は じ め に本報告書は、競艇交付金による日本財団の平成21 年度助成事業として実施した「天然ガスの短距離海上輸送体制の整備に関する調査研究」事業の成果をとりまとめたものです。天然ガスは、我が国の経済活動や市民生活に欠かせない重要なエネルギー源の一つですが、地球温暖化問題への世界的な取り組みが喫緊の課題となっている中、CO2の発生量が少ないことから、その重要性はますます高まってきています。この我が国にとって重要である天然ガスの国内輸送は、これまでほとんどがパイプラインやローリーにより行われてきましたが、最近になって、関係者のご英断とご努力によって、内航船による輸送が開始されました。ここにきて内航海運もようやく、我が国にとっての重要なエネルギーである天然ガスの国内輸送の一翼を担うようになったわけです。平成19 年に海洋基本法が制定され、海洋立国の実現を目指している我が国としては、我が国にとり今後より一層重要になってくるエネルギーである天然ガスの国内輸送についても、海上輸送が相応の貢献をすべきであると考えます。このため本事業では、①天然ガスに関する動向調査、②天然ガスの国内輸送に関する動向調査、③天然ガスの潜在需要量調査、④内航LNG 輸送の利用可能性の検討、⑤内航LNG 輸送の潜在需要顕在化に向けた課題と対応をそれぞれまとめました。これにより、我が国における天然ガスの内航輸送の今後の見通しを明らかにするとともに、天然ガスの内航輸送の中期的課題の抽出・整理を行いました。本調査研究の結果が、今後の天然ガスの内航輸送の事業化に少しでもお役に立つことができればと思います。最後に、調査研究委員会の委員長として熱心、かつ、適切なご指導を賜った太田和博専修大学教授をはじめとする委員及び委員会オブザーバー各位並びに本調査研究にご協力頂いた関係者の皆様方に深く御礼申し上げます。平成22 年3 月海 洋 政 策 研 究 財 団会 長 秋 山 昌 廣天然ガスの短距離海上輸送体制の整備に関する調査研究委員会委員名簿(順不同 敬称略)委員長太田和博 専修大学 商学部 教授委員西村悦子 神戸大学 大学院 海事科学研究科 准教授松村敏弘 東京大学 社会科学研究所 教授オブザーバー池永寛明 (社)日本ガス協会 企画部長蝦名邦晴 国土交通省 海事局 内航課長澤田公一 大阪ガス(株) 企画部部長代理 広域・連携チーム マネジャー田中照久 国土交通省 政策統括官付参事官(物流政策担当)(山口勝弘)長谷部圭一 東京ガス(株) 総合企画部 経営計画グループ マネージャー畠山一成 経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 ガス市場整備課長広岡兼次 鶴見サンマリン(株) 代表取締役社長山本利和 (株)川崎造船 営業本部 商船営業第二部長関係者鈴木初 アビームコンサルティング(株) 社会基盤・サービス統括事業部マネージャー田中司 アビームコンサルティング(株) 社会基盤・サービス統括事業部シニアコンサルタント生田陽一 (株)エム・オー・マリンコンサルティング 海洋技術部 副部長鳥山貴史 (株)エム・オー・マリンコンサルティング 海洋技術部 研究員高橋迪 (株)IMOS 代表取締役社長津田眞吾 (株)IMOS 取締役事務局石原彰 海洋政策研究財団 海技研究グループ長兼主任研究員三木憲次郎 海洋政策研究財団 海技研究グループ長南島るりこ 海洋政策研究財団 海技研究グループ 海事研究チーム長※( )内は前任者目 次はじめに天然ガスの短距離海上輸送体制の整備に関する調査研究委員会委員第1 章 天然ガスに関する動向調査 ·································································· 1第1 節 エネルギー政策における天然ガスの位置づけ·········································· 1第2 節 国内のエネルギー需給動向の整理 ······················································ 4第3 節 国内の天然ガス需給動向の整理 ························································· 10第4 節 国内の天然ガス関連施設の整備動向 ··················································· 14第2 章 天然ガスの国内輸送に関する動向の調査 ················································ 29第1 節 天然ガス国内二次輸送の概要 ···························································· 29第2 節 流通概況 ······················································································· 47第3 節 輸送手段ごとの特性整理 ·································································· 58第4 節 輸送機関別参入条件の整理 ······························································· 62第3 章 天然ガスの潜在需要量 ········································································ 65第1 節 天然ガス事業を巡る事業環境状況 ······················································ 65第2 節 産業部門における天然ガスへの利用転換による潜在的な需要量 ··············· 69第4 章 内航LNG 輸送の利用可能性の検討 ························································· 71第1 節 内航LNG 輸送の現状 ······································································ 71第2 節 現状の内航LNG 船運用から抽出されるポイント ·································· 77第3 節 産業部門における内航LNG 船輸送の検討 ··········································· 88第4 節 内航LNG 