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【開催報告】2023年度国際海洋人材育成プロジェクト(海洋人材100人育成計画)

2024.04.10

 笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI)では、持続可能な海洋の利用を実現する上で、2030年以降に活躍する次世代の海洋リーダー育成が喫緊の課題と捉え、2022年から5年間で100名の若者を支援することを掲げ、船舶や国際会議の場を活用した海洋リーダー育成プログラムを展開しています。
 
 そのプログラムの一環として、2023年度は世界12か国から20人のユースを招へいし、帆船「みらいへ」にて海洋教育プログラムを実施しました。「みらいへ」は、日本-パラオ親善ヨットレース2024の伴走船として、3月10日に横浜港からパラオのコロール港に向けて出航しました。約二週間の航海中、ユースは帆船航海術の体験実習と並行して、海洋の抱える課題について議論しました。
 
 OPRIは海洋リーダーの能力として、1. 海洋問題の発見、共有、合意形成能力、2. 海洋への関心、3. 海洋リテラシー(基礎知識)の3つに焦点を当て、乗船中に様々な教育プログラムを行いました。
 プログラムでは、米国アラスカから招聘した海洋教育のインストラクターによる海洋リテラシーの座学、海洋観測データの解析、プランクトンネットで採取したマイクロプラスチックの観察など、目の前の海洋を知る学習をしました。

 
(左) 甲板でのインストラクターによる座学 (右) 回収した海洋観測データの解析

 また海に関する学習だけではなく、次世代海洋リーダーとして、国籍や年齢の異なる他者とのコミュニケーション能力を高めるために、デッキ・船内掃除、操帆作業、ワッチごとの気象観測といった、船共同生活やチームワーク活動も多く行いました。

(左) 船内清掃および (右) 操帆作業の様子

 最後にユースたちは、乗船中に学んだ知識を基に、「帆船みらいへから海洋問題(マイクロプラスチック、エネルギー、食糧廃棄など)を解決する」をテーマに、プレゼンテーションも行いました。

プレゼンテーションの様子

 パラオ到着後の25日に開催された下船式には、日本、パラオ政府機関から多くの参加者が参加しました。パラオからはSteven Victor氏, (農業・漁業・環境省大臣), Thomas Esang Remengesau, Jr氏(パラオ前大統領)、Gustav Aitaro氏(国務大臣)、Sam Scott氏(パラオ・セーリング協会会長)が、日本からは折笠弘維氏(駐パラオ日本国大使)、阪口秀氏(笹川平和財団海洋政策研究所所長)、新田 肇氏(日本パラオ青少年セーリングクラブ(JPYSC)代表理事)らが参加し、ユースたちへねぎらいの言葉をかけました。

(左) 集合写真 (右) スピーチをする阪口所長とユースたち

 ユースからは代表者として木村咲良さん、佐藤幸さん、ヤーマン・チャカロオールさんが、スピーチをしました。彼らは航海中にマスト登り、海水サンプルのデータ解析やレクチャーなど様々な経験ができたことについて、関係者の方への感謝の念を示しました。

スピーチをするユース (左) ヤーマン・チャカロオールさん、(右) (左側から) 斎藤幸さん、木村咲良さん

 最終日には、ユースたちと阪口所長を交えた意見交換会も開催されました。ユースたちは阪口所長に感謝の念を伝えながら、今回の旅において、年齢も国籍も異なる新しい「家族」ができたこと、数年後には同窓会を開くことなどを話しました。

参加したユース、インストラクター、阪口所長 (中央)

 今回のプログラムで得られた成果は、非常に大きなものと感じております。代表的な成果として四点あげられます。
 
(1)ユースの海洋リーダーとしての能力開発
OPRIは今回のプログラムの評価を定量的に行うべく、乗船前、乗船後にアンケート調査を行いました。その結果、3つの能力 (1. 海洋問題の発見、共有、合意形成能力、2. 海洋への関心、3. 海洋リテラシー (基礎知識))すべてにおいて、乗船後に統計的に有意な上昇結果が得られました (こちらの分析結果については後日レポートなどで報告いたします)。
(2)外部メディアの発信
参加者のヤーマン・チャカロオールさんは、乗船中に自ら行った気象データの観測と合わせて、今回の航海についてトルコメディアから多数取材を受けました (下記記事リスト1-27)。また、今回の旅の様子は、帆船「みらいへ」クルーの方がXで毎日投稿しました (28)。そして、在パラオ日本大使館も、下船式の様子をホームページに載せました (29)。また、パラオメディアも下船式の様子を取り上げました (30)。
(3)学術的成果
参加したユース二人(松野允時さん、ミラッツ・ホッセイン・チョウドフリーさん)は、今回観測した海洋データを用いて、The GLOBE (Global Learning and Observations to Benefit the Environment) Program という国際科学教育プログラムにおいて、ポスター発表をしました (31)。
(4)新たな「家族」
ユースたちには、年齢も国籍も異なるけども二週間を一緒に過ごした新たな「家族」ができました。
 
 今後彼らが世界中に羽ばたき、海洋リーダーとして活躍することを切に願っています。

(文責:海洋政策研究所 研究員 田中 元)

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29. 在パラオ日本大使館 (27th, Mar, 2024). 帆船「みらいへ」の下船式
30. Tia Belau Newspaper (28th, Mar, 2024).Tall ship Miraie arrives in Palau after 2-week long research expedition
31. Sanetoki Matsuno & Miraz Hossain Chowdhury (Mar 2024). Assessing the Accuracy of our Seawater Temperature at the Surface and Dissolved Oxygen Data. THE GLOBE PROGRAM.

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