東南アジアにおける対日世論調査の課題と可能性:ヘッジングを具体的に語るために
2023年は、日本ASEAN友好協力50周年である。日本では、日本と東南アジア諸国、あるいはASEAN(東南アジア諸国連合)と戦略的にどのように付き合っていくべきか、日本の国益を東南アジアでどのように最大化するかといった点が大きく注目されている。
2019年12月以降、中華人民共和国(中国)湖北省武漢市において、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」の発生が報告された。その後、流行は中国から世界各地へと拡大し、収束への目途は未だ立っていない。ここで取り上げる大韓民国(韓国)・台湾は、COVID-19の「第1波」への対応がうまくいった優等生として、評価されることが多かった。ところが、本格的な冬を迎えた韓国では、2020年11月より「第3波」が到来し、12月末には新規感染者数が最多の1200人超を更新した。経済と両立する「K (Korea)防疫モデル」は、まさに危機に瀕している。
オーストラリアのシンクタンクであるローウィー研究所(Lowy Institute)が21年1月末に発表した、世界98か国・地域のCOVID-19への対応力ランキングによれば、台湾は3位、韓国は20位であった1。「第1波」当初は、アジアの「優等生」と評価された両者に差が生じたのはなぜか。また、韓国・台湾の社会でどのような問題があぶりだされたのか。
なお、対象地域の COVID-19の発生状況は、8月末までの対応を主にまとめたものであることを予めお断りしておきたい。
COVID-19発生後、韓国国内ではどのような議論が起きたのか。以下、四点を挙げる。
韓国社会の「マジョリティ」(多数派)が避けてきた「マイノリティ」(少数派)をめぐる諸問題がいっそう露呈したと言える。
(1)「防疫」か「信教の自由」か
まず、「防疫」と「信教の自由」のどちらを優先するのか、という問題である。「第2波」が本格化する前の7月、小規模クラスターが発生しているという理由から、韓国の防疫当局は教会での小グループでの集まりを禁止した。それに対し、「憲法が保障する宗教の自由を侵害する」とキリスト教界は反発した。その後起きた「第2波」の発生源も教会であったことにより、キリスト教4に対する韓国社会の見方も厳しくなった。
(2)プライバシー保護―性的少数者(セクシャルマイノリティ)をめぐる問題―
第二に、性的少数者(セクシャルマイノリティ)のクラスターが発生した際、 感染抑制か、それともプライバシー保護かを巡り問題になった。韓国では、2015年5月~7月に流行した中東呼吸器症候群(MERS)5の経験から、個人を特定可能な携帯電話の全地球測位システム(GPS)による位置情報6、クレジットカード7や交通カードの履歴、防犯カメラ8を用い、感染者の移動経路を正確に把握できる法制度が20年2月のCOVID-19発生以前に整備されていた。そのため、自治体のホームページなどでは、市民への注意喚起のため、感染者の年齢や性別、居住する町名、感染前後の詳細な移動経路などが分単位で公開された。これは、検査で素早くを見つけ、感染者の動きを追跡して他者への感染を予防し、患者にしっかり対応するという、「3T(Test、Trace、Treat)」に加え、市民参加(Participation)からなる、韓国政府が掲げ、世界に誇る「K防疫モデル」の重要要素でもある。
20年5月8日、ソウル市の梨泰院(イテウォン)での「クラブ集団感染」が発生したとの報道があった。その第1号患者は、29歳男性であった。男性は高熱がありながら、「社会的距離の確保」から「生活防疫」へ移行する前の同月1日夜から翌日早朝にかけて「性的少数者向け」クラブなど五店を訪れ、6日に感染が判明。すぐに濃厚接触者から13人の陽性者が確認された。報道の翌日、男性が住むマンションの入り口には、男性を非難する張り紙が貼られ、ネット上でも批判が殺到した。伝統的な家族観を重んじる儒教、キリスト教保守派、徴兵制などの影響により、韓国はOECD加盟国の中でも同性愛者の受容度が低く9、もともと性的少数者への偏見があった上、COVID-19への感染により、いっそう非難が強まった。
その後、アウティング(性的指向暴露)を恐れてPCR検査を受けないケースが続出したため、ソウル市は匿名でのPCR 検査を導入した。そして、中央災害安全対策本部(中対本)会議は、感染者動線公開ガイドラインを改正した。最初の患者の動線を公開する時だけ店名など特定可能な情報を公開し、それ以降は同じ店を訪問した感染者がいても、店名などは公開しないこととし、各地方自治体にも通知する方針を打ち出した。
(3)移住労働者・外国人へのヘイト・スピーチ、災難支援金未支給
移民労働者・外国人へのヘイト・スピーチ(韓国では「嫌悪表現」と呼ばれる)に関する問題である。韓国に住む外国人は、2018年、200万人を突破した。出身国は、中国が最多であり(中国朝鮮族を含む)、ベトナム、アメリカ合衆国(米国)、タイの順である10。2020年初、中国の武漢地域を中心にCOVID-19が広まった際、韓国では、大統領府のホームページに国民がオンラインで希望を申し立てることができるサービスがあるが、「中国人入国禁止要請」という国民請願が約76万人の同意を得た。また、同年の旧正月(1月25日)の連休前後、中国同胞密集居住地域であるソウル市大林洞(テリムドン)と韓国で1990年代後半より増加した中国朝鮮族に対するヘイト発言が相次いだ。
韓国政府は、「国民のセーフティーネット」として、「緊急災難(災害)支援金」(4人世帯以上の場合、1世帯あたり100万ウォン(約88,000円))を支給したが、20年3月末基準で韓国国内に長期滞在する外国人約173万人のうち、「結婚移民者(F-6)」 と「永住権者(F-5)」(約2万人の華僑など)以外の約144万人が災害支援金の支給対象から除外された。韓国で税金を払っている移住労働者も災害支援金を受けられなかった。