輸送の潜在的な需要量 ······················································· 101第5 章 内航LNG 輸送の潜在需要顕在化に向けた課題と対応 ································· 111第1 節 需要側面に係る課題と対応 ······························································· 111第2 節 供給側面(インフラ)に係る課題 ······················································ 116第3 節 供給側面(運用)に係る課題 ···························································· 119おわりに ······································································································ 123第1 章 天然ガスに関する動向調査第1 節 エネルギー政策における天然ガスの位置づけ(1) 世界のエネルギー消費における天然ガスの位置づけ一次エネルギー消費における天然ガスは、世界全体で、約24%のシェアを占めており、特に、ヨーロッパ・ユーラシア地域では、約35%とシェアが大きくなっている。また、全世界における天然ガスの消費量は、1997 年から2007 年の10 年間で約30%増加しており、特に、ヨーロッパ・ユーラシア地域における増加が著しい。0%20%40%60%80%100%世界全体ヨーロッパ・ユーラシア日本中国韓国アメリカ水力原子力天然ガス石炭石油3.3%14.2% 25.2%34.8%23.8% 15.7%(資料)天然ガス資料年報(天然ガス鉱業会 平成20 年版)図1-1 世界の一次エネルギーの消費割合02004006008001000120014001997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 年百億m3050010001500200025003000百億m3(世界全体)日本中国韓国アメリカヨーロッパ・ユーラシア世界全体(第2軸)(資料)天然ガス資料年報(天然ガス鉱業会 平成20 年版)図1-2 世界の天然ガス消費量の推移- 1 -(2) エネルギー政策における天然ガスの位置づけわが国のエネルギー政策の概要は、下図(図1-3)で整理され、より環境負荷の低いエネルギーへの転換が要請されている。また、非化石エネルギーの利用拡大も促されているが、天然ガスはCO2排出量削減という観点から、石炭、石油に比較してよりクリーンなエネルギーとなっている。図1-3 わが国のエネルギー政策の概要CO2NOXSOX天然ガス石油石炭100 100 1008071685720~3700102030405060708090100天然ガス石油石炭( 注 )石炭を100 とした場合の排出量(資料)平成19 年度(2007 年度)におけるエネルギー需給実績(資源エネルギー庁 2009 年4 月)図1-4 CO2、NOX、SOX の排出量【化石エネルギーのクリーンな利用の開拓】我が国エネルギー供給の大宗を支える石油、天然ガス及び石炭について、より環境負荷の少なく効率的な利用の推進を図ることにより、先進的な化石燃料需要国となる。具体的には、火力発電や産業部門のボイラ需要など幅広い分野におけるCO2負荷の少ない天然ガスの利用拡大に加えて、天然ガスの広域的な流通を活性化し、その利用拡大に資するガスパイプライン網の整備については、投資インセンティブの付与を含めた多面的な支援により、引き続きこれを促進する。新・国家エネルギー戦略(平成18年5月) エネルギー基本計画(平成19年3月)【エネルギー政策における天然ガスの位置付け】天然ガスは中東以外の地域にも広く分散しており、我が国の中東地域からの輸入は2割程度。供給は概ね安定的に確保され、価格についても石油に比べ変動が小さい。他の化石燃料に比べ環境負荷が少ないクリーンなエネルギーである。天然ガスは、安定供給及び環境保全の両面から重要なエネルギーであることから、他のエネルギー源とのバランスを踏まえつつ、引き続き、天然ガスの導入及び利用拡大を推進する。【天然ガスの調達・国内流通の円滑化に向けた取組】諸外国に比し著しく立ち後れている国内のガス供給インフラの整備及び広域的なガス流通の活性化の観点から、パイプラインに係る投資インセンティブの付与、関係行政機関の連携によりガス導管網の整備とその相互連結や第三者利用を促進する。【需要拡大のための方策】天然ガス利用を促進するため、事業者の自主努力に加え、助成措置を講ずる。○エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律○石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律等の一部を改正する法律【エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用・化石エネルギー原料の有効な利用を促進する】(電気事業者)非化石電源を2020年までに50%以上とする等、非化石電源の利用を拡大することを義務づけ(石油・ガス事業者)原油や天然ガスの有効な利用を義務づけ。バイオ燃料・バイオガスの利用を義務づけ。【石油代替政策を見直し、開発・導入を促進する対象を「石油代替エネルギー」から「非化石エネルギー」に変更する】工場又は事業場において導入すべき非化石エネルギーについて、太陽光発電等新エネルギーの導入をより一層促進すること。- 2 -事業者に対して天然ガス利用を促すための、助成措置として、下表(表1-1)で整理した補助事業や補助金が用意されている。表1-1 天然ガス化に対する補助事業・補助金等補助事業・補助金名助成団体 補助対象・概要 補助対象範囲 補助率 補助金上限額エネルギー多消費型設備天然ガス化補助事業(社)都市ガス振興センター石炭、石油等の燃料を使用する工業炉、ボイラ等の設備を天然ガスへ燃料転換する事業者に対する補助金制度天然ガス化推進事業に係る設計費、既存設備撤去費、新規設備機器費(含む計測装置)、新規設備設置工事費(含む改造工事費)、敷地内ガス管敷設費。 (但し、本支管工事及びLNG貯蔵・気化設備を除く)1/3以内1.8億円/1補助事業新エネルギー使用合理化事業者支援事業(社)新エネルギー導入促進協議会新エネルギー(太陽光発電、天然ガスコージェネレーション、燃料電池等)の導入を促進するための補助金制度1/3以内※別途上限あり10億円/1件エネルギー使用合理化事業者支援事業(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構省エネルギー効果の見込める設備、技術の導入及び、エネルギーの相互融通等により省エネルギーを行うための設備、技術の導入を促進するための補助金制度省エネルギーに係る設備および工事一式①事業者単独事業1/3以内、上限5億円/事業(大規模事業1/3以内、上限15億円/事業)②複数事業者連携事業1/2以内、上限15億円/事業(資料)一般社団法人 都市ガス振興センター より- 3 -第2 節 国内のエネルギー需給動向の整理(1) 一次エネルギー供給わが国の天然ガスの輸入概況は、下図(図1-5)のとおりである。国内で供給される天然ガスの96.4%は海外からの輸入である。その輸入元は中東以外の諸国からが75.5%、中東からが24.5%となっており、84%を中東からの輸入に依存している石油に比較して安定供給の観点からは優れたエネルギーとなっている。(資料)天然ガス資料年報(天然ガス鉱業会 平成20 年版)図1-5 わが国のLNG 輸入概況輸入96.4%国内生産3.6%マレーシア19.0%オーストラリア17.3%ブルネイ8.9%その他9.9%カタール11.8%インドネシア20.4%UAE8.0%オマーン4.6%中東24.5%中東以外75.5%平成20年総輸入量6,926万トン天然ガス輸入100%LNG海上輸送サウジアラビア28%UAEイラン 24%12%カタール11%クウェート8%その他7%インドネシア3%ロシア3%スーダン2%オマーン2%中東84%中東以外16%総輸入量15億2973万バレル(2008年)【参考】我が国の石油輸入国の内訳- 4 -(2) わが国のエネルギー供給の動向わが国の一次エネルギー供給の動向は、下図以降のとおりである(図1-6、1-7、1-8)。天然ガス供給は、1990 年度に比較して2007 年度では、約2 倍の供給量となっており、シェアも10.7%から17.9%に拡大している。2102 2252 2276 23332458 2538 2681 279228493011 3133 3129 3219 3370 3359 3394 3751 408805,00010,00015,00020,00025,0001990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007年度[PJ]再未エネ水力原子力天然ガス石炭石油(資料)平成19 年度(2007 年度)におけるエネルギー需給実績(資源エネルギー庁 2009 年4 月)図1-6 一次エネルギー国内供給の推移10.7 11.1 11.211.4 11.5 11.5 12.0 12.4 12.9 13.4 13.8 14.0 14.3 15.1 14.7 14.9 16.5 17.901020304050607080901001990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007年度単位:%再未エネ水力原子力天然ガス石炭石油(資料)平成19 年度(2007 年度)におけるエネルギー需給実績(資源エネルギー庁 2009 年4 月)図1-7 一次エネルギー国内供給(構成比)の推移- 5 -194.5178.4159.8 161.5160.3153.1149.0 148.9143.2135.5132.8127.5120.7116.9108.3 111.0 107.160801001201401601802001990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007年度1990年度=100pt再未エネ水力原子力天然ガス石炭石油(資料)平成19 年度(2007 年度)におけるエネルギー需給実績(資源エネルギー庁 2009 年4 月)図1-8 エネルギー国内供給(指数)の推移(3) わが国のエネルギー消費の動向天然ガスの需要動向は、1990 年度以降増加傾向にあり、2007 年度には1990 年度の2 倍以上の需要量となっている。(図1-9、図1-10、図1-11)需要増加の背景としては、COP3 を契機とした地球温暖化への対応のため、環境負荷低減に資する天然ガスへの転換がインフラ整備とあいまって進んだ結果、工業用で大きく需要が伸びたことなどがあげられる。692 733 762 814820882 913 947948 993 1038 1039 1097 1134 1202 1272 1389146902000400060008000100001200014000160001990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007年度単位:10^15J [PJ]再未エネ熱電力天然ガス石炭石油(資料)平成19 年度(2007 年度)におけるエネルギー需給実績(資源エネルギー庁 2009 年4 月)図1-9 最終エネルギー国内消費の推移- 6 -5.0 5.2 5.4 5.7 5.5 5.8 5.9 6.0 6.1 6.3 6.5 6.6 6.9 7.1 7.5 8.0 8.7 9.30.010.020.030.040.050.060.070.080.090.0100.01990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007年度単位:%再未エネ熱電力天然ガス石炭石油(資料)平成19 年度(2007 年度)におけるエネルギー需給実績(資源エネルギー庁 2009 年4 月)図1-10 最終エネルギー国内消費(構成比)の推移212201184174164159150150143137 137132127118 1181101064060801001201401601802002201990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007年度1990年度=100Pt石油石炭天然ガス電力熱再未エネ(資料)平成19 年度(2007 年度)におけるエネルギー需給実績(資源エネルギー庁 2009 年4 月)図1-11 最終エネルギー国内消費(指数)の推移- 7 -用途別での最終エネルギー国内消費の推移では、業務用での消費量拡大が大きく、1990 年度に比較して2007 年度には、約1.4 倍の消費量となっている。これに対して、非製造業では、1990 年度に比較して2007 年度には、約6 割程度まで消費量が削減している。