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第2回「日本北極海会議」(2010年10月14日)開催報告

2010.04.09
はじめに
海洋政策研究財団は、1993年から1999年にかけて日本財団の支援の下で「国際北極海航路開発計画」(INSROP/JANSROP)を実施し、2002年から2006年にかけて「北極海航路の利用促進と寒冷海域安全運航体制に関する調査研究」(JANSROP II)を実施するなど、北極海航路の問題に取り組んでまいりました。今年度からは、気候変動により夏の海氷が激減している北極海において船舶航行や海底資源開発に関する動きが活発化している状況に鑑み、「北極海域情報に関する調査研究」事業を実施し、北極海問題をより多元的かつ総合的に把握し、国益と世界益に照らした我が国がとるべき政策ないし戦略、とりわけ、非沿岸国である日本がどのような形で北極海のガヴァナンスに関与すべきであるかについての政策提言を行うことを目的として、本年7月に「日本北極海会議」を立ち上げました。この日本北極海会議は、笹川陽平日本財団会長を特別顧問として招き、各界の北極海に関する12名の有識者から構成しています。7月8日に開催した第1回会議では、「国際法秩序、ガヴァナンス」をメインテーマとしましたが、今般10月14日に開催した第2回会議では「航路、造船」をメインテーマとして末岡英利 東京大学大学院工学系研究科特任教授、合田浩之 日本郵船渉外グループ渉外第二チーム長、山本雅也 ウェザーニューズ社プロジェクトリーダー、木戸川充彦 日本海事協会船体部長にご講演いただき、北極海航路に関する造船の関係や最近の海運界の動き、情報提供システム、船舶に適用される規則に関する問題を中心に派生する幅広い話題について議論を行いました。
この日本北極海会議では、今後、資源開発の問題、科学や調査の問題、そして、安全保障問題などをメインテーマとして取り上げていく予定です。
講演概要
講演者の末岡教授は、北極海やバルチック海沿岸諸国の過去数十年に及ぶ造船技術の蓄積と今後の技術挑戦、我が国の南極観測船で培われた技術や、かつてのボーフォート海資源開発における北極圏向け氷海構造物で経験した技術を紹介し、北極海航路利用、北極海資源開発に向けて、我が国が技術的貢献を行っていく必要性、国レベルでの研究・技術開発の必要性、氷況の観測及び予測技術、氷海域航行支援技術における国際的な協力の必要性を指摘しました。
合田チーム長は、北極海航路の利用可能性は、経済原則に基づく荷主の理解に依存すると述べ、航行スピードとの関係で時間短縮が確実に図られることの見極めが必要であることや北極海での商業海運の現状を説明し、沿岸国の航行規制による経費増や料金コストの問題を指摘しました。
山本プロジェクトリーダーは、ウェザーニューズ社の情報提供サービスは船乗りの命を守るという価値創造理念に基づく取り組みであることを述べ、同社のグローバルアイスセンターにおける情報提供システムの内容や独自衛星の打ち上げ等による今後の解析・予測技術の開発の見通しを紹介しました。
木戸川部長は、船級協会の役割や業務を紹介しつつ、国際海事機関(IMO)のガイドライン、国際船級協会連合(IACS)の統一規則等、極地氷海船に適用される規則の概要や、日本海事協会が作成したロシア海域航行のためのガイドラインの内容を紹介し、今後の北極海運航に対応し得るガイドラインの作成中であることを述べました。
開催概要
日時: 平成22年10月14日(木) 9:30~12:30
場所: 東京都港区虎ノ門1-15-16 海洋政策研究財団 10階会議室
主催: 海洋政策研究財団
名簿(PDF ダウンロード)
プログラム:
9:30 開会
9:40 講演(1) 北極海に関連する造船技術
末岡英利  東京大学大学院工学系研究科特任教授

講演(2) 北極海を巡る海運業界の期待
合田浩之  日本郵船渉外グループ渉外第二チーム

講演(3) 北極海の海況情報システム提供の現状と将来
山本雅也  ウェザーニューズ社プロジェクトリーダー

講演(4) 北極海航路を航行する船舶に適用されるルール
木戸川充彦 日本海事協会船体部長
11:50 総合討論
12:30     閉会
お問い合わせ先
海洋政策研究財団 海技グループ長 池田陽彦
政策研究グループ研究員 小牧加奈絵
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-15-16 海洋船舶ビル
Tel: 03(3502)1949 池田 03(3502)1853 小牧
Fax: 03(3502)2033

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