入山 映
全国公益法人協会発行
その意味では、百年ぶりの民法34条の見直し、非営利法人制度の確立はまさに歴史的な事件になる可能性があった。何故「あった」と過去形でいうかといえば、全く公開の議論がされないまま、うやむやのうちに今回制度改正の検討対象は公益法人周辺に限定されたように見受けられるからである。その他の非営利法人の将来像については一切言及されない。何故か。 拙速を尊ぶ理由は何もない。営利動機に基づかない経済行為、配当を求めない投資はいかに定義されるか。それをわれわれはどう評価し、どう対応するか。それは伝統的な公と私の弁別、あるいは私益と公益にどう関連するか、あるいはしないか。そうした問題は「この国のかたち」の根幹に関わるとともに、新たなる時代の文化の源泉になるはずのものである。今からでも遅くない。非営利活動の全体像についての検討が開始し、今回の制度改革の対象とされるべきである。
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