年末年始休業のお知らせ
笹川平和財団の年末年始休業期間について、お知らせいたします。
2020年12月2日、公益財団法人笹川平和財団(東京都港区 理事長 角南篤)とブルームバーグNEF (BNEF)は、企業におけるジェンダーの多様性が気候変動ガバナンス、気候変動パフォーマンスおよび気候変動イノベーションに及ぼす影響についてまとめた調査レポート「ジェンダーダイバーシティと気候変動イノベーション」を発表いたします。
今回の調査レポートでは、電力、石油・ガス、鉱業業界において女性取締役の割合が3割以上の企業では、気候変動ガバナンスとイノベーショを積極的に推進する傾向がみられ、企業におけるジェンダーの多様性の向上と企業による気候変動等への取り組みは相関関係にあることが判明しました。
また、企業におけるジェンダーの多様性は、炭素排出量の削減に直接は寄与しないものの、脱炭素に寄与するデジタル関連プロジェクトに投資をしている傾向が高いことが判明しました。その一例として、女性取締役の割合が多い石油会社は、脱炭素化戦略を策定している事が上げられます。
さらにこれらの業界において女性が取締役を務めるイノベーションチームでは、ベンチャーへの投資や、革新的な商品の開発、技術調査、研究開発プロジェクトを生み出している傾向がみられました。
当調査レポートの共著者であるBNEF日本・韓国分析部門長の黒崎美穂は、「ジェンダーの多様性に関する開示を増やし、その定義を統一化していくことは必要不可欠です。これにより、企業や金融市場がジェンダーの多様性と業績の相関関係を分析する土台を作る事ができます。企業は業績目標や気候変動目標と同様に、ジェンダーの多様性に関する長期目標の設定を検討すべきです。また、ただ目標を設定するだけでなくコミットをすることが必要です。そうすることで、金融市場は企業の戦略の方向性や取り組みを適切に評価することが可能となります」と述べています。
笹川平和財団ジェンダーイノベーション事業グループ・グループ長の松野文香は、「この調査により、企業におけるジェンダーの多様性と気候変動ガバナンスとイノベーションの正の相関関係が明らかになりました。特に、取締役会で女性が役員の30%以上を占める企業においては、その正の相関性が顕著に表れています。ブルームバーグ社が保有するデータによると、女性役員の占める割合が30%以上の企業の数は、この10年間で2%から16%に増加し、はっきりとしたトレンドを作っています。このようなトレンドを推進していく事は重要で、意思決定権のある役員レベルのみでなく、雇用者全体に占める女性の割合、中間管理職の女性の割合も含めて女性の活躍が更に進んでいく事を期待します」と述べています。
法規制や開示義務は、ジェンダーの多様性や気候変動に関する開示を向上させています。2011年以降、EU加盟国のうち11ヶ国が企業の取締役会に占める女性の割合における法的な目標の導入と自主的な施策を採用した事で、大きく前進しました。一方、アジア各国はジェンダーの多様性の開示と実績の双方において遅れをとっています。