同年6月11日、国家人権委員会(2001年設立された韓国国内の人権機関。司法・立法・行政から独立している。以下、人権委)は、外国人から災難支援金支給に関連した苦情を受け付けた後「外国人住民を災難支援金の対象から除外したのは合理的な理由がない差別」と判断し、ソウル市に改善を勧告した。
そのため、ソウル市は、2020年第3回補正予算案(2兆2,390億ウォン(約2,053憶円)規模)に外国人災難緊急生活費予算(330億ウォン程度)を盛り込んだと発表した。対象となるのは、外国人登録を済ませて韓国で所得活動をしている外国人とその外国人世帯構成員であり 、ソウル市に居住し、税金を支払っている外国人労働者にも「ソウル市災害緊急生活費」が支給された。
20年6月、人権委は、国民認識調査を公開し、回答者の88.5%は差別禁止の法制化に賛成すると答えたという。19年3月に人権委が実施した「国民認識調査」と比べ、約1年間で賛成の割合が15.6ポイント増加した。また、回答者の91.1%は、最近の「コロナ禍」で「誰かを嫌悪する視線・行為が結局は(自分自身に)ブーメランになって返ってくる」と考えたと答えた 。一部大規模プロテスタント教会などの宗教界からの抗議が根強い、差別禁止の法制化が今後進むかどうかが注目される。
(4)「ベーシックインカム」導入に関する議論と今後の展望
「コロナ禍」前から存在する「経済的格差」への対応として、「ベーシックインカム」(最低所得保障、BI)11導入に関する議論がある。先に述べたように、日本の「特別定額給付金」と同じように、韓国でも支給された「緊急災難(災害)支援金」をきっかけに、議論が始まった。アジア映画初の第 92 回 アカデミー 賞作品賞受賞などの快挙を成し遂げた韓国映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督、2019年制作)でも描かれていたように、競争が激しい韓国における社会・経済格差は深刻であるため、格差是正や福祉の充実に熱心な左派からのみならず、「小さな政府」を志向する右派からもBI導入の声が上がっている。韓国政府は、BIに慎重な立場を取っている上、韓国の福祉水準は経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の半分程度である12。低所得層にターゲットを当てた福祉を行うべきだという考えも根強いため、韓国国内での合意形成にはまだ時間が掛かりそうである。
「コロナ禍」における韓国の対外関係として特筆すべき点は、韓国経済が貿易に依存しているため、脆弱さを露呈したことである。2019年の韓国経済の貿易依存度は63.7%であり、「最大のパートナー」である中国との貿易額は、輸出額の約25%、輸入額の約21%をそれぞれ占めた。「コロナ禍」では、中国からの部材(ワイヤーハーネス(Wire Harness))の輸入が中断し、韓国国内の工場の操業が一時停止する事態が特に問題となった13。20年10月、韓国貿易協会が発表した2020年1~9月の輸出入統計によれば、輸出は前年同期比8.6%減の3,709億6,900万ドル、輸入は9.1%減の3,433億5,600万ドルだった14。輸出入の減少は、韓国経済全体への影響も避けられず、2020年のGDP(国内総生産)は前年比1%減と、アジア通貨危機の影響を受けた1998年以来のマイナス成長となった15。
また、韓国が経済的にも依存し対北朝鮮問題での協力を求めたい中国と、軍事同盟関係にある米国との間でどのようにバランスを取るか、という「コロナ禍」以前からの外交上の課題も突きつけられている。2017年に起きた韓国と中国は在韓米軍への米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「終末高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備を巡る対立は、現在も続いている16。
17年以降、中国政府は、韓国への団体観光客の渡航禁止、韓国のゲーム、ドラマの流入禁止などいわゆる「限韓令」(韓流制限令)を行っており、韓国経済への深刻な打撃がこれまでも指摘されてきた。韓国政府は、これら報復制裁措置の解除への道筋を模索すべく、習近平(シージンピン)国家主席の2020年内の韓国訪問実現を目指していた。20年5月には、韓国大統領府(青瓦台)の姜珉碩(カンミンソク)報道官は、文在寅(ムンジェイン)大統領と習近平国家主席との電話会談の結果、習主席の年内訪韓を推進することで一致した、と発表した17。ところが、習主席の訪韓は韓国の「第3波」などを理由に見送られた上、悪化する日韓関係を理由に、韓国が議長国を務める予定であった日中韓首脳会談の開催も実現できず、米国のバイデン(Joe Biden)新政権誕生後に課題は持ち越された。
COVID-19への対応力ランキング3位の台湾で感染が確認された943人のうち、台湾域内で感染が確認されたのは、77人、死亡者数も9人にとどまり(2021年2月14日現在)、感染拡大を抑え込んでいる。なぜ抑え込みに成功したのか。また、防疫政策の外交・経済への影響はどうか。
(1)迅速な初動対応―水際対策の強化―
台湾は、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行18など、中華人民共和国(中国)から伝播する感染症の脅威にさらされている。また、世界保健機関(WHO)に加盟しておらず、2016年以降「オブザーバー参加」も出来ないため19、独自に情報収集をし、感染者が確認される前に水際対策を強化するという迅速な初動対応を取った20。
台湾で新型コロナウイルス感染による肺炎の初めての症例が発表されたのは20年1月21日のことであったが、感染者発生前から台湾は政策を講じた。前年12月末には、台湾の衛生福利部(厚生省に相当)疾病管制署(CDC)の高官が、「武漢肺炎」の流行に警鐘を鳴らしていた、武漢の眼科医・李文亮医師(後に自らも感染して死去)によるインターネット上の投稿を目にし、検疫強化を指示する21と同時に、中国疾病管理センターに当該感染症に関する情報提供を依頼した。WHOにも武漢で呼吸器系の感染症が発生したと通報し、WHOから「受信した」との返答があったという。12月31日には、武漢からの直行便の機内立ち入り、検疫を開始するとともに、市民への啓蒙活動を始め、市中感染が広がらないようにした。
