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【開催報告】シンポジウム「国際法から見た『無人運航船』―モノか、フネか、それとも…?―」

2021.11.18


YouTube動画はこちらからご覧いただけます

 笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI)は2021年11月12日、シンポジウム「国際法から見た『無人運航船』―モノか、フネか、それとも…?―」をオンラインで開催しました。

 このシンポジウムはいわゆる無人運航船をめぐる国内外の動向を受けて、笹川平和財団海洋政策研究所では気鋭の研究者を構成員とする研究会を組織し、無人運航船の運用に係る国際・国内の法的諸問題に関する集中的な検討を進めてきた成果を社会に発信・還元するとともに、今後の無人運航船の運用における課題と展望について議論することを目的として開催しました。

 冒頭の開会挨拶では、角南篤・笹川平和財団理事長は、笹川平和財団海洋政策研究所において無人運航船に関する研究会を組織するに至った背景として、無人運航船に関する国内外の活発な動向を紹介するとともに、同研究会の成果発信の一環として実施する本シンポジウムにおける議論を通じて、無人運航船の早期実用化に向けた課題と展望がより一層明らかになることへの期待を表明しました。

 つづいて、兼原敦子・上智大学法学部教授/笹川平和財団評議員による基調講演がおこなわれました。無人運航船に関する研究会の共同座長でもある兼原教授は、まず、シンポジウムの趣旨・目的が「実用化と法整備による無人運航船制度の実現と促進」にあることを明確にした上で、無人運航船はフネか、無人運航船の使用目的・機能は何かといった基本的論点を提示しました。パネルディスカッションにおけるパネリスト報告がこれらの論点のどの部分に関わるかも示しつつ、今後の法整備に係る議論を見据えて、法と科学技術の相互作用の重要性を強調しました。

 
(左)角南篤・笹川平和財団理事長による開会挨拶(右)基調講演を行う兼原敦子教授


 パネルディスカッションでは、兼原教授とともに無人運航船に関する研究会の共同座長である坂元茂樹・神戸大学名誉教授/笹川平和財団理事がモデレーターを務め、パネリストとして同研究会委員の5名の国際法学者、コメンテーターとして兼原教授が登壇しました。

 まず、パネリストより各10分の報告がありました。黒﨑将広・防衛大学校人文社会科学群准教授は、無人運航の物体が「船舶」に該当しうるかを、「組織的集合体」という機能的な法概念に着目して検討しました。竹内真理・神戸大学大学院法学研究科教授は、無人運航船とヒトとの関わりについて、特に船長の地位に着目して報告をおこないました。下山憲二・海上保安大学校海上警察学講座教授は、無人運航船の導入および運航にともなって発生しうる海上法執行に関する課題について報告しました。藤本昌志・神戸大学大学院海事科学研究科准教授は、自律運航船舶の社会実装について海上交通法に関する報告をおこないました。坂巻静佳・静岡県立大学国際関係学部准教授は、無人運航船による海上法執行と無人運航船に対する海上法執行の両面において生じうる法的問題について報告をおこないました。

 
(左)司会進行する坂元名誉教授   (右)パネルディスカッションの様子

 つづけて、坂元名誉教授と報告者の間で、視聴者の理解増進に資することを目的とした質疑応答を行った後、一般参加者からの質問への回答がおこなわれました。最後に、兼原教授より、総括のコメントとして、第一に、この問題は、海上の物体を法的にいかにとらえるかという非常に古くて新しい問題であり、同じく新しい海洋利用の方式である洋上風力発電関連の設備・機器も同様の問題を孕むこと、第二に、無人運航船を「フネ」とするか否かは、多様なstakeholdersが関わる高度な政策判断であることが指摘されました。最後に、阪口秀・笹川平和財団海洋政策研究所長より閉会挨拶をおこない、登壇者および参加者への謝意が示されるとともに、今後も無人運航船の本格的な運用に積極的に貢献することを表明して、シンポジウムは終了しました。

 本シンポジウムはYouTubeよりLIVE配信されました。動画をこちらからご視聴いただけます。また、プログラムと各講演者の報告資料(報告資料①および報告資料②)も公開しておりますので、あわせてご覧ください。



(文責:海洋政策研究所 研究員 藤井麻衣)

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