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『衛星VDESに関する提言』を提出しました

2022.08.19

2022年6月に、2021年度衛星VDES委員会(事務局:公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所)は「衛星VDESに関する提言~海洋デジタル化時代に向けて~」を作成しました。本提言は、同研究所が2021年度の活動内容をもとに作成した活動報告書「衛星VDESの利用普及とその課題」に記載されている該当部分を抜き出し、イラストを加えて小冊子として改めて製本したものです。

内閣府、総務省、国土交通省はじめ関係省庁にて手交し、以下4つの内容を次期 (第4期)海洋基本計画に位置付けることを提案いたしました。

提言1:衛星 VDES に関する我が国ビジョンの検討
衛星VDESは海事・海洋産業分野のみならず、地球環境モニタリング、学術、安全保障などの分野にも利用が期待されている。海外では国家戦略として既にVDES衛星を複数基打ち上げつつある国もあり、海洋情報が通信インフラを持つ国々に蓄積されると考えられる。今後衛星VDESの利用拡大が予想される中で、省庁の垣根を超えた総合的な海洋情報の活用に関する政策の検討が必要である。具体的なニーズの発掘と利用可能性の追求、関係インフラの整備、研究開発と起業の支援策、宣伝・普及の促進策、VDESによって得られた情報の開示とセキュリティ・補償対策、関連法規の整備などである。衛星VDESに関する総合政策(ビジョン)の検討は、グローバル・コモンズ(海洋・宇宙・サイバー)の中で海洋国家としての我が国の国家戦略を固めることにも通ずる。

提言2:国際貢献の推進
衛星VDESにより、世界のあらゆる海域で大小・種類を問わずすべての船舶が、船舶間および船陸間で相互に円滑な情報交換ができるようになる。このために必要とされる基準・規則などの制定、衛星の運営・管理などを国際的な連携の下で検討してゆかねばならない。もちろん、国土面積に比して広大な排他的経済水域を有する途上国支援などへの支援も必要になる。海はひとつにつながっている「One Ocean」の理念のもと、世界のあらゆる船舶が利用言語や船籍によらず安全で安心な航行が行えるようにするため、船舶情報の電子的な相互通信と利用を衛星VDESによって達成し、海の自動運転とも言える「協調航法」を国際的に推進することが早急に求められる。更に、衛星VDESによって取得される海洋データの利・活用やその情報セキュリティなど、未だ国際的にも十分議論されていない課題について、わが国が国際社会を先導してゆくことが望まれる。

提言3:関連技術の研究開発および事業化の推進
衛星VDESの普及を図るためには、ビジネスモデルが経済的に自立する前の段階において政府によるアンカーテナンシー政策、関連する技術開発支援策、多様な事業者が共存共栄する仕組み作りが必要である。とりわけ、低廉なVDES関連機器・サービスの開発、ハード・ソフトウェアの開発を行う研究者・企業に対する支援方策、業界を超えた事業形態について検討が急がれる。

提言4:海洋デジタル時代の人材育成
衛星VDESによって得られる海洋・船舶のデータを収集、集積、分析、活用しこれを循環させることにより、新たな雇用を創出することができ、これが海洋デジタル社会構築に貢献すると考える。このためにはまず海洋のビッグデータを形成すること、同時に海洋の諸課題とデータサイエンスの双方に精通した人材の教育体制の確立が必要である。また、衛星VDESを嚆矢とする海洋のデジタル化・見える化によって、海洋が持つ可能性と重要性を若い世代に認識させることができれば、海洋立国の基盤強化にも通ずることになる。


「衛星VDESに関する提言~海洋デジタル化時代に向けて~」


(文責:笹川平和財団海洋政策研究所 田中広太郎)

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