02000400060008000100001200014000160001990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007年度単位:10^15J [PJ]非製造業製造業家庭用業務用運輸用注:「非製造業」:農林水産業、鉱業、建設業の法人ないし個人の産業活動により、農地・鉱山・建設現場などで消費されたエネルギーを表現「製造業」:製造業に属する法人企業あるいは個人企業が、工場・事業所の内部で消費したエネルギーを表現「家庭用」:家計が住宅内で消費したエネルギー消費を表現「業務用」:第三次産業が事業所内で消費したエネルギー消費や他のいずれの最終消費部門にも帰属しない最終エネルギー消費を表現「運輸用」:企業・家計が住宅・工場・事業所の外部で人・物の輸送・運搬に消費したエネルギーを表現(資料)エネルギーバランス表(資源エネルギー庁 2009 年4 月)図1-12 最終エネルギー国内消費(用途別)の推移- 8 -01020304050607080901001990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007年度単位:%非製造業製造業家庭用業務用運輸用(資料)エネルギーバランス表(資源エネルギー庁 2009 年4 月)図1-13 最終エネルギー国内消費(用途別/構成比)の推移607080901001101201301401501990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007年度1990年度=100Pt非製造業製造業家庭用業務用運輸用(資料)エネルギーバランス表(資源エネルギー庁 2009 年4 月)図1-14 最終エネルギー国内消費(用途別/指数)の推移- 9 -第3 節 国内の天然ガス需給動向の整理(1) 天然ガスの国内供給動向天然ガスの部門別国内供給及び消費量の推移では、国内供給全体では1990 年度に約2000PJ強であったものが、2007 年度には約4000PJ に拡大している。部門別の消費動向では、非発電用投入量が1990 年度に比較して2007 年度には大きく拡大している。0100020003000400050001990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007年度単位:PJ05001000150020002500単位:PJ国内供給発電用投入量(第2軸) 非発電用投入量(第2軸)(資料)平成19 年度(2007 年度)におけるエネルギー需給実績(資源エネルギー庁 2009 年4 月)図1-15 天然ガスの国内供給及び消費量(部門別)の推移(2) 天然ガスの国内需要動向天然ガスの用途別の最終消費動向では、最終消費量全体では1990 年度に約700PJ であったものが2007 年度には約1400PJ と倍増している中で、とくに業務用の消費量は、1990 年度に約200PJ であったものが、2007 年度には約700PJ と大きく拡大している。これに対して、家庭用の消費量は1990 年度と2007 年度で大きな差はない。これは、社会構造として核家族化と高齢化が進展したことに加えて、省エネガス機器の普及などの影響があると考えられる。- 10 -020040060080010001200140016001990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007年度単位:PJ0100200300400500600700800単位:PJ全体産業用(第2軸) 家庭用(第2軸) 業務用(第2軸) 製造業(第2軸)(資料)エネルギーバランス表(資源エネルギー庁 2009 年4 月)図1-16 天然ガスの最終エネルギー消費(用途別)の推移(3) 天然ガスの都道府県別消費概況都道府県別の天然ガスの部門別消費概況は、次頁以降の図のとおりである(図1-17、図1-18)。消費量は、東京圏、名古屋圏、阪神圏、福岡の大都市部での消費概況を除くと東日本の各都道県での消費が中京、近畿、中四国、九州の各府県での消費量に比較して相対的に大きくなっている。用途別での消費概況は、東日本の北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県の各道県、北陸・中部圏の富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県の各県、四国四県、福岡県を除く九州各県において、産業用部門での消費割合が全国平均と比較して低くなっている。- 11 -0 30,000 60,000 90,000 120,000 150,000 180,000 210,000北海道青森岩手宮城秋田山形福島茨城栃木群馬埼玉千葉東京神奈川新潟富山石川福井山梨長野岐阜静岡愛知三重滋賀京都大阪兵庫奈良和歌山鳥取島根岡山広島山口徳島香川愛媛高知福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児島沖縄(単位:TJ)産業用家庭用業務用( 注 )「エネルギーバランス表」は、事業者アンケートによる産業用のみで、全数調査ではない。また「家庭用」、「業務用」は推計値で、実態との乖離が見られる傾向がある。(資料)エネルギーバランス表(資源エネルギー庁 2009 年4 月)図1-17 天然ガスの国内消費概況(都道府県別/用途別/2007 年度)/実数値- 12 -0.00% 20.00% 40.00% 60.00% 80.00% 100.00%北海道青森岩手宮城秋田山形福島茨城栃木群馬埼玉千葉東京神奈川新潟富山石川福井山梨長野岐阜静岡愛知三重滋賀京都大阪兵庫奈良和歌山鳥取島根岡山広島山口徳島香川愛媛高知福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児島沖縄全国(単位:%)産業用家庭用業務用( 注 )「エネルギーバランス表」は、事業者アンケートによる産業用のみで、全数調査ではない。また「家庭用」、「業務用」は推計値で、実態との乖離が見られる傾向がある。(資料)エネルギーバランス表(資源エネルギー庁 2009 年4 月)図1-18 天然ガスの国内消費概況(都道府県別/用途別/2007 年度)/構成比- 13 -第4 節 国内の天然ガス関連施設の整備動向(1) LNG 受入基地①輸入基地わが国のLNG 輸入基地は、全国で28 箇所整備されている。特に東京電力及び東京ガスの袖ヶ浦は最大の受入能力を有している。なお、LNG 輸入基地の立地状況は、本州太平洋側に21箇所、九州に5 箇所、四国に1 箇所、本州日本海側に1 箇所の配置となっている。