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大陸棚セミナー「国連海洋法条約に基づく200海里を超える大陸棚の外側の限界の設定」 開催報告(2008年2月27日)
1. はじめに
1994年に発効した国連海洋法条約によりますと、大陸縁辺部の外縁が200海里を超えて延びている場合には、大陸棚を延長することができると定められていますが、そのためには、条約の適切な解釈を行った上で、延長に必要な科学的データを添えて2009年5月までに大陸棚限界委員会(CLCS: Commission on the Limits of the Continental Shelf)へ申請する必要があります。一方、海洋底に関する地球科学的理解は、条約制定当時に比べ大きく進んでおり、これらの新しい科学的知見に照らして条約をどのように解釈・適用するかについて、議論が続いています。
このような状況に鑑み、当財団では、大陸棚延長問題に造詣の深い国内外の識者(国際法学者、科学者、実務家)を招き、各専門の立場からの発表及び議論を通じて、条約の大陸棚関連規定に関する理解を深めることを目的とし、標記セミナーを開催いたしました。
本セミナーでは、国際法的側面と科学的・実務的側面の双方から、大陸棚についての検討が行われました。第1セッションでは、国連海洋法条約第76条において大陸棚がどのように規定されており、200海里を超えて大陸棚を延長するためにはどのような手続が必要かといった点や、200海里を超えて設定された大陸棚の開発を行う場合の制度について規定する第82条に関しての講演が行われました。第2セッションでは、地球科学的観点から見て第76条を実施するにはどのような困難が伴うかという点や、大陸棚限界委員会が沿岸国から提出された申請をどのようにして扱っているのかという点についての講演が行われました。それぞれのセッションにおいて、参加者との間で活発な議論が展開されました。
なお、本セミナーには、大陸棚限界委員会のヨン・アン・パク委員(韓国)及びアブ・バカー・ジャファー委員(マレーシア)にもご参加いただきました。
また、セミナー後に開催されたレセプションには、冬柴鐵三海洋政策担当大臣にもご臨席いただき、ご挨拶を賜りました。レセプションにも多くの方々にご参加いただき、活発な意見交換が行なわれました。
2. 実施概要
開催日時 | 平成20年2月27日(水) 13:30-18:00 (セミナー) 18:15-19:30 (レセプション) |
開催場所 | 日本財団ビル2階 大会議室(東京都港区赤坂1-2-2) |
主催 | 海洋政策研究財団 |
助成 | 日本財団 |
後援 | 総合海洋政策本部、外務省、文部科学省、経済産業省、海上保安庁 |
参加者 | 約190名 |
13:30-13:40 | 開会の辞 秋山 昌廣 海洋政策研究財団会長 |
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13:40-15:25 | 第1セッション:200海里を超える大陸棚の法的レジームについて 座長 栗林 忠男 氏 慶應義塾大学名誉教授 |
13:40-13:45 | 座長挨拶 |
13:45-14:25 | 国連海洋法条約第76条の枠組みに基づく200海里を超える大陸棚の外側の限界 |
講演者 アレックス・オウデ・エルフェリンク 氏
オランダ ユトレヒト大学 海洋法研究所 上級研究員 |
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14:25-15:05 | 国連海洋法条約82条に基づく利益配分制度--残された多くの課題--
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講演者 兼原 敦子 氏 立教大学法学部教授 |
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15:05-15:25 | 質疑応答 |
15:25-15:45 | 休憩 |
15:45-18:00 | 第2セッション:国連海洋法条約第76条の実施--その困難さについて-- 座長 林 司宣 氏 早稲田大学法学学術院教授 |
15:45-15:50 | 座長挨拶 |
15:50-16:30 | 延長大陸棚申請文書に見られる第76条の解釈と実施の多様性
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講演者 谷 伸 氏 海洋法諮問委員会(ABLOS)議長 |
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16:30-17:00 |
沿岸国から提出された申請の大陸棚限界委員会による検討過程
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講演者 玉木 賢策 氏
東京大学大学院工学系研究科教授
大陸棚限界委員会委員 |
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17:00-17:40 | 大陸棚限界委員会の事務局としての国連海事海洋法課の役割
及び国連海洋法条約の実施におけるその役割
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講演者 ヴァーツラフ・ミクルカ 氏
国連事務局海事海洋法課(DOALOS)課長 |
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17:40-18:00 | 質疑応答 |
18:00 | 閉会、記念撮影 |
18:15-19:30 | レセプション |