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【開催報告】海洋政策研究所(OPRI)・アジア開発銀行研究所(ADBI)共催「気候変動による影響評価のための海洋リスク脆弱性指標を用いた研究成果の報告ウェビナー」

2021.12.07
2021年11月17日に笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI)は、アジア開発銀行研究所(ADBI)と共催で「気候変動による影響評価のための海洋リスク脆弱性指標を用いた研究成果の報告ウェビナー」を開催しました。このウェビナーはプロジェクトの研究手法の解説およびフィジー、バングラデシュ、フィリピンでの事例報告を行い、アジア太平洋地域における研究成果の発表・意見交換の場となりました。同地域の政府関係者、民間企業からの参加者、研究者、有識者ら幅広い参加者がオンラインによって登壇・視聴しました。
写真:開会挨拶と基調講演の様子

写真:開会挨拶と基調講演の様子

ADBIのSeungju Baek副所長は、冒頭にOPRIの協力のもと、海洋と気候問題に関するウェビナーの共催に関して謝意を表した。気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の閉幕を受けて、気候変動問題への世界的な関心が高まっていることを踏まえて本イベントの意義を強調しました。OPRI阪口秀所長は、海洋と気候変動には非常に緊密な関連性があるものの、海洋保全活動のための資金供与にはその必要性に比して大きな格差があることを指摘しました。OPRI前川美湖主任研究員は、「気候変動適応と強靭な沿岸都市のための効果的な意思決定ツール」と題した基調講演を行い、海洋と気候変動の関連性、「海洋と気候行動のためのロードマップ(ROCA)」について説明し、より回復力のある公平な沿岸都市を構築するための方向性とそのための意思決定ツールの重要性について講演しました。また、OPRI赤松友成研究部長はこれらの評価手法を活用し、海洋の脆弱性評価をさらに進め、具体的な行動につなげることを提唱しました。

海洋政策研究所は、2019年から米・スティムソンセンターが開発した「気候変動・海洋リスク脆弱性指標(Climate and Ocean Risk Vulnerability Index: CORVI)」を活用し、開発途上国の沿岸都市におけるデータの拡充に貢献し、より良い意思決定と沿岸域の回復力強化に資するための共同研究をアジア太平洋地域において実施しました。この2年間に、コロナ下ではありましたが、カリブ海、アジア太平洋、東アフリカ地域における調査を実施しました。スティムソンセンターのシニア環境エコノミストであり、TBDエコノミクス社長のTracy Rouleau氏は、CORVIの方法論と選定都市における調査概要を紹介しました。

国別報告とパネルディスカッションの討論者写真

国別報告とパネルディスカッションの討論者

国別報告のセッションでは、能力構築・研修を担当するADBIエコノミストPitchaya Sirivunnabood博士とOPRI黄俊揚研究員がモデレーターを務め、バングラデシュ、フィリピン、フィジーの政府関係者による国別報告とパネルディスカッションが行われました。議論を通じて、関係者が異なる視点からCORVI研究を通じた経験や学びを共有することで、関係者との交流を深め今後の方向性が明らかになりました。エビデンスに基づく議論を行い、産官学共同でこのような研究成果を活用するための協働分野やシナジーを見出すことができました。本ウェビナーの詳細はADBIのウェビナーページからご覧いただけます。

[ 国別報告とパネルディスカッションの討論者 ]

バングラデシュ
Amb. Tariq Ahmed Karim, Director, Centre for Bay of Bengal Studies, Independent University of Bangladesh (IUB)
Dr. Emadul Islam, Deputy Director, Center for Bay of Bengal Studies, IUB

フィジー
Mr. Kushaal Raj, Acting Manager, Climate Change & Ocean, Ministry of Economy, Government of Fiji
Ms. Dhrishna Charan, Assistant Lecturer in Physics, Department of Science, University of Fiji

フィリピン
Mr. John Patrick Dizon, Mayor’s office of Dagupan Dagupan City, The Philippines
Ms. Antonina Lourdes E. Cunanan, Environmental Manager, Research Department, Ecosensya Solutions for Environmental Sustainability

討論者
財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)椎葉 渚 政策研究員
OPRI海洋政策研究部 田中 元 研究員

(文責:海洋政策研究所 研究員 黄 俊揚)

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