2010 年3 月時点において、石狩LNG 基地(北海道ガス)(2012 年受入開始予定)、和歌山LNG 基地(関西電力)(2017 年度以降)、吉の浦LNG 基地(沖縄電力)(2010 年)、日立基地(東京ガス)(2015 年受入開始予定)、ひびきLNG 基地(西部ガス)(2014 年受入開始予定)、八戸LNG 輸入基地(新日本石油)(輸入基地への変更)の計画が進められている。②内航LNG 基地【出荷基地】内航LNG 船の出荷基地は、全国で3 箇所となっている。袖ヶ浦基地(東京ガス、東京電力)、姫路製造所(大阪ガス)、戸畑エル・エヌ・ジー(九州電力、新日本製鐵)である。なお、現在整備が進められている石狩LNG 基地及び八戸LNG 輸入基地は、外航LNG 船受入バースとともに内航LNG 船及びローリー出荷設備が整備される予定である。(資料)エネルギー基本計画図1-19 わが国のLNG 基地LNG受入基地内航船LNG受入基地ガス田LNGパイプラインサテライト基地凡例函館みなと(北海道ガス)八戸(新日本石油)港(仙台市ガス局)新潟(東北電力・石油資源開発)扇島(東京ガス)富津(東京電力)東扇島(東京電力)根岸(東京ガス・東京電力)袖ヶ浦(東京ガス・東京電力)清水エル・エヌ・ジー袖師(静岡ガス)知多LNG共同(東邦ガス・中部電力)知多エル・エヌ・ジー(中部電力・東邦ガス)知多緑浜(東邦ガス)四日市LNGセンター(中部電力)四日市(東邦ガス)廿日市(広島ガス)柳井(中国電力)高松(四国ガス)松山(四国ガス)堺LNGセンター(関西電力)水島(中国電力・新日本石油)築港(岡山ガス)戸畑エル・エヌ・ジー(九州電力・新日本製鐵)福北(西部ガス)大分エル・エヌ・ジー(九州電力)長崎(西部ガス)鹿児島(日本ガス)泉北第一LNG(大阪ガス)川越(中部電力)姫路製造所(大阪ガス)泉北第二LNG(大阪ガス)姫路LNG管理所(関西電力)外航LNG受入基地内航LNG受入基地ガス田天然ガスパイプラインサテライト基地凡例外航・内航LNG基地坂出(四国電力・コスモ石油・四国ガス)- 14 -【受入基地】内航LNG 船の受入基地は、全国で5 箇所となっており、函館みなと基地(北海道ガス)、八戸基地(新日本石油)、築港基地(岡山ガス)、高松基地(四国ガス)、松山基地(四国ガス)である。受入基地の立地状況としては、瀬戸内海沿岸と東北・北海道に集中している。なお、北海道勇払地区(北海道苫小牧市(石油資源開発)2011 年11 月受入予定)及び釧路LNG 基地(北海道ガス、新日本石油)において、内航船受入基地の整備計画が進められている。以下では、参考として、石狩LNG 基地、北海道勇払地区の内航船受入基地、八戸LNG 輸入基地、釧路LNG 基地、日立港LNG 輸入基地、ひびきLNG 輸入基地の整備計画の概要を紹介する。【参考1】石狩LNG 基地の建設計画概要1) 建設場所 石狩市新港中央4 丁目(石狩湾新港中央埠頭)2) 敷地面積 約10 万m23) 主な設備 LNG タンク(18 万kl×1 基)、LNG 気化器、外航LNG 船受入バース、内航LNG 船およびローリー出荷設備 等4) 運転開始 2012 年12 月予定(2013 年12 月の当初計画を1 年前倒し)5) 総事業費 約400 億円図1-20 石狩LNG 基地建設計画の概要- 15 -【参考2】北海道勇払地区におけるLNG 受入基地建設について石油資源開発(株) 2009 年11 月27 日 プレスリリース より石油資源開発株式会社(以下「当社」)は、2011 年度以降の北海道における天然ガスの冬期ピーク需要への安定供給対策を進めるため、勇払油ガス田のある北海道鉱業所(北海道苫小牧市)にLNG(液化天然ガス)受入基地を建設し、LNG 内航船輸送によるLNG の受入を行うことといたしましたので、お知らせします。勇払油ガス田は当社の北海道内における唯一の天然ガス供給ソースであり、お客様の需要変動に対して柔軟で且つ安定的な供給体制を構築するためには、勇払油ガス田の天然ガスに加えて外部調達LNG を併用して供給を行うことが最善との判断に至りました。当社は外部調達LNG と国産天然ガスとのベストミックスにより、北海道内の天然ガス供給体制の強化を図り、安定供給を確実なものとし、今後とも北海道におけるクリーンエネルギー天然ガスの普及に努め、安定供給の確保に万全を期してまいります。なお、今後、LNG 受入基地建設並びにLNG 導入に必要な諸準備にあたりましては、地元関係者のご理解のもとで、安全にLNG の導入が図れるようにいたします。[勇払LNG 受入基地の概要]建設場所:苫小牧市字沼ノ端134(当社北海道鉱業所敷地内)主な設備:LNG タンク(3,000kl 程度)、LNG 気化器、内航船受入ローディングアーム予定工期:2010 年6 月着工、2011 年秋完成、同年11 月第1 船受入【参考3】「八戸LNG輸入基地」を中心とする天然ガス・LNG供給計画について新日本石油 2010 年1 月7 日 プレスリリース より当社(社長:西尾進路)は、青森県八戸港河原木地区ポートアイランド(以下、「ポートアイランド」)にLNG 輸入基地(以下、「八戸LNG 輸入基地」)を建設することを決定するとともに、同輸入基地の二次基地として、当社釧路西港油槽所跡地に北海道ガス株式会社と共同で内航船受入基地(以下、「釧路LNG 基地」)の建設について検討を開始しましたので、お知らせいたします。併せまして、「八戸LNG 輸入基地」向けのLNG 調達について、米国シェブロン社のオーストラリア子会社(以下「シェブロン社」)と「LNG 売買に係る基本合意書」(HOA:Heads ofAgreement)を締結しましたのでお知らせいたします。当社は2007 年3 月、八戸市にLNG 内航船受入基地「八戸LNG基地」を建設し、北東北3県(青森、岩手、秋田)に天然ガスとLNG を供給してまいりました。- 16 -「八戸LNG 輸入基地」は、今後も同地域において産業用を中心に需要増加が見込まれることに加え、さらなる供給エリアの拡大に対応すべく、ポートアイランドに建設するものです。ポートアイランドは、青森県が八戸港の長期的な整備方針を取りまとめた「八戸港港湾計画」において、北東北のエネルギー供給拠点と位置付けられており、当社は今後、青森県および八戸市と「事業所開設に係る基本協定書(立地協定書)」を締結のうえ具体的な協議・手続きを進め、2010 年度には基地建設に着工し、2015 年4 月に運転を開始する予定です。また、「釧路LNG 基地」は、天然ガス・LNG 需要が見込まれる道東地域向けに、八戸LNG輸入基地から受け入れるLNG を供給する拠点とするものです。現在、石狩市でLNG 輸入基地の建設を進める北海道ガス株式会社と共同で、その建設・運営ならびに両社輸入基地からの内航船によるLNG 供給方法について検討を進めてまいります。