(2)専門知識を持つ閣僚の存在
20年1月2日には、台湾政府は、「武漢肺炎」について対応を協議し武漢からの入国者への検疫を強化するとともに、医療機関にも情報を提供した。同月12日には、二人の専門家を武漢に派遣し、最新状況の把握にあたった。その後、すぐに台湾のCDCは「中央流行疫情指揮中心」(中央感染症指揮センター、新型肺炎対策本部に相当。)を設立。センター長には、台湾歯科医師会会長を務めた、陳時中(チェン・シーヂョン)・衛生福利部長(衛生相)が就任した。また、米ジョンズ・ホプキンス大学で公衆衛生・流行病の博士号を取得し、SARS流行時の対応にあたった専門家でもある陳建仁(チェンチエンレン)・前副総統(20年5月退任)や医師出身の前行政院副院長(副首相にあたる)22の陳其邁(チェンチーマイ)ら、医学知識を持つ閣僚の存在も大きかった。
(3)TOCCの把握と公開
TOCC(渡航歴(Travel history)、職業(Occupation)、接触歴(Contact history) 、人込み(Cluster)に行ったかどうかを表すデータを携帯電話の微弱電波を利用した「電子フェンス(electronic fence)」や街の防犯カメラなどから収集し、自主隔離者を管理する。プライバシーの侵害とデマの拡散を防止しながら、一部情報を市民にも公開した。また、2003年のSARS流行の教訓などから、市民側も強制措置を取らなくても、民間での自主的な検温・マスク着用などに取り組んでいる。
(4)マスク不足への対応
マスク不足対策も早かった。20年1月24日には、医療用マスクとN95マスク輸出を禁止し、同月31日には全ての医療用マスクを政府が徴収した。台湾独自でマスクを増産し、中国への輸出禁止をすると共に、プログラマー出身のオードリー・タン(唐鳳)デジタル担当政務委員(大臣)が市民エンジニアと協力し、「マスクマップ」アプリをわずか3日間で開発し、販売する薬局の場所とその在庫量などの情報を公開した。列を作らず、かつ健康保険カード(保険証)23に購入履歴をつけることにより、全住民がマスクを平等な数を平等な価格で購入できる仕組み(「マスク購入実名制」)を整えた。それにより、二重販売や販売ミスを防ぐことが出来る。
COVID-19流行前、台湾の1日当たりのマスク生産量はわずか188万枚だったが、20年4月末までに1700万枚超まで増加し、生産量は中国に次ぐ世界2位へと躍進した24。その後も増産を続け、同年末の経済部(経済省)の発表によれば、医療用マスクの1日あたりの生産量は平均2400万枚に達し、1日最大3000万枚の生産が可能であるという25。
台湾は、これらの防疫政策を“Taiwan can help, and Taiwan is helping!”26と題し、増産したマスクを諸外国に配布する「マスク外交」などを展開し、外交的成果を得た。20年4月、蔡英文(ツァイインウェン)総統は、米国や欧州などの医療関係者にマスク1千万枚を贈ると表明した。米国に200万枚、イタリアやスペイン、英国など欧州の国々に700万枚、台湾と外交関係を結ぶ国々に100万枚(日本へは200万枚)を供与するなど、計5千万枚のママスクを寄付した。同年8月には、アザー(Alex Azar)米厚生長官が台湾を訪問した。1979年の米国との断交以来初めてとなる、米国の高位高官による訪台であった。米国のバイデン(Joe Biden)新政権発足後も米国が台湾を重視する姿勢に変化はない。台湾の実質的な駐米大使である蕭美琴(シャオメイチン)・台北駐米経済文化代表処代表は、今年1月、米国との断交以降初となる、米大統領の就任式へ出席した。
中国への対決姿勢を取る2016年の蔡英文・民進党政権発足後、中国側の圧力により台湾は7カ国との外交関係断絶に追い込まれた。対中政策も大きな争点となった台湾総統選挙戦最中の2019年9月16日、中国がソロモン諸島と、同20日にはキリバス共和国とそれぞれ外交関係を結んだ27結果、台湾を承認し外交関係があるのは、15カ国まで減少したため、台湾は外交で巻き返しを図ろうとしている。
1991年に独立を宣言し、アフリカ東部のソマリアで半独立状態を続けているソマリランド共和国28との間で相互に代表部を設立することで合意した(ソマリランドを承認している国は無い)。20年8月、台湾は「台湾駐ソマリランド共和国代表処」(Taiwan Representative Office)を設置し、翌9月にはソマリランド(Somaliland Representative Office)が台北市に代表機関を置いた。また、台湾はソマリランドに対し、マスク15万枚と白米100トンを寄贈し29、「マスク外交」が功を奏した上、孤立を強いられている特殊な国際的立場にある、という両者の共通点から相互に代表部を設置することになったが、それぞれ中国、ソマリアから反発を招いた。
今年2月4日午前(台湾時間)、台湾の外交部(外務省)が、先月11日に締結した代表機関設置に関する協定に基づき、南米・ガイアナでの代表機構「台湾弁公室」(Taiwan Office)設置を明らかにした30直後、24時間以内にガイアナ政府は一方的に協定破棄を宣告した。ガイアナは中国と外交関係がある一方、台湾とは外交関係を結んでいない。中国メディアなどの報道によれば、1月末、ガイアナは中国から2万回分の新型コロナウイルスのワクチン提供を受けると表明したという31。ワクチン提供をめぐり中国がガイアナに圧力を掛けた可能性が高く、蔡英文総統をはじめ、台湾政府は「深い遺憾」を示した32。COVID-19のワクチンが世界的に重要な外交カードとなりつつあるなか、中国の「ワクチン外交」に屈する結果となった。
