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【開催報告】第55回アジア開発銀行年次総会における『ブルーエコノミーとブルーファイナンス』書籍出版記念会および政策対話

2022.10.07

 笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI)は、アジア開発銀行研究所(ADBI)、オーストラリア国立海洋資源・安全保障センター(ANCORS)と共催で、2022年9月26日に開催された第55回アジア開発銀行(ADB)年次総会において、『ブルーエコノミーとブルーファイナンス』の書籍出版記念会および政策対話を開催しました。


左上より:ADBI園部哲史所長;OPRI阪口秀所長;ADBIシニアエコノミストPitchaya Sirivunnabood;
ADB Roberta Casali副総裁;パラオ共和国Steven Victor農業・漁業・環境大臣;ADBI Peter J. Morgan所長アドバイザー

 冒頭の挨拶で、ADBIの園部哲史所長は、「海洋は海洋生活の重要な原動力であり、気候変動に対する自然の緩衝材である。しかし今こそ海の恵みは当然そこにあるものと考えることをやめ、すべての人に利益をもたらす強固で持続可能な経済のために協力関係を強化する時である。」と述べました。OPRIの阪口秀所長は、フィジーで開催された第52回ADB年次総会で、ADBによる「健全な海洋と持続可能なブルーエコノミーのための行動計画」と「海洋金融イニシアチブ」の国際会議を共催されたことを回顧し、この数年間の努力を通して、「ブルーエコノミー」と「ブルーファイナンス」は、国際的に言葉の壁があるにもかかわらず、海洋に関する最もキャッチーな2つの用語となったと述べました。

 基調講演では、ADB副総裁Roberta Casaliが、ADB海洋ファイナンスの枠組みの立ち上げが、グリーンボンドやブルーボンドの枠組みのための海洋投資の指針と追跡に役立ったと指摘しました。また、その後2022年には、国連環境計画融資イニシアティブ(UNEP FI)および国際金融協力(IFC)とともに、ブルーエコノミーへの融資においてグローバル市場に一貫性と透明性を提供するためのブルーボンドガイダンスが作成され、これらの措置により、より多くのESG投資のための資金が開放されることが期待されると述べました。

 書籍『ブルーエコノミーとブルーファイナンス:持続可能な発展と海洋ガバナンス向けて(Blue Economy and Blue Finance: Toward Sustainable Development and Ocean Governance)』は、3つの研究所の共同編集によるものです。OPRIからは渡邉上席研究員と黄俊揚主任研究員が編集者を担当しました。本書は、アジア太平洋地域における持続可能な海洋・沿岸開発および管理を促進するための、エビデンスに基づくアプローチを提供することを目的としています。Peter J. Morgan(シニアコンサルティングエコノミスト・ADBI所長アドバイザー)とDominique Benzaken(ANCORSシニア政策アドバイザー)は、ガバナンス、沿岸計画、リスク管理の必要性について、本書の内容を紹介しました。本書は、地域の海洋持続性の課題と機会について理解を深めようとする政策立案者や研究者に、最新で学際的な方法論を提供するものです。


政策対話のパネルリストたち

 政策対話セッションでは、OPRIの黄俊揚主任研究員がモデレーターを務めた。パラオ共和国の農業・漁業・環境大臣のSteven Victor氏が、養殖サプライチェーンの回復力とパンデミック後のより良い再建への準備には、能力構築と国際協力が鍵になると強調しました。インドネシア、カンボジア、バングラデシュの関係者やシンクタンク代表は、ブルーエコノミーやブルーファイナンスの事例や進捗状況を紹介し、資金調達メカニズムの強化や政府や一般市民の意識の向上が重要であると訴えました。

 最後に、Pitchaya Sirivunnabood氏(ADBI キャパシティービルと研修部副部長兼シニアエコノミスト)が、OPRIとANCORSの協力関係を継続することを発表し、ウェビナーを終了しました。革新的、公平、包括的、かつ持続可能な戦略によって海洋の公平性を実現するためには、より幅広いステークホルダー間の多国間対話を強化するためのプラットフォームの構築が不可欠であることが、活発な議論によって示唆されました。

 なお、シンポジウムの様子はこちら (英語のみ) から録画でご覧いただけます。


(文責:海洋政策研究所海洋政策研究部 渡邉 敦、黄 俊揚)

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