また、これに併せ、シェブロン社がオペレーターとして西オーストラリア州で開発を進めるゴーゴン・プロジェクトより、年間30 万トンのLNG を購入することについて基本合意に至りました。今後は、シェブロン社と取引の詳細を定める契約の締結に向けて協議を進めてまいります。当社は、今後とも総合エネルギー企業として、環境特性に優れた天然ガス・LNG の普及と、その事業展開を通じた地域振興に貢献してまいります。[計画の概要]1.「八戸LNG 輸入基地」の概要・建設場所: 青森県八戸港河原木地区ポートアイランド・敷地面積: 11.4 万m2 (予定)・主要設備: LNG タンク(14 万KL×2 基)、LNG 外航船受入設備、LNG 内航船出荷設備、天然ガス気化設備、タンクローリー出荷設備 等・運転開始: 2015 年4 月(予定)2.「釧路LNG 基地」の検討概要・建設場所: 新日本石油釧路西港油槽所跡地(北海道釧路市)・敷地面積: 4.5 万m2・主要設備: LNG タンク、LNG 内航船受入設備、天然ガス気化設備タンクローリー出荷設備 等・運転開始: 未定- 17 -3.シェブロン社と締結した基本合意書(HOA)の概要・売主 : シェブロン・オーストラリア社 (Chevron Australia Pty Ltd)シェブロンTAPL社 (Chevron (TAPL) Australia Pty Ltd)・買主 : 新日本石油株式会社・締結日 : 2009 年12 月15 日・契約期間: 2015 年(予定)から15 年間・契約数量: 30 万トン/年図1-21 北東北地域と北海道東地域におけるLNG 供給イメージ【参考4】茨城県における天然ガスインフラ整備について~低炭素社会の実現と地域経済のさらなる活性化を目指して~東京ガス(株) 2010 年2 月24 日 プレスリリース より東京ガス株式会社(社長:鳥原 光憲)は、本日、茨城県における天然ガスインフラ整備計画を、今後、早期に具体化していくことを決定し、あわせて茨城県および日立市にその推進に向けた協力を依頼いたしました。本計画は、茨城県日立市にLNG 基地を建設するとともに、同基地を拠点に、県内各地の天然ガス需要に応じパイプラインを敷設し、栃木県真岡市にある既存のパイプラインに接続するものです。当社は、本計画について、2009 年1 月30 日に発表した「2009 年度~2013 年度グループ中期経営計画」において、将来を見据えた基幹インフラの積極的拡充策の一環として位置づけ、2017 年度を目途にその実現に向けた検討を進めていくこととしておりましたが、昨今の地球温暖化対策に対する社会的・国際的な関心の高まりや、地元からの強い要請などを踏まえ、本計画の早期具体化を決定いたしました。天然ガスは環境性、供給安定性に優れたエネルギーとして、今後も民生用、産業用など幅広い分野においてそのニーズが拡大すると考えられます。当社は、天然ガスの普及促進を通して、- 18 -「低炭素社会の実現」という国の環境エネルギー政策に貢献するとともに、茨城県の経済発展ならびに地域の活性化に少しでも寄与できるよう努めてまいります。また当社は、日立市において1945 年から60 年あまりにわたりガス事業を展開しており、今後とも地域の一員として市民生活と産業活動をエネルギー面から支え続けてまいります。なお今後につきましては、「茨城県における天然ガスインフラ整備」に関する基本合意に基づき、県、日立市、海上保安庁など関係者の皆さまと協議を進めて詳細を決定してまいります。当社といたしましては、「安全確保」に万全を期すとともに、本計画の早期具体化に向けて、関係者ならびに県民、地元の皆さまのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。[計画の概要]1) 設備概要①LNG 基地(茨城港日立港区内):LNG タンク1 基(20 万kl クラス)ほか②パイプライン(茨城県日立市~栃木県真岡市):高圧導管(口径600 ㎜、約90 ㎞)2) 設備投資額:概算総額1,000 億円程度3) 稼働予定時期:2009 年度~2013 年度グループ中期経営計画で検討していた2017 年度の稼働予定時期を可能な限り前倒しし、2015 年度を目標図1-22 天然ガスインフラ整備のイメージ- 19 -【参考5】大型LNG 受入基地の建設について西部ガス(株) 2010 年2 月18 日 プレスリリース より西部ガス株式会社は、平成21 年2 月から、北九州市響灘地区に大型LNG(液化天然ガス)船の受入可能なLNG 基地(以下、ひびきLNG 基地)の建設について、本格検討を続けてきました。FS(事業化可能性調査)、港湾関係委員会、基本設計等が順調に進み、このたび、同基地を建設することを決定しましたのでお知らせします。ひびきLNG 基地の建設は、・大口産業用分野を中心とする需要拡大に積極的に取組み、低炭素社会の実現に貢献する・高圧導管の整備等により、福岡県の分散している設備を集約し、コストの低減を図る・LNG 船を小型船から大型船にし、LNG 調達の自由度向上とコストの低減を図ることを可能とします。ひびきLNG基地は、当社の天然ガス供給基盤を大きく改善する中核基地となるものであり、経営基盤の強化に資するものと考えております。当社では、天然ガスの供給を通じて、北部九州の低炭素社会の実現に貢献してまいります。[ひびきLNG 基地建設計画の概要]1) 建設場所:北九州市響灘地区(北九州市若松区)2) 敷地面積:約25 万m23) 主要設備:LNG タンク(18 万kl×2 基)、LNG 気化器、ローリ出荷設備、外航LNG 船受入バース 等4) 総事業費:約700 億円5) 着工時期:平成22 年6 月(予定)6) 運転開始:平成26 年11 月(予定)[建設場所、完成予想図]図1-23 ひびきLNG 基地建設場所及び完成予想図- 20 -(2) 天然ガス輸送関連施設の動向整理①天然ガス輸送の流れ天然ガスは、ガス田からパイプラインで生産基地に輸送され、脱硫等の前処理を経て、液化される。液化された天然ガス(LNG)は専用の船舶によって受入基地まで海上輸送される。受入基地では気化設備によって気化され、付臭および熱量調整を経て、都市ガスという形で家庭や工場に供給される。また受入基地に輸送されたLNG は地方のサテライト基地に二次輸送される場合もある。二次輸送の輸送手段として、パイプライン、ローリー、貨車コンテナ、内航LNG 船が挙げられる。天然ガス輸送の流れを下図(図1-24)に示す。