COVID-19のパンデミックにより世界経済が低迷するなか、台湾の行政院主計総処(統計局などに相当)の発表によれば、2020年台湾の域内総生産(GDP)が2.98%増となる可能性が高く、世界的にも珍しいプラス成長を記録した。その理由として、以下の三点が考えられる。第一に、台湾域内での感染を抑え込んだ上、自己負担額の3倍の買い物ができる金券(「復興三倍券」)33の発行などの消費刺激策が一定の効果をあげたため、消費の落ち込みが小幅にとどまったことである。第二に、米中貿易摩擦のため、半導体や電子分野を中心に多くの振替受注が発生したこと、また、「コロナ禍」での「テレワーク」「オンライン学習」の拡大もノートパソコンなどの受注拡大につながり、輸出を押し上げたことである。第三に、米中対立の影響を回避するため、企業が台湾に回帰する傾向にあることである34。
コロナ抑え込みに成功している台湾社会でも「コロナ禍」でより深刻化した問題もある。韓国同様、外国人労働者をめぐる問題が挙げられる。「コロナ禍」前から、台湾において家庭介護などに携わる、主に東南アジア出身の外国人労働者(「外籍家庭看護工」)のうち、約5万人が「失踪」状態にあった。
20年2月に不法滞在のインドネシア人ケア労働者がCOVID-19 に感染していたことが明らかになると、労働部(雇用・労働を管轄する省庁)は外国人労働者の「不法」滞在取り締まりを厳格化した。また、台湾社会でも誹謗中傷する排外的な言説が、メディア報道やインターネット上で持ち上がった。このような動きに危機感を感じた台湾の大学教員5名は、「移住労働者の包摂こそが最良の感染症予防措置である」声明を発表した35。台湾における外国人労働者の待遇が改善されるかどうか、今後の動向を注視していきたい。
韓国と台湾が「第1波」を抑え込んだ理由として、どちらもCOVID-19 以前の感染症流行(韓国は2015年のMERS、台湾は2003年のSARS)の教訓を生かし、感染症拡大を防止する仕組み作りを既に整えていたことである。具体的には、以下の四点である。
過去の感染症流行後、感染症対策を強化するための法改正が既に行われていたことである。韓国の場合は、2015年のMERS感染拡大後に行われた法改正の要点は、「①感染症専門病院設置の根拠規定の新設(第8条の2)、②疫学調査において、正当な理由なくこれを拒否・妨害・回避する行為、虚偽の陳述、虚偽の資料提出、故意に事実を告げない行為及び故意に隠蔽する行為の禁止(第18条第3項)、③感染症の拡大時に長官が感染症患者の移動経路、移動手段、診療医療機関、接触者の現況等の情報を迅速に公開する条項の新設(第34条の2)、 ④ 感染症患者等の確認のための調査・診察を拒否する者に対する強制隔離規定の新設(第42条第5項)、⑤感染症の発生現場における防疫官及び疫学調査官の権限強化(第60条及び第60条の2)、⑥医療従事者、医療機関、感染症患者等に対する支援(第70条の3及び第70条の4)」36など、広範囲に及ぶ。
台湾では、陳水扁(チェンシュイピェン)総統再選後の2004~2005年にかけて、「傳染病防治法」などの改正が行われた結果、自宅隔離制度や感染症の医療施設指定などが可能となった37。韓国・台湾ともに法改正により、IT技術を用いた徹底した感染経路追跡が可能となった。
第二に、感染症対策を行う米国・疾病対策センター(CDC: Centers for Disease Control and Prevention)にあたる専門機関の設置など、行政の仕組みが強化されたことである。台湾では、「衛生署組織法」「疾病管制局組織法」が改正され、中央政府と地方政府を横断的に指揮できる国家衛生指揮センター、その傘下の「中央流行疫情指揮中心」(CECC、日本では「中央感染症指揮センター」などと呼ばれる)が開設された。中央流行疫情指揮センターは常設組織ではなく、公衆衛生上の重要事態だと判断された場合にのみ立ち上げられる(COVID-19に対応する指揮センターは、20年1月20日に設置された)。この指揮センターには、専門家会議、疫病監視チーム、国境検疫チーム、地域(社区)防疫チーム、医療応変チーム、研究開発チーム、メディア担当チームが組み込まれている38。
韓国では、MERS感染拡大の翌年の2016年、保健福祉部(日本の厚生労働省に相当)内に疾病管理本部が発足した。20年9月には、「疾病管理庁」に格上げされ、権限が強化された。これまでの疾病管理本部よりも384人増員し、人員は1,476人となった。「疾病管理庁」は、国立保健研究院、国立感染症研究所、疾病対応センター、国立結核病院、国立検疫所などを傘下に置き、感染症の監視と対応から予防研究・ワクチン開発の支援までを統括するコントロールタワーとなり、権限が強化された39。感染症の動向を24時間体制で監視する総合状況室や感染症情報を収集・分析して予測する危機対応分析官も新設された。初代疾病管理庁官として任命されたのは、予防医学を専門とする医官出身であり、疾病管理本部長だった鄭銀敬(チョンウンギョン)である。英BBCは「疾病管理本部の初の女性本部長であり、今は疾病管理庁長として、パンデミックの中、毎日、記者会見に登場し、明確で分りやすく落ち着いたブリーフィングをすることで有名だ」40と評価し、鄭銀敬を「ことしの女性100人」の1人に選んだ。
第三に、二番目に挙げた感染症対策専門機関が、市民への情報提供を積極的に行うことにより協力を促すという、リスクコミュニケーションの機能も担っていることである。台湾・韓国ともに、過去の感染症流行から「感染症対策には国民の協力が必須であり、国民から信頼されなければ効果を上げられない」41という教訓を得た。正確な情報を迅速に提供するため、感染症専門機関の長などの専門家(台湾は陳時中・衛生福利部長ら、韓国は鄭銀敬・疾病管理庁長ら)が、毎日定時に(日によっては複数回)記者会見を行い、テレビやインターネットで同時配信される。
先に述べたように、IT技術を駆使して感染経路の追跡を徹底的に行い、感染者の行動履歴を匿名で公開し、市民への協力を呼び掛けた。IT技術を使った感染経路の追跡方法は、韓国・台湾で若干異なる42が、当局が個人情報を収集したり、防疫措置の違反者を法律で取り締まったりする対策に対する抵抗感が少ないのは、過去の感染症流行の教訓から市民が必要性を痛感していることに加え、長い間権威主義体制下にあったことも一因として考えられる。
