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「第2回宇宙を用いたグローバルな海洋監視に関するシンポジウム ーアジア太平洋地域における海洋宇宙協力に向けて―」を開催

2019.10.08

 アジア太平洋域における海洋宇宙協力について取り上げた、「第2回宇宙を用いたグローバルな海洋監視に関するシンポジウム」が、10月4日に笹川平和財団海洋政策研究所(所長・角南篤)で開催されました。2月8日の第1回シンポジウムと同様、日本宇宙フォーラム宇宙政策調査研究センターとの共催で、約260名の参加がありました。

 シンポジウムではまず、主催者である一般財団法人日本宇宙フォーラムの坂田理事長および公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所の角南所長よりオープニング挨拶が行われました。坂田理事長からは、第3期海洋基本計画で海洋宇宙連携強化や海洋状況把握(MDA)が記されていることに触れつつ、シンポジウムにおいて海洋宇宙連携の議論が進むことへの期待が示されました。また、角南所長からは、本シンポジウムのテーマである違法・無報告・無規制(IUU)漁業の国際的な議論の動向や課題が示されるとともに、宇宙政策委員会基本政策部会において宇宙基本計画の議論が開始されたことが紹介されました。

オープニング挨拶の様子(左:坂田理事長、右:角南所長)写真

オープニング挨拶の様子(左:坂田理事長、右:角南所長)

 シンポジウム前半は、日本の先進宇宙技術動向を紹介する3件の講演から始まり、宇宙技術を用いた将来の効率的かつ効果的な海洋監視の可能性が示されました。まず、(国研)宇宙航空研究開発機構(JAXA)の内藤センター長から、JAXAで運用されている様々な地球観測衛星や、衛星からの船舶検出のためのディープラーニングなどの研究について紹介されました。また、株式会社Synspectiveの小畑取締役から、雲域や夜間でも海上監視ができる合成開口レーダ(SAR)を搭載した衛星を多数軌道上に配備することで、毎日定期的なデータ取得を目指す取組みが紹介されました。更に、東京大学の福代准教授からは自身が代表取締役を務めるベンチャー企業と東大とが協力して開発している超小型衛星の紹介が行われました。MDAをサポートする情報の収集コストを大幅に低下させることが可能となるとのことです。

 続く2件の前半の講演では、笹川平和財団海洋政策研究所の水成研究員および(国研)水産研究・教育機構の大関顧問より国際連携の取組みが紹介されました。水成研究員からは、船舶衝突予防のためのAIS(自動船舶識別装)の次期システムとして期待されるVDESの展望について、大関顧問からは、日本周辺におけるIUU漁業活動推定を視野に入れて行われている、グローバルフィッシングウォッチや豪州の研究所と行っている研究について紹介が行われました。

シンポジウム前半の講演者(上段は左から小畑氏、福代氏、下段は左から内藤氏、大関氏、水成氏)写真

シンポジウム前半の講演者(上段は左から小畑氏、福代氏、下段は左から内藤氏、大関氏、水成氏)

 シンポジウム後半ではまず、アジア太平洋域の海洋国家における漁業等の監視オペレーションを担う組織及び知見のある有識者からの5件の講演が行われました。すなわち、インドネシアのRadiarta 氏、フィリピンのTana氏とRamos氏、マレーシアのMohamed 氏、インドのIyer氏および元太平洋諸島フォーラムのMovick 氏より、各国・地域の特性や漁業監視の課題、宇宙利用の現状や期待が示されました。そして最後に、本シンポジウムの協力機関であるSecure World FoundationのSamson氏と米国Mission to ASEANのMerrit氏から講演があり、特にMerrit氏からは、ASEANにおけるMDAの情報共有が確立しつつある状況が示されました。
アジア太平洋域からの登壇者(左から、Radiarta 氏、Tana氏、Ramos氏、Mohamed 氏、Iyer氏、Movick 氏)写真

アジア太平洋域からの登壇者(左から、Radiarta 氏、Tana氏、Ramos氏、Mohamed 氏、Iyer氏、Movick 氏)

 IUU漁業への対策は1か国のみで対応することが難しい課題でもあります。このようなアジア太平洋域の海洋国家の課題への、国際協力による対応の可能性について、シンポジウムを通して活発に有意義な議論が展開されました。
米国からの登壇者(左:Samson氏、右: Merrit氏)と会場の様子写真

米国からの登壇者(左:Samson氏、右: Merrit氏)と会場の様子

※配布プログラム・要旨はこちらより入手できます。

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