図1-24 天然ガス輸送の流れL N G L N G受入基地国内輸送 サテライト基地発電所家庭・工場電気都市ガス気化設備付臭・熱量調整パイプライン内航LNG船貨車コンテナローリーL N Gガス田生産基地海上輸送・前処理設備・液化プラント・LNGタンク陸上輸送海上輸送- 21 -②基地【生産基地(積地基地)】生産基地は、ガス田より輸送された天然ガスからLNG を生産(前処理、液化)、貯蔵し、LNG船へLNG を積荷する施設である。生産基地の概要フローを下図(図1-25)に、設備の概要を下表(表1-2)に示す。ローディングアームフレアスタックLNGタンクLNG生産基地LNGの流れ天然ガスの流れ前処理施設液化プラントBOG処理設備図1-25 LNG 生産基地表1-2 LNG 生産基地の設備設備名 機能概要前処理施設 天然ガス田から輸送されたガスから、酸性ガスや水銀や水分、油分、不純物や重質炭化水素等を除去する施設。液化プラント -162℃まで冷却し天然ガスを液化する施設。液化プロセスは大別すると①カスケードプロセス(エタン、エチレン、プロピレンなど温度レベルの異なる単一成分冷媒の冷凍サイクルを何段か組み合わせ、多段で天然ガスを液化する方式)②混合冷媒プロセス(エタン、プロパンなどよりなる混合物冷媒を用いる方式)③エキスパンダープロセス(高圧の天然ガスの一部を減圧膨張させながらエキスパンダータービンを駆動するとともに、自己冷却したガスを冷媒として残りの天然ガスを液化する方式)の3つがある。生産量の変動が無い場合は②混合冷媒プロセス、少量短期生産には③エキスパンダープロセスが用いられることが多い。- 22 -LNG タンク LNG 貯蔵施設。-162℃の超低温LNG を貯蔵するため、タンク内側は低温に強いニッケル鋼等の特殊な金属と保冷材でできている。タンクの種類には地上式と地下式があり、地下式では、周囲の土が凍結しないようヒートフェンスを設置している。フレアスタック LNG タンクで気化した余剰ガス(可燃性・臭気有り)を安全に燃焼させて大気に放出させる設備。ローディングアーム LNG を陸上タンクからLNG 船へ積荷するための設備で、液用とガス用がある。液用はLNG 船への受入、ガス用はLNG 船タンク圧力を一定に保つためにLNG 船タンク内で気化したガスを陸上タンクに戻す働きをしている。なおLNG の積荷には陸上のポンプを使用する。桟橋・係留施設 LNG 船・タグボート等が着桟するための設備。ドルフィンやフェンダー、荷役緊急遮断装置や船陸通信設備等が必要となる。その他 管制・コントロール施設や発電施設、消防施設等も設置されている。【受入基地(揚地基地)】受入基地は、LNG 船によって輸送されたLNG を受け入れ、貯蔵し、再ガス化して供給、またはLNG のまま二次輸送する施設である。LNG 受入基地の概要フローを下図(図1-26)に、設備の概要を次頁表(表1-3)に示す。なお、サテライト基地は受入基地の縮小版であり、二次輸送されたLNG を受け入れ、ガス化し、供給する為の基地である。図1-26 LNG 受入基地二次輸送冷熱利用家庭工場アンローディングアームフレアスタックBOG圧縮機リターンガスブロア気化設備LNGタンク付臭・熱量調整LNG受入基地LNGの流れ天然ガスの流れ都市ガスの流れ- 23 -表1-3 LNG 受入基地の設備設備名 機能概要桟橋・係留施設 LNG船・タグボート等が着桟するための設備。ドルフィンやフェンダー、荷役緊急遮断装置や船陸通信設備等が必要となる。アンローディングアーム LNGをLNG船から揚荷するための設備で、液用とリターンガス用がある。液用は陸上タンクへの受入、リターンガス用はLNG 船のタンク圧力を一定に保つために陸上タンクのガスをLNG 船に戻す働きをしている。LNGの揚荷はLNG船に搭載されているカーゴポンプを使用する。LNG タンク LNG貯蔵施設。-162℃の超低温LNG を貯蔵するため、タンク内側は低温に強いニッケル鋼等の特殊な金属と保冷材でできている。タンクの種類には地上式と地下式があり、地下式では、周囲の土が凍結しないようヒートフェンスを設置している。フレアスタック LNGタンクで気化した余剰ガス(可燃性・臭気有り)を安全に燃焼させて大気に放出させる設備。リターンガスブロア LNG船のタンクの圧力を維持するために、LNG タンクで気化したガスをLNG船のタンクに戻す設備。BOG 圧縮機 LNGタンク内で気化したガスを昇圧して送り出す設備。LNGタンク内のガス圧力を所定の圧力に保つ働きがある。気化設備 LNGを気化させる設備。LNG が流れるパイプに海水や温水をかけ、気化させる「オープンラック式ベーパライザー(ORV)」、温水槽にLNGが流れるパイプを通す「サブマージド型ベーパライザー(SMV)」、その他、空気温水式やトライエックス式といった気化設備がある。付臭・熱量調整設備 ガス漏れの際に気付かれるように、無色無臭の天然ガスにあえて「におい」を付ける設備。また、LPG を混合することで天然ガスの熱量等の成分のバラツキを調整する施設。その他 管制・コントロール施設や発電施設、消防施設等も設置されている。③輸送手段天然ガス、LNG の輸送手段であるパイプライン、ローリー、貨車コンテナ、船舶(LNG 船)の4つについての概要を以下にまとめた。【パイプライン】天然ガスの輸送手段であるパイプラインは、大量かつ安定的に天然ガスの輸送が可能であり、年間で100 万㌧程度までの輸送が可能である。パイプラインは供給源から需要端まで全てを同時に建設・整備することが必要であり、地下埋設のため初期投資や拡張性については、他より劣る部分がある。しかし耐用年数が40 年と長く、運転コストが低いことや、ガスを輸送するにあたって気象状況、交通状況などによる影響を受けにくいことや環境負荷が少ないことが利点である。- 24 -【ローリー】LNG の輸送手段であり、供給先や供給量の自由度、柔軟性が高い。ローリー輸送に使用されるタンクは最大約15 ㌧のLNG を積載可能である。ヒアリングより初期投資としては、車両費(5,000 万円程度)やサテライト基地の建設費(1~7.5 億円程度)が挙げられる。荷主の費用負担は、長期契約(10 年間など)を結び、車両費や人件費を含むLNG 輸送に係る全ての費用を負担することが多いが、スポット契約による場合もある。ローリー輸送は道路のある所であればどこでも輸送可能であるが、道路法に基づき、長大・海底トンネルの通行や使用ができない高速道路等も存在するなどの制約がある。またドライバーの労働時間や高圧ガス保安法(1日9 時間以上の走行の場合ドライバーは2 人以上とする)による制約もある事から、200km~300km 程度を輸送範囲としている。その他の法律面での制約としては、車両の構造に関する道路運送車輌法等がある。