News

新着情報
ニュース

【開催報告】オンライン公開シンポジウム「国連海洋科学の10年スタート ― 「Co-design」に向けて」」

2021.03.04

2021年2月25日に、日本海洋政策学会と笹川平和財団海洋政策研究所の共催により、オンライン公開シンポジウム「国連海洋科学の10年スタート -「Co-design」に向けて」が開催されました(シンポジウムの様子はこちらをご覧ください)。

「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」(以下「国連海洋科学の10年」)は、2017年12月に行われた第72回国連総会において宣言され、2021年1月1日に開始しました。これから2030年までの10年間、持続可能な開発目標(SDGs)のうち、主にSDG14(海洋)の実現に向けて、未知の部分が多く残されている海洋分野に特に力を注いだ取組みが推進されます。
 冒頭の挨拶で笹川平和財団の角南理事長は、今後予定されている生物多様性条約(CBD)第15回締約国会議や北極科学大臣会議をはじめ、国際政策における海洋科学技術の視点からの議論の重要性を指摘し、本シンポジウムの直前に開かれた「『国連海洋科学の10年』に関する研究会」において発足した「国連海洋科学の10年」日本国内委員会を核に、様々なステークホルダーの参画と協働設計 (Co-design) を推進していくことを表明しました。
 猪口邦子参議院議員からは、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念、「海はみんなのもの」という発想が大事であり、海洋の資源・生物多様性の産業的利用価値は全ての世代の共有物として、海の問題・課題・可能性を見ること、そして海洋科学を経済・発展・成長に資するよう活かすことの必要性を強調しました。
 内閣府総合海洋政策推進事務局の一見勝之局長からは、SDGsの海洋分野における日本政府の取組みとしてカーボンニュートラルのグリーン成長戦略、特に海洋分野では洋上風力の産業化を推進しており、様々な分野での「国連海洋科学の10年」への協力について表明されました。
 田口康文部科学省国際統括官からは、COVID-19との戦いの正念場であり、ESD for 2030※の初年、そして震災復興10年という2021年に「国連海洋科学の10年」が始まる重みについてふれ、文科省も国内委員会の一員として、ユネスコIOCとの関係を中心に、(国研)海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの研究機関で科学研究活動の活発化などに貢献していくことを述べました。

開会挨拶写真

開会挨拶:(左上)角南 篤 笹川平和財団理事長、(右上)猪口邦子 参議院議員、 (左下)一見勝之 内閣府総合海洋政策推進事務局 局長、(右下)田口 康 文部科学省国際統括官

続いて、ウラジーミル・リャビニン ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)事務局長から寄せられたシンポジウム開催にあたっての祝辞と「国連海洋科学の10年」の課題等のメッセージをビデオにて紹介しました。
ウラジーミル・リャビニン ユネスコIOC事務局長写真

ウラジーミル・リャビニン ユネスコIOC事務局長

東京大学大気海洋研究所の道田豊教授からは基調講演として、海洋の諸課題から「国連海洋科学の10年」の開始の経緯、国内政策上の位置づけ、推進の課題などが述べられました。続くパネルディスカッションでは、窪川かおる帝京大学教授と小林治科学技術振興機構国際部部長をコメンテーターに迎え、森岡優志JAMSTEC研究員からは次世代の研究者として取組むべき研究テーマについて、及川幸彦東京大学海洋教育センター主幹研究員からはSDGs・ESDの枠組みにおける海洋教育の展開と海洋リテラシーの向上について、そして共同通信社の井田徹治編集委員・論説委員からは海の問題の可視性向上と市民参加の推進について、それぞれの立場からの「国連海洋科学の10年」への関わりについてプレゼンテーションがあり、意見交換が行われました。 そして最後に、日本海洋政策学会の坂元茂樹会長から、本シンポジウムでの議論を受けて日本における「国連海洋科学の10年」を更に実りあるものにしていく旨の挨拶があり、シンポジウムが閉会しました。

パネルディスカッションの様子写真

パネルディスカッションの様子。 左上より及川幸彦 東大海洋教育センター主幹研究員、道田 豊 東京大学大気海洋研究所教授、小林 治 科学技術振興機構国際部部長、 井田徹治 共同通信社編集委員・論説委員、森岡優志 JAMSTEC研究員、窪川かおる 帝京大学教授

坂元茂樹 日本海洋政策学会長写真

坂元茂樹 日本海洋政策学会長

プログラム(敬称略): 
 総合司会:升本順夫(東京大学大学院理学系研究科教授、日本海洋政策学会事務局長)
14:15-14:20 開会挨拶: 角南 篤(笹川平和財団理事長)
14:20-14:25 来賓挨拶: 猪口邦子(参議院議員)
14:25-14:35 関係者挨拶:
    一見勝之(内閣府総合海洋政策推進事務局長)
    田口 康(文部科学省国際統括官、日本ユネスコ国内委員会事務総長)
14:35-14:45 ビデオメッセージ: Vladimir Ryabinin(ユネスコIOC事務局長)
14:45-15:00 基調講演: 道田 豊(東京大学大気海洋研究所教授、日本海洋政策学会副会長)
15:00-15:55 パネルディスカッション:
    モデレータ:道田 豊
    パネリスト:森岡優志(海洋研究開発機構アプリケーションラボ)/将来に向けて
          及川幸彦(東京大学海洋教育センター)/海洋リテラシーについて
          井田徹治(共同通信)/社会とともに
    コメント:窪川かおる(帝京大学)、小林 治(科学技術振興機構)
15:55-16:00 閉会挨拶: 坂元茂樹(同志社大学法学部教授、日本海洋政策学会会長)

※SDGsの達成に向けて、日本の提唱により開始された「持続可能な開発のための教育(ESD: Education for Sustainable Development)」についても更なる取組を促すため、2019年の第74回国連総会で採択された国際的枠組み。

(文責:海洋政策研究所 研究員 小熊幸子)

ページトップ