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「日印海洋安全保障ダイアローグ 第IIフェーズ第2回会議の開催

2006.04.11

「日本とインド間の海洋安全保障協力に関する共同声明」の採択・発表

日時 2006年10月12日(木)~13日(金)
場所 虎ノ門パストラルホテル
1.はじめに

アラビア海からインド洋を経て日本にいたるシーレーン―ここではJIA(日本-インド洋-アラビア海)シールートと呼ぶ―の安全確保は、我が国のみならず当該航路を利用する関係各国にとって国益上の最優先課題であり、シーレーンの安全確保を関係国間の国際協力により達成しなければならない今日、日本とともにアジアの両翼に位置するインドとの海洋安全保障分野における関係強化は、我が国の必須の政策課題であると言えます。

海洋政策研究財団では、インド政府と強いパイプを持ち、インド洋の安全保障に関する研究・提言などを行っているインド洋研究学会(Society of Indian Ocean Studies)をカウンターパートとして、2003年11月、日印海洋安全保障ダイアローグを立ち上げました。海洋力、地政学、政治関係等を考慮すれば、日本とインドはJIAシールートの安全確保に大きな役割を担っており、両国間の多角的な協力関係の推進が欠かせません。そこで、まず民間セクターの持つ政治的中立の立場で率直な意見交換を行い、JIAシールートを中心とした海洋安全保障問題について、両国民および政治的指導者の認識を向上させるとともに、具体的な提言を打ち出していくことにしました。

本ダイアローグの第?フェーズとして、東京とデリーで過去3回の会議が開催されました(第1回 2003年11月・東京、第2回2004年4月・デリー、第3回2004年11月・東京)。2004年11月、東京で開催した第3回会議では、第?フェーズの締めくくりとして、JIAシールート安全確保の重要性を明らかにし、そのために両国が推進すべき協力事項に関する具体的提案として、「日印海洋安全保障協力に関する共同声明」を発表し、海洋情報共有ネットワークの具体化、日印の防衛・警備組織間の相互交流の促進、日印海洋経済協力の必要性を訴えました。

第?フェーズでは、上記「共同声明」を踏まえて、日印関係機関間の海洋安全保障情報の交換体制の確立、海洋・海事経済協力推進のためのシステム構築、信頼醸成措置等につき対話を継続し、人的交流を深めながら、情報発信型の活動を展開していくこととしてまいりました。今般、過去の会議での検討結果を踏まえ、議論の深度化を図るため、昨年12月の第1回会議(デリー)に続き、第2回会議を都内において開催しました。

今次会議は、海上テロ問題の対応策、海洋安全保障情報共有のための情報交換体制、海事産業分野の日印協力の具体的方策等について議論を深め、3ヵ年にわたるダイアローグを総括し、もって海洋安全保障分野における日印協力の促進に寄与することを目指しました。

会議は、日本・インド両国の海洋安全保障あるいは海上安全の政策やオペレーションの分野における専門家を招聘して2日間にわたって開催され、活発な討議が交わされました。1日目の晩餐会には麻生太郎外務大臣が参加し、日印関係の重要性についてスピーチを行いました。2日目の13日には、「日本とインド間の海洋安全保障協力に関する共同声明」 (5.6MB) が採択、発表されました。アジェンダ及び各プレゼンター等は以下のとおりです。

2.実施概要

開催日時: 2006年10月12日(木)~13日(金)

開催場所: 東京(虎ノ門パストラルホテル)

※敬称略

日本側メンバー:
  • 夏川和也   元防衛庁統合幕僚会議議長
  • 青木 稔 元海上保安大学校長
  • 石津 緒 国土交通省大臣官房審議官
  • 小林 健 三菱商事執行役員
  • 笹島雅彦 読売新聞東京本社新聞監査委員会委員
  • 遠山純司 海上保安庁警備救難部国際刑事課課長補佐
  • 広瀬崇子 専修大学法学部教授
  • 眞野輝彦 聖学院大学大学院教授
  • 山崎 眞 元海上自衛隊自衛艦隊司令官
  • 秋山昌廣 海洋政策研究財団会長
  • 秋元一峰 海洋政策研究財団主任研究員
インド側メンバー:
  • Mihir Kumar Roy (Vice Admiral (Ret.), Society of Indian Ocean Studies)
  • Sanjay Chaturvedi (Doctor, Indian Ocean Research, Punjab University)
  • Premvir Saran Das (Vice Admiral (Ret.), Former C-in-C, Eastern Naval Command)
  • Milan Mukherjee (Commodore (Ret.), Naval Architecture Association of India)
  • Prabhakaran Paleri (Doctor, Former Director General, Indian Coast Guard)
  • Ranjit Bhavnani Rai (Commodore (Ret.), Indian Maritime Foundation)
  • Malvinder S. Bedi (Rear Admiral (Ret.), Society of Indian Ocean Studies)
3.会議概要およびアジェンダ
10月12日(木)
09:00~10:00 オープニング・セッション
開会挨拶:夏川元統合幕僚会議議長
スピーチ1:「インド洋の海洋安全保障環境」 ロイ退役中将
スピーチ2:「安倍新政権における日印関係」 笹島読売新聞監査委員会委員
10:00~13:00
第一セッション「海上暴力・不法行為-そのシナリオと抑止」
セッション議長:ロイ退役中将
発表(日本2名、インド2名)各25分、討議1時間

1「海上暴力・不法行為に係る議論の総括」:青木元海上保安大学校長
2「インド洋における海上暴力行為―課題と対応」:ダス退役中将
3「海上テロの脅威」:山崎元自衛艦隊司令官
4「海上航行と大陸棚上の固定式プラットフォームの安全に対する不法行為の抑止」:パレリ前印沿岸警備隊長官
12:00~13:00
討議:「海上暴力・不法行為抑止のための日印協力のあり方と具体的方策」
14:00~17:00 第二セッション「海洋安全保障情報の日印共有」
セッション議長:広瀬専修大学教授
発表(日本2名、インド2名)各25分、討議1時間

1「ReCAAP(アジア海賊対策地域協力協定)とISC(情報共有センター)の概要」:遠山海上保安庁課長補佐
2「インド洋のチョークポイントにおける海事活動」:パレリ前印沿岸警備隊長官
3「日印海洋安全保障情報の共有」:秋元主任研究員(OPRF)
4「異文化間の情報共有―必然と障害」:チャトルヴェディ教授
16:00~17:00
討議:「情報共有に向けて如何にすべきか」
10月13日(金)
09:00~11:00
第三セッション「日印海洋・海事関連経済協力の促進」
セッション議長:ダス退役中将
発表(日本3名、インド2名)各20分、討議1時間
1「Globalizationの進展と新しい日印経済関係」:眞野聖学院大学大学院教授
2「インドの港湾近代化計画」:ランジット・ライ氏
3「インドの造船業―現在と将来」:ミラン・ムカジー氏
4「海事産業基盤の構築に向けた日印経済協力」:小林三菱商事執行役員
5「インドの港湾・海事セクターに対する日本のODA」:石津大臣官房審議官
10:40~11:40
討議:「経済協力促進の契機のために」
16:30~17:30
クロージングセッション
セッション司会:今泉調査役(OPRF)
共同声明発表:夏川元統合幕僚長議長
コメント:広瀬教授及びダス退役中将、パレリ前長官
閉会挨拶:ロイ退役中将
閉会挨拶:秋山会長(OPRF)
18:00~20:00 共同声明対外発表(※共同声明の全文は別掲のとおり):秋山会長
レセプション

本会議報告書については、こちらからご覧下さい。

以上

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