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持続可能な海洋の未来を支える投資フレームワーク「オーシャン・インパクト・ナビゲーター(OIN)」日本版を公表
持続可能な海洋を実現するため、ブルーファイナンスは2018年に世界初のブルーボンドが発行されて以来、新たな投資市場として注目を集めています。現在、政府、民間、大学発のベンチャーキャピタルなど、多様な分野で投資が加速しており、今後は投資とイノベーションの好循環を生み出すことが不可欠です。
その第一歩として、環境・社会・経済にインパクトをもたらすスタートアップを適切に評価する仕組みが求められています。特に、海洋へのポジティブなインパクトを明確にするためには、インパクト測定・マネジメント(IMM)の共通手法の確立が重要な鍵となります。
この課題に応えるべく、世界経済フォーラムが支援する「1000 Ocean Startups Coalition」は、海洋の健全性、気候変動、人間の福祉と公平性の観点からイノベーションのインパクトを捉える評価(KPI)フレームワーク 「オーシャン・インパクト・ナビゲーター(OIN)」 を開発し、2022年にポルトガルで開催された第2回国連海洋会議で発表しました。
OINは、投資家にとってインパクトの可視化と強化を可能にし、戦略的な意思決定を支援するツールです。一方、スタートアップにとっては、IMMの要件を簡素化し、投資家へのアピールを強化する手段となります。2022年の発表以来、OINはすでに世界中の投資家に活用され、インパクトのモニタリング、調整、効果的な伝達を通じて、投資判断の向上に貢献しています。

そして2024年より、笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI) は、「オーシャン・インパクト・ナビゲーター(OIN)」の開発に協力し、さらに社会変革推進財団(SIIF)とOIN日本版を共同監修しました。日本版OINは2025年3月5日にアジア開発銀行研究所(ADBI)と共催する「海洋のシステムチェンジとブルーインパクトファイナンス国際会議」にて正式に発表されます。
OINは、投資家や海洋スタートアップが事業のインパクトを定量的・定性的に評価できるツールとして、今後の海洋関連投資の指針となることが期待されます。また、笹川平和財団海洋政策研究所は「Think, Do, Innovate-Tank」として、ブルーインパクトファイナンスのエコシステムの構築を通じて海洋のシステムチェンジ促進に貢献して参ります。

「オーシャン・インパクト・ナビゲーター」レポート(3.4MB)
「オーシャン・インパクト・ナビゲーター」技術付録(3.6MB)
(文責:笹川平和財団 海洋政策研究所 主任研究員 黄 俊揚)