぶ人はそう多くない。
駅周辺の一帯は、江戸時代に唐津街道の宿場町「前原宿」として栄え、かつては多くの人が行き交う交通の要所だった。その後も糸島地域の政治・経済・文化の中心として発展し、前原商店街には肉屋や八百屋、魚屋など、地域住民の暮らしを支える店が並んでいた。
しかし、大型ショッピングモールやスーパーマーケットの普及、車社会の進展によって商店街の役割が薄れ、1980年代頃から客足が減少。店舗の閉店が相次ぎ、空き家や空き店舗が目立つようになり、地域住民が日常的に集まる場所も減っていった。
増え続ける空き店舗や空き家を活用し、再び人が集まる場所へと変えていくにはどうすればよいのか。今回は、地域で行われている二つの取り組みにスポットライトを当てる。
一つ目は、空き店舗の所有者と出店希望者をつなぎ、商店街に新たな店舗と人の流れを生み出す取り組み。二つ目は、空き家となった古民家を九州大学の学生向けの寮として活用し、地域に新たな住民を呼び込む取り組みである。
いずれも、単に空いた場所を埋めるのではなく、空き店舗や空き家に新たな役割を持たせることで、地域に人の流れやつながりを生み出そうとする取り組みである。
まずは、空き店舗を活用して新たな人の流れを生み出している「いとしまちカンパニー」の取り組みから見ていく。
二つの事例を通して見えてきたのは、空きスペースの価値は、建物を再び使える状態にすることだけでなく、そこに新しい人や活動を呼び込み、地域との接点を生み出すことにもあるという点である。
いとしまちカンパニーは移住者や事業者と商店街をつなぎ、熱風寮は学生と地域をつなぐことで、空き家・空き店舗を人と地域が関わるための「場」へと変えている。さらに、所有者・利用者・地域住民の間に立って関係をつなぐ存在があることで、その活用が単発の利用にとどまらず、地域との継続的な関係へと発展している。つまり、空き家問題を考える際には「何に使うか」だけでなく、「誰と誰をつなぐ場所にするか」という視点が重要になる。 ※本記事の内容は、2026年10月時点の情報です。
一年生能飛(福岡社会人)チームメンバー
森楽歩、牛島英利、林家和、劉詩穎
取材先
いとしまちカンパニー:https://itoshimachi.com
大堂良太氏(熱風寮):https://yoka-gotsu.co.jp/