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【開催報告】国連生態系回復の10年 里海再生国際シンポジウム

2022.03.08

笹川平和財団海洋政策研究所は、2022年2月9日に、国連大学サステイナビリティ高等研究所・環境省との共催により、「国連生態系回復の10年 里海再生国際シンポジウム」を開催しました。

2021~2030年の10年間は、国連生態系回復の10年と位置付けられています。本シンポジウムでは、この生態系回復の10年について情報を共有するとともに、人と海との関係性により育まれてきた「里海」に焦点を当て、脆弱性の高い沿岸生態系の回復や再生について、海外や日本の事例を紹介しました。さらに、里海の再生の取組を支える我が国の施策を紹介し、生態系回復の10年における里海再生のスケールアップについて考えるパネルディスカッションを行いました。

冒頭挨拶では、当財団理事長の角南篤より、生態系回復の10年の持つ意義と取組を進める重要性について述べました。また、国連大学サステイナビリティ高等研究所の山口しのぶ所長は、里海再生の取組や、統合的なランドスケープアプローチの重要性について述べられました。

続いて第1部「生態系回復の10年と里海について」では、最初に国連環境計画アジア太平洋地域事務所の八代真紀子氏より、生態系回復の10年の概要や、全世界より最も重要な10の取組(フラグシップ)を選定する計画について紹介いただきました。さらに、海洋政策研究所前川美湖主任研究員は、生物多様性と気候変動のシナジーとトレードオフについて述べ、日本の里海活動に関する事例研究について説明しました。さらに、国連大学サステイナビリティ高等研究所のイヴォーン・ユー氏は、里海の保全と再生がなぜ重要なのか、さらに私達が普段の生活の中でできる身近な里海保全の取組について紹介しました。

第2部「沿岸生態系回復の事例紹介―日本及び海外からー」では、4つの事例発表がありました。日本からは、恩納村漁業協同組合の山城正已氏による沖縄県恩納村における陸上の水槽で育てたサンゴの種苗を海中に移植する活動などの紹介のほか、南三陸町自然環境活用センターの阿部拓三氏より、持続可能な漁業に向けた取組や子供たちが行う生物多様性調査の取組を紹介いただきました。また、海外からの事例発表として、Montespertoli Ancient Grains協会のグイド・グアランディ氏より、イタリアのトスカーナ地方における伝統的な漁法や過剰漁獲の防止による持続可能な漁業の取組を、フィリピン大学ロスバニョス校のディクソン・ジェバーニャ氏より、フィリピンにおけるコミュニティが一体となったマングローブ保全再生の取組を、紹介いただきました。

第3部では、パネルディスカッションとして、政策を担う関連官庁として、環境省自然環境局自然環境計画課の小林誠氏、国土交通省港湾局海洋・環境課港湾環境政策室の川﨑俊正氏、水産庁漁場資源課生態系保全室の金子守男氏の3名にも加わっていただき、それぞれの政策や取組について紹介いただきました。小林氏からは自然再生推進法に関連した取組、川崎氏からは港湾におけるブルカーボン生態系創出の取組、金子氏からは生態系保全室の活動についてお話がありました。パネルディスカッションでは、地域の活動に対するサポートの重要性、特に気候変動に伴い変化する環境を捉えるためのモニタリングやレジデント型の研究者の役割の重要性などが指摘されました。最後に、環境省自然環境局の奥田直久局長は、閉会の挨拶としてパネリストや参加者への謝辞を述べ、生物多様性条約における30by30やOECMの議論を踏まえ、関係省庁間で連携して里海再生の機運を高めたいと述べました。

シンポジウムの内容は、下記URLより動画にてご覧いただけます。
日本語:https://www.youtube.com/Y5doTt16dE
英語:https://youtu.be/x22add_eDK0



(文責:海洋政策研究所 研究員 豊島淳子)

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