News

新着情報
ニュース

平成23年度 第1回「日本北極海会議」(2011年7月26日)開催報告

2011.04.11
はじめに

 気候変動により夏の海氷が激減している北極海では、航路や海底資源開発といった海洋空間利用が本格的に始まろうとしています。当財団は、こうした北極海における問題に関して我が国がとるべき政策と戦略に関する提言を行うことを目的として、昨年7月に「日本北極海会議」を発足しました。平成23年度は、本会議の講演内容や議論等に基づき、北極海問題をより多元的かつ総合的に把握し、国益と世界益に照らした、我が国が取るべき政策提言を取りまとめ、北極海問題を国民に広く開示していく予定としております。

 本年度の第1回会議では、「北極海と地球環境問題及び我が国周辺海域との関わり」をメインテーマとして、山内 恭 国立極地研究所 副所長・教授、菊地 隆 (独)海洋研究開発機構 北極海総合研究チームリーダー、そして、当財団の酒井 英次 国際チーム長の講演を行なうとともに、北極海と地球問題との関わりについて議論を行いました。

 講演者の山内教授は、北極観測に関する歴史的背景を説明のうえ、温暖化の急速な進展と海氷急減という近年の著しい変化に見舞われている北極域に対する、日本の研究強化の状況について触れ、北極域研究が、地球的規模の環境変化の研究にとって重要であるばかりでなく、国際情勢の変化の大きな影響を受けているとの見解を示しました。菊地チームリーダーは、日本の研究機関や大学が実施してきた北極海観測の経緯について詳しく解説し、海氷減少が与える様々な影響を明らかにしていくための観測が、今後益々重要となっていくとの見解を示しました。また事務局の酒井国際チーム長より、本年4月に北極海を巡る欧州海運界の動向把握調査の一環で参加した第7回Arctic Shipping Summitについて、会議のサマリーを紹介するとともに、産業界の関心の現状について報告を行いました。

 平成23年度には、順次「安全保障」(本年9月15日開催予定)、「東アジア圏物流」(本年11月1日開催予定)について検討を行い、昨年度からの成果も含め全体を整理し、本年度末に最終的な政策提言として取りまとめる予定としています。

開催概要

日時:

平成23年7月26日(火)13:30~17:10

場所:

東京都港区虎ノ門1-15-16 海洋船舶ビル 10階会議室

主催:

海洋政策研究財団
プログラム
講演(1):
 
国際極年(1882-83)から北極温暖化研究最前線へ
ー国際情勢と北極科学研究の連環ー
山内 恭 国立極地研究所 副所長・教授
講演(2):
 
北極海観測・調査の現状と今後
菊地 隆 (独)海洋研究開発機構 地球環境変動領域 
北極海総合研究チームリーダー
講演(3): 第7回Arctic Shipping Summit参加報告 
ー欧州海運界の動向ー
酒井 英次 海洋政策研究財団海技研究グループ 国際チーム長

ページトップ