笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI-SPF)と国際総合山岳開発センター(ICIMOD)は、統合的な気候変動対策を通じてヒマラヤとベンガル湾をつなぐ変革的イニシアティブである「氷河から海洋へ」プロジェクトを立ち上げる共同声明に署名しました。
しばしば「第三の極」と呼ばれるヒンドゥークシュ・ヒマラヤ(HKH)は、極地以外では世界最大の氷を有しています。その氷河は主要な河川を潤し、丘陵地帯や山岳地帯では約2億7000万人、下流の流域では16億5000万人の人口を支えています。しかし、この地域は氷河融解の加速、不規則な降雨、洪水や干ばつのリスクの上昇に直面しており、その影響が低地や海洋に連鎖しています。
山岳と海洋の生態系を結びつけることで、「氷河から海洋へ」プロジェクトは、源流から海までの連続体全体にわたって気候変動の影響に対処するもので、変化する気候への適応と持続可能性の計画において、見落とされがちですが重要なアプローチです。
ICIMODとOPRI-SPFの地域横断的パートナーシップは、ガンジス川流域全体のレジリエンス(回復力)を強化するため、HKHにおける氷河の後退からベンガル湾の生物多様性損失や海洋汚染まで、共有する環境課題に取り組むことを目的としています。
このイニシアティブの目的は以下です:
- ガンジス川流域における氷河融解に伴う災害と気候変動リスクに対する早期警報システムを、上流から下流までの連結性に焦点を当て開発・強化する。
- 河川流域全体にわたり、コミュニティベースでジェンダーに配慮した適応戦略を推進する。
- 気候変動により変化が予想されるベンガル湾の海洋生物多様性の評価とモニタリングに環境DNA(eDNA)技術を応用する。
- 重金属やプラスチック汚染と流域環境との関連性についての認識を高め、政策への関与を支援する。
- 氷河から海洋まで、気候適応、持続可能な水管理、レジリエンス(回復力)強化のためのエビデンスに基づく地域政策を支援するため、ガンジス流域全体で知見を創出する。