韓国に至っては、規制に違反した事例を写真付きで通報すると、国から報奨金がもらえる43という北朝鮮との対立が激しかった時代の「スパイ申告」を思わせる相互監視システム「コロナ19安全申告制度」を昨年7月に導入した。ところが、「コパラッチ」〔「コロナ」「パパラッチ」を組み合わせた造語〕たちの通報が白熱し44、虚偽申告まで現れるや、大統領府のホームページにはお互いを監視する報奨金制度を廃止するようにという国民請願が起き批判が殺到したため45、今年1月7日、報奨金制度は取りやめとなった。
最後に、韓国・台湾に共通する社会問題として、外国人など社会的に弱い立場にあるマイノリティが苦境に立たされ、差別も深刻化したことが挙げられる。
韓国と台湾のCOVID-19対策で大きく異なる点は、水際対策である。先に述べた通り、台湾はWHOに加盟していないため、独自のルートで情報を入手し、感染者発生前から水際対策を強化した。その結果、水際で侵入を食い止めるというレベル1から、流行が小規模のうちに感染拡大を抑えるというレベル2に入る前での抑え込みに成功した。
一方、韓国の場合、水際対策を強化したのは20年4月1日以降のことであった。大邱市を中心に感染が広がり、レベル2に入ってしまったため、早期から広範囲にわたり官民あげて大量のPCR検査を実施し、感染者を隔離することにより、「第1波」を食い止めた。対応に当たった権泳臻(クォンヨンジン)市長は、「これほど多くの検査をしなければ感染者数は急速に増えなかったはず。病床も十分にないなかでは検査を遅らせるべきだとの声もありました。ただ、世界のどこにも治療の教科書も薬もない感染症です。一刻も早く大勢の人を検査をして隔離するしか方法はなかった」46と後述している。徹底的な検査と隔離は、文在寅大統領が「世界の標準になった。韓国の国家としての地位と誇りが高まっている」47と自賛した「K防疫モデル」の重要ポイントでもあった。
韓国の防疫指針は、<関心><注意><警戒><深刻>の4段階に分かれているが、2月23日まで<深刻>に引き上げなかったのは誤った対応であった、とチョン・ギソク前疾病管理本部長は指摘する48。対応が遅れた一因として、中国との政治・経済関係の考慮が考えらえる。「限韓令」解除を目指す文大統領は、COVID-19流行以前から2020年の習近平国家主席訪韓を要請し続けていた49。また、訪韓観光客数が最多の中国は、同年1月24日から30日まで春節(旧正月)連休を迎え、多くの中国人観光客の韓国訪問が見込まれていた。実際、韓国観光公社の発表によれば、20年1月韓国を訪問した中国人は481,681人であり、前年比22.6%増加したという50。
20年4月1日以降は、すべての韓国に入国するすべての韓国人・外国人を対象に、自宅または国が準備した施設での14日間の隔離を義務付ける措置が実施された51。14日間、国施設で隔離する場合は、施設隔離費用(1日最大15万ウォン、約14,000円)を入国時に納付しなければならない。「自己隔離者安全保護アプリ」「モバイル自己診断アプリ」52のダウンロードし、毎日2回体温などの健康状態をアプリに入力することも義務付けられている。隔離措置に違反すれば、韓国籍の場合、3百万ウォン(約28万円)以下の罰金(4月5日からは懲役1年、罰金1千万ウォン以下)が科される。また、隔離、検査・治療など、検疫当局の指示に従わない外国籍の人には、刑事処罰の有無に関わらず、当該外国人のビザおよび滞在許可を取り消し、違反行為の重大性に応じて強制追放、入国禁止の処分が行われる53。
一方、台湾当局は、春節連休前の1月23日には武漢からの入国を禁止し、26日には湖北省在住の中国人の入国を一時禁止するとともに、台湾から中国への団体旅行を禁止し(24日)54、春節連休中の往来を食い止めた。3月18日、台湾の中央流行疫情指揮中心(中央感染症指揮センター)は、翌19日午前0時より全ての非台湾籍者の入境を制限し、非台湾籍者のうち、事前に申請・許可を得た者のみ入境を認めるが、入境後は14日間の自宅検疫とする、と発表した55。
COVID-19流行以前の2019年、2020年1月の台湾総統選をにらみ、台湾の観光業界に打撃を与えるため、中国政府は中国から台湾への個人旅行を禁止するなど56、いわば「限台令」(台湾制限令)を行っていたため、既に中国から台湾への人の流れは減少傾向にあったとはいえ、2018年時点で約40万人の台湾人が中国で働くなど、地理的にも経済的にも中国は近い。だからこそ、台湾当局による迅速な水際対策が感染拡大を小規模に抑え込んだ要因である。
1 調査は98の国・地域を対象に、感染者数、死者数、検査数など6項目を評価したものである。日本は45位だった。Lowy Institute, Covid Performance Index <https://interactives.lowyinstitute.org/features/covid-performance/>
2 大邱市民や医療従事者による手記は、日本でも翻訳出版されている(申重鉉編(2020)『新型コロナウイルスを乗り越えた、韓国・大邱市民たちの記録』(CUON編集部訳、クオン)、李載泰編(2020)『新型コロナウイルスと闘った、韓国・大邱の医療従事者たち』(CUON編集部訳、クオン))。
3 韓国・新興宗教の中国での拡大については、安田峰俊「中国で信者を増やす韓国のキリスト教新宗教」(『中央公論』2020年6月号)参照のこと。
4 2015年の韓国統計庁のデータによると、プロテスタント(約968万人)、カトリック(約389万人)は、宗教人口の3割近くを占める。
