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有事に備え 日本もサイバー空間での諜報活動が急務

「能動的サイバー防御」関連法で平時の対応は前進

笹川平和財団 岡田美月


2026.10.29
5分
「第16回サイバーセキュリティ国際シンポジウム」で講演する笹川平和財団の兼原信克常務理事=28日、東京都港区

「第16回サイバーセキュリティ国際シンポジウム」で講演する笹川平和財団の兼原信克常務理事=28日、東京都港区

「第16回サイバーセキュリティ国際シンポジウム」開催

 笹川平和財団は、慶應大学と共催で、27~30日までの4日間、東京都内で、デジタル社会における国家安全保障問題などをテーマにした「第16回サイバーセキュリティ国際シンポジウム」を開いています。同財団の兼原信克常務理事は28日に講演し、サイバー攻撃に先手を打って被害を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」関連法が1日に施行されたことを評価しました。一方で有事におけるサイバー攻撃への備えは不十分だとして、サイバー空間における諜報活動の重要性を強調しました。(笹川平和財団 岡田美月、写真も)
 「能動的サイバー防御」関連法が施行され、警察や自衛隊が攻撃元のサーバーに入り込み無害化するための措置を講じることができるようになりました。政府が能動的サイバー防御の導入を決めたことで、防衛省・自衛隊は2027年度をめどに、自衛隊サイバー防衛隊などのサイバー専門部隊の規模を約4000人体制に拡充する計画を進めているところです。23年度末には、それまで約890人だった人員を約2230人にまで増員しました。
 一方で、この関連法は平時におけるサイバー攻撃への対処を念頭に置いた措置であり、敵が他国の軍隊や諜報機関だった場合にはさらなる対応が必要となります。兼原常務理事はサイバー防御を巡る日本の対応姿勢が現状のままでは、有事において大きな弱点となると警鐘を鳴らしました。

サイバー諜報活動避ける日本 国際社会では異質

 「膨大な量の情報が出回っているサイバー空間ではどの国も諜報活動を行っています。日本はこれまで全くやってきませんでした」
 兼原常務はこう述べ、サイバー空間での諜報活動や情報収集が急務だと強調しました。その上で、「政府は憲法21条の解釈として、『何人も通信の秘密は、これを侵してはならない』ということを金科玉条のようにしてきました」として、通信の秘密を保障する憲法21条の政府解釈に触れた上で、サイバー空間における諜報活動を避けてきた日本の対応は世界の諜報機関の常識と照らして異質だと指摘しました。
 エストニアの首都タリンを拠点とする北大西洋条約機構(NATO)サイバー防衛協力センターがサイバー空間を巡る国際法に関する考えをまとめたガイドライン「タリン・マニュアル」の32項は、「国家による平時のサイバー諜報活動は、それ自体では国際法違反とならない」としています。
パネルディスカッションに参加する(右から)笹川平和財団の兼原信克常務理事、総務省の鈴木茂樹元事務次官、長島純・元国家安全保障局内閣審議官、NTTの松原実穂子チーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト=28日、東京都港区

パネルディスカッションに参加する(右から)笹川平和財団の兼原信克常務理事、総務省の鈴木茂樹元事務次官、長島純・元国家安全保障局内閣審議官、NTTの松原実穂子チーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト=28日、東京都港区

 講演後、兼原常務は総務省の鈴木茂樹元事務次官、長島純・元国家安全保障局内閣審議官(航空自衛隊・元空将)、NTTの松原実穂子チーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジストとともにパネルディスカッションに参加し、サイバーセキュリティを巡る官民連携の重要性などについて議論を深めました。
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公益財団法人笹川平和財団
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