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国際海底機構の開発規則策定状況と日本の課題

中田達也
笹川平和財団海洋政策研究所 (OPRI) では、OPRIの研究員を中心に海洋に係る国内外のさまざま動きを分析し発信する、海の論考「OPRI Perspectives」を発行しております。

第12号はOPRI特任研究員の中田達也氏による論考「国際海底機構の開発規則策定状況と日本の課題」です。
【要旨】
本稿は、ISAが策定中の「開発規則案」の現状までを概観し、日本の現行法制がそれに耐えうるものかにつき法的な検討を行うものである。2020年は、ISAの事務局長選挙及び理事国選挙などが行われる予定だったが、COVID-19がもたらした状況のため、2020年7月の総会・理事会は12月に延期されることとなった。このため、「開発規則」の採択は2021年以降にずれ込むと思われる。同様に、国家管轄圏外域の生物多様性に関する条約交渉も来年第2四半期に延期となった。ISAは3つの鉱物に関する「探査規則」を採択し、国際海洋法裁判所・海底紛争裁判部の勧告的意見は保証国の義務について言及した。契約者については、ISAが指針を策定し、幾度か改訂を加えている。日本は、マンガン団塊とコバルトリッチクラストの2つの探査契約をしている。かかる状況にあって、深海底鉱業暫定措置法、鉱業法及び鉱山保安法について考察する(3章)。また、深海底活動の海洋への影響は、海底、水柱、表層海域の3局面に及びうることを明らかにした(3章3節)。なお、本稿は、中国及び韓国の深海底に関する法律と比較検討するための序章の位置づけを持つ。それは、アジア諸国が制定する「深海底法」の検討の必要を念頭に置いている。

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