- 北極における教育、研究並びに先住民の包括的な参画、平和、気候変動及び持続可能な発展に関する啓発活動の確保
- 日本及びグリーンランドその他関係者との間における学術・政策対話の促進
- フェローシップ・プログラム、研修、人事交流を通じた人材育成
笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI)の前身である海洋政策研究財団(一般財団法人シップ・アンド・オーシャン財団)は、1990年代から北極の課題に取り組んできました。地政学的な緊張が高まる一方で環境変化が進行する北極域では、関係国間の対話や科学データの共有を含む研究協力の継続が不可欠です。笹川平和財団は、民間の研究機関として北極海航路をはじめとする調査研究を通じ、日本における北極政策の推進に貢献してきました。今回の協力は、グリーンランド自治政府が提唱した「ピースセンター構想」が具体化したものであり、この構想は、上川陽子前外務大臣がグリーンランドを訪問し、自治政府と会談した際の議論を契機に進められたものです。過去の議論を踏まえた重要な一歩となります。
グリーンランドは、気候変動の影響を強く受けている北極域の、地政学的にも重要な地域です。北極評議会のオブザーバー国でもある日本は、長年にわたり主に北極科学研究に積極的に貢献してきました。今回の覚書締結による協力は、地域に暮らす人々とともに、先住民の知恵を尊重しながら共存を図り、次世代を担う人材を育成し、平和構築や持続可能な発展を促進するための重要な一歩です。ピースセンターを拠点に、グリーンランドの人々が自らの考えを世界に発信し、国際社会との対話を深めることを支援していきます。北極域研究の豊富な実績と、現地の人々から厚い信頼を得ている民間財団である笹川平和財団が、グリーンランドからの協力要請に応えることには大きな意義があります。この取り組みは、世界から注目される協力関係の一つになると確信しています。