2014年6月5日(木)に米国ウッドロー・ウィルソン国際学術センター中東部長のハレ・エスファンディアリ博士をお招きし、「イラン・米国関係の動向~ジュネーヴ合意を受けて~」と題した講演会を開催しました。
ハレ・エスファンディアリ博士は、ウッドロー・ウィルソン国際学術センター中東部長として、イランの民主化やジェンダー問題など現代イランの内政・外交研究の第一線で活躍されており、講演会やメディアプログラムへの出演などを通じて、米国・イラン関係の世論形成に重要な役割を果たしてきました。博士はイラン生まれですが、イラン革命により1979年に家族とともに米国へ移住しました。1980-94年には、プリンストン大学においてペルシア語、現代ペルシア文学やイランの女性運動について教鞭を執り、現在はワシントンDCを活動の拠点としています。
また、博士は、2006年12月30日、母親の病気見舞いを終えてテヘラン空港へ向かう道中、強盗に遭遇・脅迫され、米国とイランの旅券や荷物を強奪されたため、帰国できなくなりました。その後博士が旅券を申請したところ、情報省に召喚・拘留され、反政府活動を行ったことを告白するよう何度も厳しい尋問を受けましたが、これを拒絶し続けました。この事件は、米国のクリントン上院議員(当時)らが無条件釈放と米国帰国を求める要請をおこなったため、米国のメディアからも大きく取り上げられました。その結果、2007年8月21日に博士は保釈金を支払った後に釈放され、9月2日にイランを離れました。エスファンディアリ博士の拘束は、日本であまり報道されませんでしたが、米国・イラン関係を非常に緊迫させた重要な事件と考えられます。
【笹川平和財団主催講演会のご案内】「イラン・米国関係の動向~ジュネーヴ合意を受けて~」(2014.6.5開催)