自衛隊入間、勝田、舞鶴基地を視察
日中佐官級交流で中国人民解放軍代表団

2019.10.03
防衛省防衛研究所は人民解放軍代表団(右側)を迎え、アジア太平洋地域情勢をめぐり意見交換した

防衛省防衛研究所は人民解放軍代表団(右側)を迎え、アジア太平洋地域情勢をめぐり意見交換した

 笹川平和財団(東京都港区、会長・田中伸男)の主要事業の1つであり、自衛隊と中国人民解放軍の中堅幹部が定期的に相互訪問する日中佐官級交流により、人民解放軍の代表団20人(団長・宋延超陸軍少将)が、9月17日から26日まで、防衛省と自衛隊基地を視察し意見交換しました。
 佐官級交流事業は、将来を担う中堅幹部を対象に交流と対話の場を提供し、相互理解と信頼醸成を促進する目的で2001年に始まり、笹川平和財団の笹川日中友好基金が、防衛省と中国共産党中央軍事委員会の国際軍事合作弁公室、中国国際戦略学会の協力を得て実施しています。相互訪問は今回で25回目となり、参加者は防衛省から152人(13回)、人民解放軍から248人(12回)の計400人に上っています。
 中央軍事委員会主席などを兼ねる習近平国家主席は、大掛かりな軍事改革を進めており、従来の総参謀部、総政治部、総後勤部、総装備部を解体し、中央軍事委員会に直属する15の新たな機関に改編しました。今回の代表団メンバーの多くは「政治工作部」や「戦略計画弁公室」「政法委員会」「改革と編制弁公室」など、新たな機関に所属しており、第一線部隊の中堅幹部が極めて少ないのが特徴です。また海軍2人、空軍1人と、ほとんどが陸軍で占められています。
19日夜、都内の歓迎レセプションで、代表団と歓談する自衛官ら

19日夜、都内の歓迎レセプションで、代表団と歓談する自衛官ら

■率直な意見交換通じ相互理解
 
 代表団は18日、都内の防衛省と防衛省防衛研究所を訪れました。防衛省では自衛隊の組織や憲法との関係、宇宙、サイバー、電磁波の新領域の能力を獲得、強化することを柱とする2019年度以降に係わる防衛計画の大綱(防衛大綱)を中心に、日本の防衛政策についてブリーフィングを受けました。西田安範・防衛審議官とは、日中佐官級交流を含め様々なレベルにおける防衛・国防当局間の率直な意見交換を通じ、相互理解を図る重要性などについて意見交換しました。
 防衛研究所では、「アジア太平洋地域の情勢認識」をテーマに、極東におけるロシア軍の動向や、日本と韓国の対立が及ぼす影響などをめぐり意見交換しました。
 19日夜には都内のホテルで歓迎レセプションが開かれ、挨拶した田中会長は、日中佐官交流事業には信頼醸成措置としての大きな意義があり、東アジアのみならず世界の平和と安定に寄与するものであることを強調。高橋憲一防衛事務次官は、今回の訪問を通じ代表団が、防衛省・自衛隊への認識を深めることを期待しました。
 中国からは孔鉉佑駐日大使が、信頼を高め、安全保障分野における日中関係のギャップを埋めていくべきだとの認識を表明。宋団長は、佐官級交流プログラムが「日中の架け橋、財産になる」と述べました。
C-1輸送機に搭乗した代表団(航空自衛隊入間基地)

C-1輸送機に搭乗した代表団(航空自衛隊入間基地)

C-1輸送機

C-1輸送機

■護衛艦「ふゆづき」に乗艦
 
 代表団が最初の基地視察として19日に訪問したのは、航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市)の第2輸送航空隊です。航空輸送を任務とするこの飛行部隊は、C-1輸送機やU-4多用途支援機を使用し、各航空基地間の定期輸送、国連平和維持活動(PKO)に伴う国外運航、災害発生時の救援物資輸送、陸上自衛隊の空挺降下訓練支援などを行っています。  
 国産開発機である中型のC-1輸送機は、通常60人、完全武装した空挺隊員であれば45人を収容し、担架を取り付けると36人の患者を空輸できます。榴弾砲やジープなどを搭載し、空中投下することも可能です。
 こうしたC-1輸送機の機能や用途などについて代表団は説明を受け、尾翼の下の開かれた後部扉から機内に入り内部も見学しました。佐官級交流でC-1輸送機が中国側に公開されたのは、これが初めてです。
陸上自衛隊勝田駐屯地では施設作業車などを視察

陸上自衛隊勝田駐屯地では施設作業車などを視察

 陸上自衛隊では20日に、勝田駐屯地(茨城県ひたちなか市)の施設学校を視察しました。施設学校は道路や橋の建設、陣地の構築などを行う施設科隊員に対し、土木や建築、建設機械の操縦、施設機材の整備といった教育訓練を施しており、地雷原処理車や施設作業車など、一般の建設機械とは異なる装備も多く備えています。施設学校はPKO、国内における災害対処を支えているわけです。
 代表団は施設学校の制度、カリキュラム、PKO、災害支援、装備などについて見聞しました。
海上自衛隊舞鶴地方隊の視察では、護衛艦「ふゆづき」に乗艦した

海上自衛隊舞鶴地方隊の視察では、護衛艦「ふゆづき」に乗艦した

 海上自衛隊では24日に、日本海における海上自衛隊の最重要拠点である舞鶴地方隊(京都府舞鶴市)を視察し、第3護衛群第3護衛隊の所属で、北吸桟橋に停泊する護衛艦「ふゆづき」(基準排水量5100トン)に乗艦しました。
 ふゆづきは「あきづき」型護衛艦の4番艦で、2014年3月に就役。FCS-3A多機能レーダーと、発展型シースパロー短SAM(艦対空ミサイル)、国産の90式4連装SSM(対艦ミサイル)などを搭載し、味方のイージス艦を敵の攻撃から防護する「僚艦防空能力」を備えています。佐官級交流で、海上自衛隊が新しい世代の護衛艦を公開したのも初めてです。
 代表団は基地視察の合間に、偕楽園(茨城県)や彦根城(滋賀県)、伏見稲荷神社(京都府)、雪印メグミルク京都工場などを見学し、日本の文化と歴史などへの理解も深めました。
                                          (シニアアドバイザー 青木伸行)

 
メルマガ登録はこちら
関連ページ

笹川太平洋島嶼国基金

上記の笹川太平洋島嶼国基金のページでは、2017年度までの事業活動を紹介しています。

関連ページ

笹川汎アジア基金

上記の笹川汎アジア基金のページでは、2017年度までの事業活動を紹介しています。

関連ページ

笹川日中友好基金

上記の笹川日中友好基金のページでは、2017年度までの事業活動を紹介しています。

関連ページ

笹川中東イスラム基金

上記の笹川中東イスラム基金のページでは、2017年度までの事業活動を紹介しています。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • はてな

ページトップ