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大陸棚セミナー「国連海洋法条約30周年と条約実施機関の役割-大陸棚限界委員会を例として-」 開催報告(2012年7月11日)

2012.04.11
1. はじめに

本年は国連海洋法条約が1982年に採択されてから30周年の節目となる年であり、大陸棚限界委員会をはじめとする条約実施機関のこれまでの活動を検討するため標記セミナーを開催しました。本セミナーでは林司宣氏(早稲田大学名誉教授、海洋政策研究財団特別研究員)に座長を務めていただき、2つのセッションにおいて検討を行いました。

第1セッションでは、国連海洋法条約の実施のためにいかなる機関が設立され、どのような役割を与えられているのかを確認することを目的とし、条約の制度および条約第76条にもとづく大陸棚延長と大陸棚限界委員会の役割について、国際法の専門家よりご講演いただきました。

池島大策氏(早稲田大学教授)からは、条約実施のために設立された3つの機関(大陸棚限界委員会、国際海底機構、国際海洋法裁判所)について概要をご説明いただくと共に、国内・地域・国際の各次元での条約実施の体制と重要性についてご解説いただきました。

ドナルド・ロスウェル氏(オーストラリア国立大学法学部教授)からは、200海里を超えて大陸棚を延長するために沿岸国が大陸棚限界委員会に申請を提出し、審査を経て勧告を得る必要があるという条約第76条の制度とこれまでの実行について包括的にご解説いただきました。

第2セッションでは、国連海洋法条約の実施を担っている専門家より、実際の活動についてご講演を賜りました。

セルゲイ・タラシェンコ氏(国連事務局海事・海洋法部(DOALOS)部長)からは、条約実施のためにDOALOSが担っている多様な任務(条約の寄託者である国連事務総長の任務の遂行や条約の普及のための活動等)についてご紹介いただくとともに、大陸棚限界委員会の事務局としてのDOALOSがどのような役務を提供しているかについてもご説明いただきました。

浦辺徹郎氏(東京大学大学院教授、大陸棚限界委員会委員)からは、委員会が沿岸国から提出された申請をどのような手続にもとづいて審査し、勧告を採択しているかについてご説明いただきました。

ご講演の後の質疑応答では、様々な質問が提起され、活発な議論が展開されました。

2. 実施概要
開催日時 平成24年7月11日(水)
開催場所 13:30-17:30 (セミナー) 17:45-19:00 (レセプション)
開催場所    日本財団ビル2階 大会議室(東京都港区赤坂1-2-2)
主催 海洋政策研究財団
助成 日本財団
参加者 約170名
プログラム
13:30 開会
13:30-13:40 開会の辞
今 義男 海洋政策研究財団理事長
13:40-15:20 第1セッション:国連海洋法条約採択から今日まで
13:40-13:45 座長挨拶・講演者紹介
座長
林 司宣 
早稲田大学名誉教授 海洋政策研究財団特別研究員
13:45-14:25 国連海洋法条約と条約実施機関の役割
講演者
池島 大策氏 
早稲田大学国際学術院教授
14:25-15:05 大陸棚限界委員会-設置からその後の実行に至るまで-
講演者
ドナルド・ロスウェル氏 
オーストラリア国立大学法学部教授
15:05-15:20 質疑応答・議論
15:20-15:40 休憩
15:40-17:30 第2セッション:国連海洋法条約の実施-大陸棚限界委員会を例として-
15:40-15:45 講演者紹介
国連海事海洋法部(DOALOS)の役割と国連海洋法条約の実施
講演者
セルゲイ・タラシェンコ氏
国連事務局法務局 海事海洋法部 部長
16:30-17:10 大陸棚限界委員会の任務とその実行
講演者
浦辺 徹郎氏
東京大学大学院理学系研究科教授
大陸棚限界委員会委員
17:10-17:30 質疑応答・議論
17:30 閉会
17:45-19:00 レセプション
*当財団では、ボートレース交付金による日本財団の助成金を受けて「大陸棚の延長に伴う課題の調査研究」事業を実施しており、本セミナーはその事業の一環として開催したものです。

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