国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 大和裕幸、以下「JAMSTEC」という。)地球環境部門 海洋生物環境影響研究センター 海洋プラスチック動態研究グループの池上隆仁副主任研究員、公益財団法人笹川平和財団(理事長 角南篤)の
海洋政策研究所に所属する豊島淳子研究員らの研究グループは、太平洋側北極海(※)のうちチュクチ海に存在するマイクロプラスチック量及び太平洋から当該海域に流入するマイクロプラスチック量を初めて明らかにしました。
太平洋側北極海(チュクチ海)におけるプラスチックごみ汚染の実態はこれまでほとんど把握されていなかったところ、今回の研究では人間の生活圏から遠く離れたチュクチ海の沖合においてもマイクロプラスチックが検出されました。チュクチ海の海水中のマイクロプラスチック存在量は平均で5,236個/ km
2であり、チュクチ海全体の海水中のマイクロプラスチックの総量は33億個と見積もられた一方、太平洋からのマイクロプラスチック流入量は180億個/年と推定され、チュクチ海の海水中にはその一部しか存在しない可能性が高いことがわかりました。これらの結果から、太平洋から北極海に流入するマイクロプラスチックの大部分は、チュクチ海の海水以外の場所(海氷や海底堆積物、生態系など)、あるいはボーフォート海など北極海の下流域に蓄積している可能性があり、今後太平洋側北極海に流入したマイクロプラスチックの動態をさらに明らかにする重要性を示唆しました。
本研究の成果は、「Science of the Total Environment」に11月1日付(日本時間)で掲載されました。
詳細は
JAMSTECのウェブサイトをご覧ください。
※太平洋側北極海:チュクチ海、ボーフォート海、東シベリア海が該当する。