5 2015年5月~7月、韓国で流行。中東出張から韓国へ帰国した男性によりウイルスが持ち込まれ、186例のMERS症例が報告された。その後、10月25日と11月25日に1名ずつ死亡したため、合計死亡者数は38人となった。また、隔離対象者となり後に隔離措置が解除された者は計16,752人に達した。藤原(2016)は、WHOと韓国政府の合同調査団による指摘として、「①MERSに対する認識不足、②過密状態の救急室(Emergency Room)、③韓国の病院文化(複数の病院を訪ね歩く『ドクターショッピング』や、大勢の家族・友人による病室訪問)」(p. 193)の3点を拡大要因として挙げている(藤原夏人(2016)「韓国における感染症対策の強化」『外国の立法』No.267, 2016.3, pp.192-222. <https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9914665_po_02670008.pdf?contentNo=1>)。
6 データの蓄積場所は、中央サーバーである。プライバシー保護を重視し、スマホ端末にデータを蓄積する日本、ドイツ、イタリア、米国各州とは接触確認のシステムが異なる(「感染防止かプライバシーか コロナ接触確認アプリ 各国の人権観浮き彫り」『毎日新聞(デジタル)』(2020/05/23)https://mainichi.jp/articles/20200523/k00/00m/040/225000c)。
7 春木(2020)によれば、2016年の韓国におけるキャッシュレス決済は96.4%と高く、世界最高水準である。1997年のアジア通貨危機後の未曾有の不況への対応として、韓国政府がクレジットカード普及を積極的に推進した。税収の向上、個人消費の喚起が主な目的であった(春木育美(2020)『韓国社会の現在―超少子化、貧困・孤立化、デジタル化』(中公新書)中央公論新社、pp. 81-82)。
8 2009年前後の連続殺人事件をきっかけに導入が進んだ。2018年時点でソウル市には公共の場所に約5万台のカメラが設置されているという。カメラが捉えた人物の映像は、住民登録制度のデータベースと照らし合わせることにより、特定される。韓国の住民登録制度の起源は、日本の植民地時代に制定された「朝鮮寄留令」(1942年)であるが、1968年の北朝鮮のスパイ(31人)による朴正煕(パクチョンヒ)大統領ら韓国要人の暗殺を企図「韓国大統領官邸(青瓦台)襲撃未遂事件をきっかけに、住民登録制度の運用が強化された。現在の韓国では、17歳になると役所で指10本全ての指紋登録を行い、住民登録証の交付を受ける。住民登録番号と行政サービス、納税、医療、銀行、教育、福祉、出入国管理、クレジット管理利用歴など、個人のあらゆる記録が紐づけされている(春木(2020)pp.93-99, 107-110) 。
9 ‘Society at Glance 2019: A Spotlight on LGBT people’ <https://www.oecd.org/korea/sag2019-korea-kr.pdf>
10 金明中(2019)「韓国でも外国人労働者が増加傾向―外国人労働者増加のきっかけとなった雇用許可制の現状と課題を探る―」『基礎研レポート』(ニッセイ基礎研究所)(2019/03/27) <https://www.nli-research.co.jp/files/topics/61191_ext_18_0.pdf?site=nli>
11 政府が国民全員に対し、生活に最低限必要なお金を定期的かつ無条件で支給する制度。
12 「ベーシックインカム、韓国で高まる導入論―京畿道知事『福祉と経済、双方に有効』」『日本経済新聞電子版』(2020/09/24)<https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64210080U0A920C2FF2000/>
13 「中国内の大半のワイヤーハーネス工場を再開(韓国)」(ジェトロビジネス短信)(2020/02/13)<https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/02/745835cb0c0b9176.html>
14 「新型コロナの影響で輸出入ともに引き続き減少(韓国)」(ジェトロビジネス短信)(2020/10/26) <https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/10/2662641e1095837b.html>
15 「韓国のGDP成長率推移」(〔韓国〕聯合ニュース(日本語版))(2021/01/26) <https://jp.yna.co.kr/view/GYH20210126001300882?section=image/graphics>
16 2020年5月28日夜から翌朝にかけて、韓国国防部と在韓米軍は、THAADが配備されている韓国南部・慶尚北道星州郡の基地に装備を搬入した。29日、国防部は韓米将兵の勤務環境を改善し、老朽化した一部の装備の入れ替えをその理由として説明した。この配備に対し、中国外務省の趙立堅報道官は29日の記者会見で、断固反対すると述べた。(「米軍THAAD基地に一晩で装備搬入 対中関係の悪化懸念も=韓国」(〔韓国〕聯合ニュース(日本語版))(2020/05/29) <http://yna.kr/AJP20200529000400882>「中国、韓国へのTHAAD配備に断固反対=外務省」(2020/05/29)< https://jp.reuters.com/article/china-southkorea-usa-thaad-idJPKBN23512I>)
17 「韓中首脳 習主席の年内訪韓推進へ=電話会談」(〔韓国〕聯合ニュース(日本語版))(2020/05/13)
< http://yna.kr/AJP20200513005600882 >
18 累計報告数は346、死亡者数37、致死率11%であった。(「重症急性呼吸器症候群(SARS)『可能性例』国別報告数のまとめ(2002年11月1日~2003年7月31日)」 (国立感染症研究所・感染症情報センターHP) <https://idsc.niid.go.jp/idwr/kansen/k05/k05_06/kansen01.gif>)
