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【開催報告】日中海洋科学協力ワークショップを開催しました

2025.01.08

 笹川平和財団海洋政策研究所(Ocean Policy Research Institute, the Sasakawa Peace Foundation: OPRI/SPF )は2024年12月25日、中国自然資源部第一海洋研究所(First Institute of Oceanography, Ministry of Natural Resources, China)および中国自然資源部海洋発展戦略研究所(China Institute for Marine Affairs, Ministry of Natural Resources, China)と共催で、東京にて日中海洋科学協力ワークショップを開催しました。
 2024年6月、FIO、CIMA、OPRI/SPFならびに上海台風研究所が共同申請した、国連海洋科学の10年アクション・プロジェクト「北西太平洋における台風の予報および対応」(Typhoon Forecast and Response in Northwest Pacific: TFRiN)がUNESCO/IOCに承認されました。
 北西太平洋は世界で最も台風の発生頻度が高い地域であります。台風災害への対応は日本と中国を含む沿岸諸国が直面する共通の課題であります。正確な台風予測は地球科学の分野において常に最前線の課題であり、台風に起因する海洋災害対策に関わる政策研究も常に日中両国にとって重要な研究テーマであります。また、海洋科学の協力を通して、海洋災害への対応に関する共同研究における日中協力を積極的に推進することは、北西太平洋の沿岸諸国による協力メカニズムの構築に寄与しうると考えられます。
 今回のワークショップは上記の趣旨に基づき、TFRiNアクション・プロジェクトに関わる今後の活動計画の検討、日中両国による連携・協力のあり方や想定される課題、用いるべきアプローチ等を検討することを目的として、日中両国から人文・社会科学や自然科学を専門とする研究者が参加しました。
 角南篤・笹川平和財団理事長兼海洋政策研究所長、張海文・中国海洋発展戦略研究所研究員(前所長)および魏澤勛・中国自然資源部第一海洋研究所副所長(党書記)による開会挨拶においては、各研究所がこれまで取り組んできたプロジェクトを紹介するとともに、国連海洋科学の10年における日中両国による連携・協力の重要性が示唆されました。
 続いて実施された話題提供では、王世柱・中国自然資源部第一海洋研究所副研究員から「中国における国連海洋科学の10年」、魏澤勛副所長から「北太平洋における台風の予報および対応(TFRiN)プロジェクトの概要」、徐騰飛・中国自然資源部第一海洋研究所副研究員から「気候変動下の北西太平洋における台風予報および対応に係る日中共同研究」、田中広太郎・笹川平和財団海洋政策研究所研究員から「我が国における国連海洋科学の10年」、小森雄太・笹川平和財団経営企画部特命案件チーム長から「我が国における危機管理」、高翔・笹川平和財団海洋政策研究所主任研究員および朱夢瑶・笹川平和財団海洋政策研究所研究員から「日中海洋科学分野における連携・協力の好例」とそれぞれ題した報告が行われました。
 そして、話題提供を受けて実施された意見交換では、牧野光琢・東京大学大気海洋研究所教授にもご参加いただき、日中両国による海洋分野における連携・協力の最新動向や今後の課題等に関する情報の提供や共通認識の醸成が図られました。
 当研究所では、このワークショップでの議論を踏まえ、様々な機会を利用し、引き続き海洋の持続可能な開発のための国連海洋科学10年の推進に貢献していく所存です。

ワークショップの参加者

(文責:笹川平和財団海洋政策実現部 主任研究員  高 翔)

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