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【開催報告】国連生態系回復の10年 第2回里海再生国際シンポジウム

2022.10.05

 笹川平和財団海洋政策研究所は、2022年9月20日に、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)・環境省との共催により、「国連生態系回復の10年 第2回里海再生国際シンポジウム」を開催いたしました。
 2021~2030年の10年間は、国連生態系回復の10年と位置付けられています。第1回シンポジウムでの議論を踏まえ、今回のシンポジウムでは気候変動緩和策として重要でかつ多面的な機能を有するブルーカーボン生態系の回復・再生を促進するための仕組みづくりと、里海の再生・回復における市民科学(シチズンサイエンス)の役割という2つの大きなテーマを取り上げました。

 冒頭挨拶では、UNU-IASの渡辺綱男マネージャーより、生態系回復の10年と持続可能な開発のための海洋科学の10年のシナジーの重要性や、共催者および登壇者への感謝の意などが述べられました。また当研究所所長の阪口秀より、海洋生態系の劣化のスピードに対応するため、科学的な知見を基に政策決定に結び付ける対策を急ぐ必要性などが述べられました。
 さらに、UNU-IASの柳谷牧子氏より、第1回シンポジウムの概要と議論の紹介、本シンポジウムの趣旨説明がなされました。また、当研究所研究員の豊島淳子は、気候変動が我が国の沿岸生態系や生物多様性に与える影響について紹介したのち、これらの現象についての科学的知見の不足を強調しました。

 続く「第1部 シチズンサイエンスによる沿岸生態系の保全・回復」では、東京大学大気海洋研究所の牧野光琢教授が登壇し、知床およびインドネシアの漁業者によるモニタリング活動について紹介し、科学者の関心ではなく地域の関心に基づくモニタリングが重要との考え方を示しました。また、メリーランド大学のウィリアム・デニソン教授は、日本・アメリカを含む世界の5か国で実施しているコーストカードプロジェクトの経験を共有しました。沿岸生態系の統合的管理を目的としたこのプロジェクトでは、住民参加型のワークショップ等を通じ、システマティックな手法で住民の参加や行動変革を促しています。さらに、海辺つくり研究会の古川恵太理事長より、「東京湾における市民による生態系再生と題し、アマモ場の再生事業や竹芝における人工干潟の創生の取組が紹介されました。

 「第2部 ブルーカーボン生態系の再生」では、初めに国際ブルーカーボンイニシアティブのステファン・クルックス氏より、10年間にわたって行ってきたブルーカーボンに関する科学的な調査研究や、それに基づいた政策担当者やステークホルダーへの啓蒙活動、地域コミュニティに対する支援活動などについて紹介がありました。続いて、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合を代表して信時正人理事が同組合の活動と横浜市におけるブルーカーボンのクレジット化プロジェクトについての発表を行いました。さらに、NPO法人里海づくり研究会議の田中丈裕氏より備前市日生のアマモ場再生活動について、漁業者の取組から始まった活動が行政・市民・学校などを巻き込み拡大していき、地域おこしや海洋教育の推進につながっている様子をご紹介いただきました。

 第3部では、パネルディスカッションとして、東京大学大気海洋研究所の原田尚美教授にモデレーターを務めていただき、古川氏、信時氏、田中氏の3名に加えて国土交通省海洋・環境課港湾環境政策室 青山紘悦室長、ならびに環境省自然環境計画課 守容平専門官にも参加いただき、ブルーカーボン生態系保全再生のための市民科学のデザインや統合的沿岸管理を進めていく上での課題などについて活発な意見交換を行いました。


第3部のパネルディスカッションの様子


なお、シンポジウムの様子はこちらから録画でご覧いただけます。

笹川平和財団YouTubeチャンネル  日本語英語


(文責:海洋政策研究所海洋政策研究部 豊島淳子)

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