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【開催報告】 「信頼できる海事デジタル社会構築に向けたセキュリティの役割」セミナー ―衛星VDESによるAIS認証の有効性に関するセミナーを開催―
笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI)は2026年10月14日、「信頼できる海事デジタル社会構築に向けたセキュリティの役割」セミナーを東京(笹川平和財団ビル)で開催しました。
今回のセミナーは、AISなりすまし(スプーフィング)が多発する中、現状認識とユーザーニーズの把握を行うとともに、OPRIが推進する衛星VDESの有益性実証からAIS認証の事例を紹介し、海事ユーザーにその有益性を認識していただくことを目的に開催されました。当日は約100名の専門家や業界紙の関係者にご出席いただきました。
引き続き、AISなりすましの現状に関して、Kplerの山田優氏から、同社が提供する海事データベースを活用し、リアルタイムで把握された位置・身元偽装の船舶数やその状況についての報告が行われました。尚、同社システムでは、AIS情報以外に衛星画像や機械学習、貨物データなどを組み合わせた複合的な分析手法を利用しており、AISの不確実性や異常行動自体をリスクのシグナルとして捉えるとともに、送信元認証を付与するVDESの導入により高度なリスク船舶の特定・分析が可能になるとの補足説明が行われました。
損害保険ジャパン株式会社の橋場聖氏からは、GPSジャミングやAISスプーフィングなど海事サイバーリスクが激増しており、船体に物理的損害がない運航停止・経済損失は従来の船舶保険では補償対象外となる「死角」が生じていたが、今般、「専用型サイバー保険」を展開し、船体の無傷・物理的損害なしで生じた電波干渉やシステム障害による不稼働損失や原因調査費用などもカバーする補償体系を構築し、現場のニーズに応じた『専用型サイバー保険』の提供を開始した旨の説明がありました。また、AIS情報の正誤は船舶の動静把握に影響するため、AIS認証がリスク評価の正確性を高める効果も期待されるとの補足説明がありました。
講演の最後に登壇したスターヌラ・ジャパンの西村浩一氏から、紙海図廃止やS-100/VDES等のSOLAS条約改正を見据え、笹川平和財団海洋政策研究所の支援のもと、6カ国連携で衛星VDESを用いた海洋デジタル化の実証事業(フェーズ2)を推進している旨に加えて、昨年度に引き続きVDES衛星「Ymir-1」等を活用し、帯域が限られるVHF通信において、デジタル航行警報(S-124)など航行安全に不可欠な「小容量だが重要」なデータを確実に船陸間で伝送・表示する技術の検証を進めている旨が報告されました。
- 論点1:AIS情報はどこまで信頼できるのか?
- 論点2:Authentication(認証)で何が変わるのか?
- 論点3:誰がその信頼を保証するのか?
OPRIは、衛星VDES有益性実証プロジェクトの最終報告書を本年度末にまとめる予定であり、今回のセミナー登壇者並びに参加者の皆様との意見交換を通じて政策提言に生かせるご示唆を頂きましたことに感謝申し上げます。
【参考資料】
今回イベントの資料は以下のリンクよりPDF版をご覧いただけます。
セミナー開催案内(83.4KB)
セミナー タイトル(127.5KB)
開催趣旨(130.2KB)
VDESとは何か(1.6MB)
VDESを使ったAIS認証のしくみ(1004.8KB)
実例から見るAISの不正操作・ダークアクティビティ(2.4MB)
船舶保険におけるサイバーリスクへの対応(855.4KB)
衛星VDES有益性実証プロジェクト中間報告(2.7MB)
パネルディスカッション 資料(1.5MB)
(笹川平和財団海洋政策研究所 渡辺 忠一)