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平成23年度 第2回「日本北極海会議」(2011年9月15日)開催報告

2011.04.13
はじめに

 気候変動により夏の海氷が激減している北極海では、航路や海底資源開発といった海洋空間利用が本格的に始まろうとしています。当財団は、こうした北極海における問題に関して我が国がとるべき政策と戦略に関する提言を行うことを目的として、昨年7月に「日本北極海会議」を発足しました。平成23年度は、本会議の講演内容や議論等に基づき、北極海問題をより多元的かつ総合的に把握し、国益と世界益に照らした、我が国が取るべき政策提言を取りまとめ、北極海問題を国民に広く開示していく予定としております。

 今回の第2回会議では、「北極海域の安全保障問題に係る沿岸諸国と我が国との関わり」をメインテーマとして、丹下博也 前海上保安大学校 基礎教育講座 講師、瀬尾正嗣 外務省 総合外交政策局 海上安全保障政策室長、そして、当財団の秋元一峰 主任研究員の講演を行うとともに、北極海と安全保障問題との関わりについて議論を行いました。

 講演者の丹下氏からは、北極海に関するロシアの海洋政策では、戦時における北極海の重要性と平時における北極海の重要性に共通性があり、これはロシアの北極海洋政策の本質であるとの見解を示されました。外務省の瀬尾室長からは、北極には「南極条約」のような条約が存在せず、関連国際法の解釈・運用について、沿岸国、利用国などの立場により見解が異なる可能性があること、また、北極評議会のオブザーバー申請に関しては、申請承認基準に含まれる北極評議会の活動を支援する日本の意志や能力などについて示しながら、引き続き北極評議会のオブザーバーとしての承認を目指していくとの見解を示されました。当財団の秋元主任研究員より、北極海の融氷は、従来の安全保障の概念を根本から覆すものとなり、日本の防衛政策にも大きな影響を与えること、さらに北極海の安全保障環境の安定化のためには国際的取極めが必要であるとの見解を示しました。

 平成23年度には、今後第3回会議において「北極航路啓開後の東アジア圏の国際物流」(本年11月1日開催予定)について検討を行い、昨年度からの成果も含め全体を勘案のうえで、本年度末に最終的な政策提言として取りまとめる予定としています。

開催概要
日時:
 
平成23年7月26日(火)13:30~17:10
場所: 東京都港区虎ノ門1-15-16 海洋船舶ビル 10階会議室
主催: 海洋政策研究財団
プログラム
講演(1): ロシアの海洋ドクトリンについて
ー北極海の重要性に着目してー
前海上保安大学校 基礎教育講座 講師 丹下 博也
 
講演(2):
 
北極海をめぐる国際社会の取組と安全保障
外務省 総合外交政策局 海上安全保障政策室長 瀬尾 正嗣
講演(3): 北極海の安全保障環境
ー我が国の防衛上の観点からの考察ー
海洋政策研究財団 主任研究員 秋元 一峰
お問い合わせ先
海洋政策研究財団 海技研究グループ
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-15-16海洋船舶ビル

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