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平成23年度 第3回「日本北極海会議」(2011年11月1日)開催報告

2011.04.17
はじめに

気候変動により夏の海氷が激減している北極海では、航路や海底資源開発といった海洋空間利用が本格的に始まろうとしています。海洋政策研究財団は、こうした北極海における問題に関して我が国がとるべき政策と戦略に関する提言を行うことを目的として、昨年7月に「日本北極海会議」発足しました。平成23年度は、本会議の講演内容や議論等に基づき、北極海問題をより多元的かつ総合的に把握し、国益と世界益に照らした、我が国が取るべき政策提言を取りまとめ、北極海問題を国民に広く開示していく予定としております。
今回の第3回会議では、「北極海航路啓開後の東アジア圏の国際物流」をテーマといたしまして、杉本侃 (社)北海道総合研究調査会 特別研究員、酒井明司 三菱商事(株)業務部 欧阿中東 CIS 室 シニアアドバイザー、大塚夏彦 北日本港湾コンサルタント(株) 企画部長の講演を踏まえ、北極海航路啓開後の東アジア圏の国際物流について議論を行いました。
講演者の杉本氏からは、北極海航路を検討するうえで関係することとなるロシアの道路、鉄道等の物流インフラの情報及びそれらに関する戦略について説明があり、ソ連時代を含めロシアでは東西間を結ぶ物流は、鉄道を除くとほとんど存在しなかったが、近年、ロシア政府では東西ロシアの格差是正やアジアマーケットの重視という政治方針を明確に打ち出し、物流インフラの強化を重要視しつつあるとの見解を示されました。
酒井氏からは、ロシアのエネルギー輸出の動向や計画等についてご説明があり、エネルギー資源では、北極海航路利用の合理性は代替エネルギーの開発と普及の動向にも依存すること、また、技術的な問題があるものの北極海から搬出できるということになれば、ロシアの輸出競争力を経済的に高める可能性も出てくるのとの見解を示されました。
大塚氏からは、ロシア北極海沿岸の港湾等のインフラや北極海沿岸に向けた河川舟運の現状について説明があり、現在は氷海での安全運航環境の整備は不十分であること、さらに商業運航の支援インフラとして十分な状態ではなく、北極海航路が現実的な選択肢となるためには、ハブ港やトランシップ/フィーダーネットワークに関して経済競争力のある体制を構築することが必要であるとの見解を示されました。
今後の予定としては、最終会議となる第4回会議(昨年度からの通算で7回目)を平成24年3月2日(金)に開催し、既会議での提案や質疑、講演内容等に基づき政策提言及び報告書を取りまとめる予定としています。

開催概要
日時:
 
平成23年11月1日(火) 13:30~17:20
場所:
 
東京都港区虎ノ門1-15-16 海洋船舶ビル 10階会議室
主催: 海洋政策研究財団
プログラム

講演(1):

欧州と東アジア圏のランドブリッジーシベリア鉄道、道路交通、パイプラインの現状と計画ー (1.3MB)
(社)北海道総合研究調査会 特別研究員 杉本侃
講演(2): ロシアからの天然ガスの輸入とその問題点ーヤマール半島からの天然ガスの輸入ー (352KB)
三菱商事(株)業務部 欧阿中東 CIS 室 シニアアドバイザー 酒井明司
 
講演(3): 北極海沿岸の物流とインフラ及び北極海航路と東アジア・欧州間海上輸送 (2.6MB)
北日本港湾コンサルタント(株) 企画部長 大塚夏彦
お問い合わせ先
海洋政策研究財団 海技研究グループ
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-15-16海洋船舶ビル

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