19 中国に融和的だった国民党の馬英九・前政権時代は、WHOなどの国際機関への「オブザーバー」参加が可能であったが(2009~2015年)、「一つの中国原則」を受け入れない民主進歩党(民進党)への政権交代(2016年)後は出来なくなった。
20 「台湾、SARSの経験生かす 『WHOは今何ができるのか』陳副総統単独取材」(フォーカス台湾(中央通訊社)日本語版)(2020/03/25)http://japan.cna.com.tw/news/apol/202003250004.aspx
台湾のCOVID-19対策については、野嶋剛(2020)『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)に詳しい。
21 「傷めなかった民主主義、抑えた感染 オードリー・タン氏」『朝日新聞(デジタル)』(2021/01/14)<https://digital.asahi.com/articles/ASP1F4HSPP18UHBI01N.html>
22 2020年8月の高雄市長補欠選挙に出馬するため辞職し、選挙に圧勝した。
23 名前、生年月日とIDナンバーが記載されており、個人の医療資料を格納したICチップが埋め込まれている。IDナンバーと個人の基本情報や病歴、服薬の履歴などが紐づけられており、ICチップを読み取ると、ネットワークで衛生福利部中央健康保険署のサーバークラウドで収集・管理されている個人の情報にアクセス・閲覧できるようになっている。これにより、患者は診察の予約や診察当日の受付、薬局での処方箋のやり取りなどを健康保険証1枚で行うことが出来る。
24 台湾『今周刊』「台湾が世界有数のマスク生産大国となった理由―日本に200万枚寄贈はなぜ可能になったのか」『東洋経済(オンライン)』(2020/05/22)<https://toyokeizai.net/articles/-/395728>
25 「医療用マスクの備蓄5億2千万枚超 経済部「十分」/台湾」(フォーカス台湾(中央通訊社)日本語版)(2020/12/23) <https://japan.cna.com.tw/news/asoc/202012230002.aspx>
26 中華民国外交部「Taiwan Can Help, and Taiwan is Helping!」<(中華民国外交部HP)
<https://en.mofa.gov.tw/cp.aspx?n=AF70B0F54FFB164B>
27 中華民国外交部「108年中國阻撓我國際空間事例」(中華民国外交部HP)(2019/12/31) <https://ws.mofa.gov.tw/Download.ashx?u=LzAwMS9VcGxvYWQvT2xkRmlsZS9XZWJBcmNoaXZlLzI2NTUvMTA45bm05Lit5ZyL6Zi75pKT5oiR5ZyL6Zqb56m66ZaT5LqL5L6LXzEwODEyMzEucGRm&n=MTA45bm05Lit5ZyL6Zi75pKT5oiR5ZyL6Zqb56m66ZaT5LqL5L6LXzEwODEyMzEucGRm&icon=.pdf>
28 ソマリランド共和国については、高野秀行(2013)『謎の独立国家ソマリランド―そして海賊国家ブントランドと戦国南部ソマリア』(本の雑誌社)に詳しい。
29 「対外関係(2020-07-22)台湾とソマリランドが相互に代表部を開設、『台湾』名称を採用」(RTI(Radio Taiwan International日本語版)(2020/07/22)<https://jp.rti.org.tw/radio/programMessageView/id/60101>)
30 中華民国外交部「我國在蓋亞那設立『台灣辦公室』」(中華民国代表部HP)(2021/02/04)
<https://www.mofa.gov.tw/News_Content.aspx?n=95&sms=73&s=95317>
31 「台湾の南米・ガイアナ事務所が白紙に 『ワクチン提供』巡り中国が圧力か」『毎日新聞(デジタル)』(2021/02/05)<https://mainichi.jp/articles/20210205/k00/00m/030/230000c>
32 中華民国外交部「我國對蓋亞那政府發布中止與我國簽署的設處協定事深表遺憾」(中華民国外交部HP) (2021/02/05)<https://www.mofa.gov.tw/News_Content.aspx?n=95&sms=73&s=95334>
33 2020年7月、発行。1000台湾元(約3,700円)を購入すると、台湾当局が差額を負担し、3倍の3000台湾元(約11,000円)の支払いに充てることが出来る。飲食や買い物だけでなく、携帯電話代や病院の診察費など、幅広い使いみちが認められた上、赤ちゃんからお年寄りまで台湾籍を持つ2,300万人以上の券が用意された。(「コロナ禍で台湾流の経済対策」(NHK NEWSおはよう日本)(2021/02/04) <https://www3.nhk.or.jp/news/contents/ohabiz/2021_0204.html>
34 「台湾 去年のGDP 前年比2.98%増加 コロナ感染抑えプラス成長」(NHK NEWS WEB)(2021/01/29) <https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210129/k10012840271000.html>
35 「移住労働者の権利と感染症対策をめぐる台湾の大学教員5名の共同声明」(2020年2月28日発表)<https://jig-jig.com/serialization/now-and-here/taiwan_covid19/>
36 藤原(2016)p. 195
37 「台湾・陳副総統インタビュー詳報 日本の支援に感謝」『産経デジタル』(2020/02/26)<https://www.sankei.com/world/news/200226/wor2002260030-n1.html>
