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「国際オホーツク海海洋レジーム」構想への提言

2006.04.06

「New Era in Far East Russia & Asia」時代を拓く北の海・・・その資源・輸送・環境保全

近年、ロシアでは、エネルギー資源開発の急速な進展があり、北極海航路の東端域にあるサハリン周辺では、石油・天然ガス開発が進み、日本及びアジア市場に向けての生産が軌道に乗りつつある。しかしながら、極東ロシア地域の豊かな各種鉱物、木材、水産資源を本格的に開発するには、寒冷地仕様の特殊な輸送インフラが必須となる。特にオホーツク海海域は、サハリン周辺のエネルギー資源のみならず世界有数の豊富な水産資源を持つ貴重な海域として、その開発利用にあたっては海洋環境との調和が強く望まれるところである。

そこで、当財団では、「北極海航路の利用促進と寒冷海域安全航行体制に関する調査研究」(JANSROP-II、平成14~16年度実施の北極海関連事業)事業を実施し、成果として構築した極東ロシア地域の地理情報システム(JANSROP-GIS)を有効活用し、この地域での乱開発を防ぎ、地域の総合的な社会資本整備に寄与する開発・輸送のシナリオ策定を試みるとともにオホーツク海域についてはさらに踏み込んで当該域の秩序(レジーム)構想のとりまとめを行い、JANSROP-IIの成果を総括して英文提言書「New Era in Far East Russia & Asia」にまとめた。

 

オホーツク海は、古くから世界有数の漁場として広く知られてきたが、サハリンプロジェクトなどサハリン島大陸棚における石油・天然ガス開発が急速に進展するに及んで、貴重な海洋環境及びその生態系保護に対する関心が次第に深まっている。オホーツク海は、半閉鎖性海域であること、季節海氷が存在すること、大半がロシア領海及びEEZであること、豊かな海洋生産力を持つ海域であること、周辺陸域には未開発の地域が多く海洋汚染度合いの低い海域である。この海域に対する海洋環境保護策として、このような自然・社会環境を配慮し、海洋環境保護に関わる国際条約の動向、バルト海等亜極海の海洋環境保護協定、ロシアの保護政策、カナダ・レジーム、ノルウェーのバレンツ海海洋環境保護対策、IMOのPSSA、PSC等を参考に、オホーツク・レジーム骨子案の策定を試み、その執行を確保する国際協定の必要性を提言するものである。

ただし、近年の調査、研究により、海洋の詳細構造の理解が進んだとは言え、生態系に至る体系的なオホーツク海の把握には至っていない。海洋環境保全を意図する海洋レジームの具体的な規定に際して、確たる科学的根拠を構築することが難しい段階にある。このため海洋レジーム提言は、オホーツク海調査研究のための国際協力協定を前提としたものとなる。

本提言の内容は、提言書「New Era in Far East Russia & Asia」(英文版)に掲載されています。

第1章「NORTHERN SEA ROUTE ; THE PERSPECTIVE」
第2章「DEVELOPMENT OF FAR EAST RUSSIA & JANSROP-GIS」
第3章「PROTECTION OF ENVIRONMENT FOR THE SEA OF OKHOTSK」
第4章「PROPOSAL FOR AN INTERNATIONAL OKHOTSK MARITIME REGIME」(68KB)

また、提言第4章「国際オホーツク海海洋レジームの提言」の和訳はこちらから(2126KB)ご覧下さい。

同提言書の全文についての申込書はこちらから(164KB)

なお、本提言は、競艇の交付金による日本財団の助成金を受けて実施した、平成17年度「極東ロシア・アジア間の総合輸送システム及び環境保全のための調査研究」事業の成果です。

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