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大陸棚セミナー「大陸棚延長に伴う課題-今後の大陸棚における資源開発に向けて-」 開催報告(2013年1月10日)

2013.01.10
1. はじめに

大陸棚限界委員会は現在までに18件の申請について勧告を発出しています。今後ますます多くの勧告が出され、200海里を超える大陸棚(延長大陸棚)を獲得する国が増える見通しですが、今後の大陸棚の開発に向けて多くの課題が残されています。これらの課題について検討するため標記セミナーを開催しました。本セミナーでは林司宣氏(早稲田大学名誉教授、海洋政策研究財団特別研究員)に座長を務めていただき、2つのセッションにおいて検討を行いました。

第1セッションでは、延長大陸棚における資源開発の法的枠組みについて、国連海洋法条約の専門家であるニュージーランドのジョアンナ・モソップ氏(ヴィクトリア大学ウェリントン校法科大学院上級講師)よりご講演いただきました。モソップ氏より、(1) 沿岸国は、延長大陸棚にある資源に対し主権的権利を有するが、上部水域は公海であることから、公海自由の原則との間で様々な問題が生じうる、(2) 上部水域における他国の権利及び自由について規定する条約第78条があるにもかかわらず、実際上は、沿岸国が自国の延長大陸棚における、他国の活動(採掘、漁業、科学的調査、生物探査等)に対して取り得る規制について、いかにしてバランスをとったものにしていくかが重要となる旨の指摘がなされました。

第2セッションでは、海底資源の専門家より、具体的な海域ごとの地質学的特徴及び資源ポテンシャル等についてご講演を賜りました。

マズラン・マドン氏(マレーシア石油公社(PETRONAS)首席地球科学研究官、大陸棚限界委員会委員)からは、南シナ海の海底の地質的特徴はテクトニクス的発展と関係があり、北部エリアと南部エリアではその生成過程の違いから海底地形が異なっていること、南シナ海におけるこれまでの資源探査・開発は石油とガスに限られていること等についてご説明いただきました。
浦辺徹郎氏(東京大学大学院教授、大陸棚限界委員会委員)からは、日本周辺の海底には、さまざまな地質構造がある結果、海底熱水鉱床、コバルトリッチ・マンガンクラストおよびマンガン団塊といった海底鉱物資源について高い資源ポテンシャルが認められるので、詳細な探査を引き続き行っていく必要があること等についてご説明いただきました。

ご講演の後の質疑応答では、様々な質問が提起され、活発な議論が展開されました。

2. 実施概要
開催日時 平成25年1月10日(木)
開催場所 13:30 - 17:00 (セミナー) 17:15 - 18:45 (レセプション)
主催 海洋政策研究財団
助成 日本財団
参加者 150名
プログラム
13:30 開会
13:40-15:20 第1セッション:大陸棚における資源開発の法的枠組み
13:40-13:45 座長挨拶・講演者紹介
座長
林 司宣 早稲田大学名誉教授 海洋政策研究財団特別研究員
13:45-14:45 延長大陸棚の法的枠組み:資源の探査、開発、規制に向けて
講演者
ジョアンナ・モソップ氏
ニュージーランド ヴィクトリア大学
ウェリントン校法科大学院上級講師
14:45-15:00 質疑応答・議論
15:00-15:20 休憩
15:20-17:00 第2セッション:今後の大陸棚における資源開発に向けて
15:20-15:25 講演者紹介
15:25-16:05 マレーシアから見た南シナ海の地質と海底資源
講演者
マズラン・マドン氏
マレーシア石油公社(PETRONAS)首席地球科学研究官
大陸棚限界委員会委員
16:05-16:45 日本の大陸棚における海底資源開発に向けて
講演者
浦辺 徹郎氏
東京大学大学院理学系研究科教授
大陸棚限界委員会委員
16:45-17:00 質疑応答・議論
17:00 閉会
17:15-18:45 レセプション
*当財団では、ボートレース交付金による日本財団の助成金を受けて「大陸棚の延長に伴う課題の調査研究」事業を実施しており、本セミナーはその事業の一環として開催したものです。

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