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【開催結果】アジア開発銀行第52回年次総会サイドイベント「ブルーエコノミー、災害リスクファイナンス、海洋インフラに関する地域ワークショップ」について

2019.05.27

令和時代の幕開けとなった2019年5月1日(水)、笹川平和財団海洋政策研究所は、フィジー・ナンディにて開催された第52回アジア開発銀行(ADB)年次総会に先立ち、公式サイドイベント「ブルーエコノミー、災害リスクファイナンス、海洋インフラに関する地域ワークショップ(Regional Workshop on Blue Economy, Disaster Risk Financing and Ocean Infrastructure)」をアジア開発銀行研究所(ADBI)、フィジー国立大学、アジア太平洋応用経済協会(APAEA)と共催しました。アジア太平洋地域における持続可能な海洋管理と資金調達に焦点を当てた当ワークショップは、研究機関、援助機関など約20人が登壇し、太平洋島嶼国政府関係者、専門家ら約70人の参加のもと開催されました。


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OPRIの角南篤所長と金哲周ADBI副所長による開会挨拶


海洋政策研究所(OPRI)の角南篤所長からの開会挨拶では、人間と海、防災の「美しい調和(日本の新年号「令和」の意)」の重要性が述べられ、海洋を基盤とした経済(ブルーエコノミー)の更なる発展のための革新的な資金調達、「ブルーファイナンス」の意義が強調されました。基調講演では、アジア開発銀行研究所の吉野直行所長が太平洋地域におけるインフラ投資に民間資金を導入する重要性、なかでもエネルギーセクターへの投資の必要性について言及しました。こうしたインフラ投資を通じて、政府歳入の増加などの波及効果が期待され、さらに投資効率の上昇による好循環を生み出すことができるなどの提言がありました。


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海洋インフラ投資とブルーファイナスの重要性を述べた吉野ADBI所長とOPRI吉岡研究員の発表


ワークショップは「ブルーエコノミー-海洋インフラとその影響」、「災害管理からの示唆」、「太平洋小島嶼途上国における地域研究」の3つのセッションで構成され、各テーマに対する登壇者からのプレゼンテーション、および討論が行われました。南太平洋大学のJoeli Veitayaki教授からは、気候変動への適応や海洋保全の観点から、沿岸域コミュニティによる資金へのアクセスの重要性などが強調されました。そのほか、保険を利用したサンゴ礁の保全など、革新的な資金メカニズムについて登壇者から提言が寄せられました。


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参加者による活発な討論の様子


国際応用システム分析研究所(IIASA)(在オーストリア)からはNepomuk Dunz氏が登壇し、独自に開発した途上国の災害復興モデルを紹介しました。海洋政策研究所からは、田中元研究員、吉岡渚研究員および黄俊揚研究員による研究成果の報告を行い、フィジーを事例とした災害リスクと観光業への影響に関する経済分析、およびセーシェル政府が2018年に発行したブルーボンドなどの新たな資金調達手段の機会について発表したほか、観光業が基幹産業であるフィジーにおいて、これまでの援助や融資ではなく国内市場における資金調達を活性化させ、海洋生態系を利用した持続可能な観光業を目指すことを提案しました。閉会挨拶では、金哲周ADBI副所長とともに海洋政策研究所の前川美湖主任研究員が討論を通じて得られた知見と今後の展望についてコメントし、ワークショップを締めくくりました。


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OPRI前川主任研究員 閉会挨拶と今後の海洋研究所についての展望


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ワークショップ参加者の集合写真


麻生太郎財務大臣などが出席したADB年次総会では、「海洋ファイナンシングイニシアチブ(Ocean Financing Initiative)」宣言や、向こう5年間で50億米ドルを投入する「海洋保全と持続可能なブルーエコノミーのための行動計画(Action Plan for Healthy Oceans and Sustainable Blue Economies)」が発表されるなど、アジア太平洋地域における海洋をとりまく諸問題の解決が大きな注目を浴びました。漁業や観光業のような海洋と関連の深い産業の成長を基盤とした島嶼国におけるさらなる経済発展と、投資や資金調達手段の多様化による持続可能なファイナンスに対する知見を蓄積し、気候変動や自然災害リスクに対するレジリエンスの向上を図ることは当該地域において引き続き大きな課題となることが見込まれます。今回のワークショップ開催を契機に、今後も参加者による活発な議論と研究協力が期待されます。


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ADB総会で行われた海洋関連のセッションの様子と参加した若手研究員


(海洋政策研究部研究員 吉岡渚)

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