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【開催報告】日本におけるVDES研究開発の報告(IMO NCSR13)
国際海事機関(IMO)の航行安全・無線通信・捜索救助小委員会第13回会議(NCSR13)において、6月23日(火)の昼休みの時間を利用して、日本におけるVDES(VHF Data Exchange System)の研究開発に関して、笹川平和財団海洋政策研究所が主催して発表会(プレゼンテーション)を実施した。
プレゼンテーションは、在英大使館の堀内隆史一等書記官が開会し、野口英毅氏(元海上保安庁、現日本船舶技術研究協会)の司会で進められた。
笹川平和財団海洋政策研究所・客員研究員の吉田公一は、日本におけるVDES(VHF Data Exchange System)の研究開発に関して、発表(プレゼンテーション)を行った。すなわち、VDESに関する検討が国際航路標識機関(International Organization for Marine Aids to Navigation:IALA)によって2010年代に開始され、IALA及び国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R:International Telecommunication Union Radiocommunication Sector)がVDESに関する技術標準及び勧告を作成してきていること、IALAでのVDESに関する標準の作成には海洋政策研究所が大いに貢献していることを表明するとともに、IMOの海上安全委員会第111回会議(MSC111:2026年5月開催)が船舶で運用しているAIS(Automatic Identification System)の代替としてVDESの利用を認める旨の海上人命安全条約(SOLAS)の改正を採択し、2028年1月1日から発効することを紹介した。吉田はさらに、2023年に大島商船高等専門学校が古野電気の補助を得て、周防灘においてVDESによる船舶間の航行情報交換に関する海上実証実験を実施したこと、2025年には、海洋政策研究所が主導し東洋信号通信社が海外関係機関(英国、米国、デンマーク、スウェーデン)の協力を得てYMIR-1衛星を利用した地上局―衛星―船舶間のVDES通信の実証実験の実施に成功したことを紹介した。
吉田公一のプレゼンテーション(吉田の右は高屋氏と堀内一等書記官)
このプレゼンテーションではさらに、IHIの大貝高士氏及びアークエッジ・スペースの中村大地氏が日本の経済安全保障重要技術育成プログラム(通称Kプロ)の状況及びVDES衛星の開発状況を発表した。大貝氏は、2023年度から始まったKプロの状況として、船舶局、海岸局、および地上ネットワークの開発が進み、実証試験が実施されていること、更にはVDES衛星と船舶局との実証試験が予定されていることを紹介した。また、継続的なデータ取得、および潜在ユーザからのフィードバックを目的とした伊勢湾・三河湾に試験サイトの開設を今年度の秋に予定していることを説明した。中村氏は、VDES衛星での展開型VHFアンテナやVDES通信機の軌道上実証の状況、並びにAIS信号の受信成功などの成果について紹介した。あわせて、将来的には衛星コンステレーションの構築により、海上安全や海事デジタルサービスへの活用が期待されることを説明した。
このプレゼンテーションの締め括りとして、海洋政策研究所の特任部長の高屋繁樹は、VDESが海上安全において多くの貢献の可能性があることを表明し、各国が協調してVDES利用へ向けた活動をさらに活発に実施することが期待されていることを銘記した。
IHI 大貝高士氏
アークエッジ・スペース 中村大地氏
質疑応答時の壇上風景 (高屋氏、堀内一等書記官、野口氏、大貝氏、吉田、中村氏)
また、このプレゼンテーションに引き続いて、海洋政策研究所、IHI及びアークエッジ・スペースは、IMO内のラウンジにて昼食を提供し、さらなる意見交換とネットワーキングの場を提供した。
また、NCSR13の会議期間中に、IMO内のラウンジにおいて、VDESに関する展示を行い、VDESに関する意見と情報の交換を促進した。
IMO・NCSRの議長のMr. Joris Brouwers(オランダ)をはじめ、各国代表は、このプレゼンテーション及び昼食とVDESに関する意見交換の場の提供に対して、NCSR13会議の中で、御礼を述べた。