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田中元研究員がPICES 2022 ベストポスタープレゼンテーション賞を受賞しました
学会参加者に説明する田中研究員
【発表紹介】 昨今、世界的に漁業管理への圧力が高まっており、適切な漁業資源管理が必要です。その解決策の一つとして、漁獲から消費までの情報を追跡する技術を提供することが考えられます。魚のトレーサビリティ情報を新たなビジネスチャンスとするためには、期待されるベネフィットの分析が必要です。漁業認証の経済価値を分析した先行研究はありますが、トレーサビリティに関する同様の研究は限られています。 そこで本研究では、Ocean To Table Councilが開発した「江戸前フィッシュパスポート」を事例として、日本の一般消費者がスズキのトレーサビリティ情報に対してどの程度の支払い意思額(WTP)を持っているかを明らかにしました。消費者はパスポート上で共有される情報により、ブロックチェーンやIoTを利用して、漁獲の地理的・時系列情報、漁師や仲買人のプロフィール、店舗や商品の情報などの魚のトレーサビリティ情報にアクセスすることができます。本研究では、消費者の情報に対するWTPを明らかにするために、一般消費者500名を対象にオンライン調査により、各製品要素が製品の総合評価にどのように影響するかを明らかにすることができる製品開発のための手法であるコンジョイント分析を適用しました。その結果、一般消費者は、漁業トレーサビリティ情報に対して、200円から300円程度のスズキの場合、30円程度を追加で支払う意思があることが統計的に有意に示されました。また、過去の購入経験により、WTPは統計的に有意に増加しました。
下記リンクより受賞ポスターのPDFファイルをご覧いただけます。
江戸前フィッシュパスポートに関する研究は、9月14-16日にシンガポールで開催されたSeafood Expo Asia でも発表し、業界紙Seafood Sourceでも取り上げていただきました(英語記事)。
Thai Union: Traceability key to success of seafood sustainability efforts