38 野嶋(2020)p. 89
39「疾病管理庁発足へ 感染症対策を強化」(KBS WORLD RADIO) (2020/09/08)<https://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=76843>
40「 BBC『ことしの女性100人』に鄭銀敬疾病管理庁長が選ばれる」(KBS WORLD RADIO)(2020/11/25)<https://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=77534>
41 澤田克己「韓国の感染症対策に見るリスクコミュニケーション(オアシスのとんぼ)」(毎日新聞「政治プレミア」(2020/04/15)<https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20200414/pol/00m/010/005000c>台湾の陳時中・衛生福利部長は、国民の不安を取り除くため毎日記者会見を行い、記者からの質問に丁寧に回答し続けたタフさから、「鉄人部長(大臣)」というあだ名で呼ばれている。
42 携帯電話を用いた追跡方法は、韓国と台湾では異なる。韓国では詳細な情報が得られるGPSが使われているのに対し、台湾では携帯電話の微弱電波を利用した位置情報システム(「電子フェンス」)が用いられている。台湾のシステムはコロナ禍前より使われており、地震などの警報で使う既存のものであるであるという(前掲「傷めなかった民主主義、抑えた感染 オードリー・タン氏」)。
43「“코로나19 수칙 위반 신고해주세요”…포상금도 지급」(2020/06/26)『한겨례』
<http://www.hani.co.kr/arti/society/health/951107.html>
44 行政安全部によれば、 20年7月1日から12月末まで、64,283件の申告が行われた。そのうち、「防疫管理に大きく役立った」115名に褒賞金が支給されたという。
45 行政安全部「(설명) ‘코파라치’ 기승에 두 번 우는 자영업자 ... “포상금 제도 중지해야” 청원 등장 (매일경제)」(2021/01/04) 行政安全部HP <https://www.mois.go.kr/frt/bbs/type001/commonSelectBoardArticle.do?bbsId=BBSMSTR_000000000009&nttId=82088>
46 「『強制権限、自治体に与えるべき』韓国・大邱市長に聞く」『朝日新聞(デジタル)』(2020/05/04)<https://digital.asahi.com/articles/ASN51747JN4YUHBI03M.html>
47 「文大統領『韓国が防疫で世界をリード』 就任3年の演説」『朝日新聞(デジタル)』(2020/05/10)< https://digital.asahi.com/articles/ASN5B3VHBN5BUHBI00B.html>
48 チョン・ギソク「新型コロナウイルス感染症が韓国に与えた影響」李載泰編(2020)所収。
49 「習主席の3月訪問報道『決まったことない』=韓国大統領府」『〔韓国〕聯合ニュース(日本語版)』(2020/01/07)<https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200107006000882>
50 韓国観光公社「2020년 1월 외래객입국·국민해외여행객 및 관광수입·지출 동향」(2020/03/13)韓国観光公社HP<https://kto.visitkorea.or.kr/file/download/bd/04fa3f60-64f7-11ea-bc93-0f3adbc5b185.pdf.kto>
51 「코로나바이러스감염증-19 중앙재난안전대책본부 정례브리핑 (3월 29일)」(2020/03/29)보건복지부HP
<http://www.mohw.go.kr/react/al/sal0301vw.jsp?PAR_MENU_ID=04&MENU_ID=0403&page=1&CONT_SEQ=353790>
52 <http://ncov.mohw.go.kr/selfcheck>にてダウンロード可能。
53「韓国入国の際入国手続及び隔離義務化措置のご案内(1月14日)」(2021/01/04) 駐日本国大韓民国大使館HP<http://overseas.mofa.go.kr/jp-ja/brd/m_1068/view.do?seq=760619>
海外からの入国者に義務づけられている2週間の隔離を拒み8回にわたって外出したため、感染症予防法違反で外国人として初めて逮捕された日本人男性は、ソウルの地方裁判所で懲役6か月、執行猶予2年の有罪判決を言い渡された(「韓国 入国後の隔離拒否した罪の日本人に有罪判決 新型コロナ」(NHK NEWS WEB)(2020/07/15)< https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200715/k10012516601000.html>)。
54 野嶋(2020), p. 267
55 「3月5日至14日自歐洲入境民眾請儘速通報鄉鎮公所;另針對所有非本國籍人士限制入境,所有入境者入境後都需進行居家檢疫14天」(2020/03/18) 衛生福利部疾病管制署HP <https://www.cdc.gov.tw/Bulletin/Detail/mwGBh07PQ_2FeJvl9xhfZw?typeid=9>
56 「中国、台湾への個人旅行を当面停止 蔡政権に圧力」『日本経済新聞電子版』(2019/07/31) <https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48020010R30C19A7FF1000/>