図1-27 輸送手段:ローリー【貨車コンテナ】LNG 輸送手段。鉄道輸送に使用されるコンテナは、魔法瓶状のタンク体を鉄骨フレーム等で補強されており、20ft、30ft、40ft の3種類のコンテナには、それぞれ5.6 ㌧、10 ㌧、13.5 ㌧のLNG を積載できる。鉄道輸送は専用軌道上を走行するため、安定的な輸送が可能であり、ローリー輸送に比べCO2等の排出も少なく、環境性に優れている。しかし地理的に輸送不可能なエリアも存在することや、ダイヤによる制約を受けるという欠点もある。輸送距離としては、ローリー輸送の2 名乗車が求められる範囲である200km~300km 程度以上において、コスト的に優位となる場合もある。現在LNG の鉄道輸送が行われているのは、新潟から青森、秋田、金沢、富山の4区間、苫小牧から旭川、釧路、帯広の3区間、姫路から富山の1区間の計8区間である。遵守すべき法律として、高圧ガス保安法が挙げられ、コンテナの貯蔵所の設置について規制がある。- 25 -図1-28 輸送手段:貨車コンテナ【船舶(LNG 船)】LNG 輸送手段。外航船と内航船の2つに分類して以下のとおりまとめた。〈外航船〉LNG 船にはタンクの形状から大別してモス型とメンブレン型の2種類がある。下表にモス型とメンブレン型の比較表を示す。タンク容量は145,000m3や155,000~165,000m3が主流であるが、最近は216,000m3(カタールフレックス)や260,000m3(カタールマックス)という大型船も造られている。表1-4 モス型とメンブレン型の比較モス型 メンブレン型構造 船体から独立した球形タンク。円筒形の支持構造(スカート)によりタンクを船体に固定している。船体内部に防熱材を取り付けてその表面をメンブレン(金属の薄膜)で覆った構造。メリット • LNGの蒸発が少ない• 検査、保守空間が船倉内に確保できる。• 衝突、座礁等の海難時のLNG漏洩に対する安全性が高い• LNG積載量が多い• 甲板がフラットでコンパクトな船型になる• タンク熱容量が小さいため積み降ろしの際の熱の無駄が少ないデメリット • 船倉の空間利用率が悪い • タンク外部からの検査、保守ができない• タンクを造る際に高精度の作業が必要• 貨物積載率に制限がある断面- 26 -写真〈内航船〉国内初の内航LNG 船「第一新珠丸」が平成15 年に北九州~高松間で就航し、現在では下図に示す4隻の内航LNG 船が国内のLNG 二次輸送に従事している。4隻ともタンク容量約2,500m3となっており1回の輸送で約1,000 ㌧のLNG を輸送できる。輸送距離は姫路~築港間の100km から袖ヶ浦~函館間の850km となっている。荷主は20 年契約で船舶の建造費や人件費、管理費を支払う必要があり、燃料費等の変動費もその都度支払う。内航LNG 船は耐圧性の高い蓄圧タンクを採用しておりBOG の発生を抑える事で汎用ディーゼルエンジンが使用可能になったことや、緊急離脱装置の装着も事業者判断事項となっている事などが、建造費のコスト削減要因となっている。なお、LNG を輸送するに当たって、法律的な制約は存在しないが、事業者は当該地域の海上保安部を含めた防災に関する専門委員会において航行に関する合意を形成している。表1-5 輸送手段:内航LNG 船航路袖ヶ浦~函館総トン数3056G T全長89.2m幅15.3mタンク容量2513m 3航海速力13.3k not主機関ディーゼル引渡2005年11月船主運輸施設整備支援機構・日本液化ガス輸送運航イイノガストランスポート建造造船所川崎造船・新来島どっくNORTH PIONEER航路袖ヶ浦~八戸総トン数2952G T全長86.29 m幅15.1mタンク容量2512m 3航海速力13kno t主機関ディーゼル引渡2008年11月船主鶴見サンマリン運航鶴見サンマリン建造造船所川崎造船・檜垣造船鶴令丸航路北九州・姫路~築港・高松・松山総トン数2936G T全長86.29 m幅15.1mタンク容量2513m 3航海速力12.7k not主機関ディーゼル引渡2002年11月船主運輸施設整備支援機構・新和ケミカルタンカー運航新和ケミカルタンカー建造造船所川崎造船・檜垣造船第一新珠丸航路北九州・姫路~築港・高松・松山総トン数2930GT全長86.29m幅15.1mタンク容量2513m3航海速力12.7kno t主機関ディーゼル引渡2008年10月船主中央海運運航新和ケミカルタンカー建造造船所川崎造船・檜垣造船第二新珠丸- 27 -第2 章 天然ガスの国内輸送に関する動向の調査第1 節 天然ガス国内二次輸送の概要(1) 北海道地域①供給地北海道地域には、外航船受入のLNG 基地が現時点ではなく、国内天然ガス田である勇払油ガス田/LNG プラントからの供給と、内航LNG 船にて東京ガス袖ヶ浦工場より内航船受入基地である函館みなと工場に供給を受けている。現在、外航船の受入が可能な石狩LNG 基地(2012年操業予定)が建設中である。石狩湾新港及び釧路港の受入基地を整備することでローリー及び内航船にて道内各地の事業者へ供給することを予定している。加えて、勇払地区に内航船受入基地の整備が計画されており(2011 年11 月受入開始予定)、エネルギーセキュリティの観点から安定的な供給体制構築が進められている。②需要地・輸送手段勇払油ガス田/LNG プラントからは、勇払・札幌天然ガスパイプライン(総延長:75km)により、北海道ガス、苫小牧ガス、北海道電力(苫小牧火力発電所)や、大口需要家となる製造業等の事業者へ供給している。また、道内にはLNG サテライト基地が各地に点在しており、勇払LNG プラントからローリー及び貨車コンテナ輸送によりLNG を供給している(貨車コンテナ輸送:釧路ガス、旭川ガス、岩見沢ガス。ローリー輸送:室蘭ガス、長万部町水道ガス課。貨車コンテナ+ローリー輸送:北海道ガス北見支店。)。③最終エネルギー消費の動向北海道は、最終エネルギー消費の石炭製品の割合が高くなっている(47%)。環境対策やエネルギーの高度利用の観点から、今後、天然ガスへの燃料転換の需要が高まってくると予想される。最終エネルギー消費の動向(構成比) 【北海道】天然ガス3%その他1%石炭製品47% 石油製品49% 天然ガス石油製品石炭製品その他最終エネルギー消費の動向 【北海道】その他 1138 天然ガス 2864石炭製品48033石油製品49135天然ガス石油製品石炭製品その他(資料)資源エネルギー庁「平成21 年度 エネルギー消費統計(エネルギーバランス表)」より作成図2-1 産業部門の最終エネルギー消費の動向(実数/構成比)【北海道】- 29 -(資料)(株)テックスレポート発行「ガス年鑑2008年度版」より作成図2-2 北海道LNG・都市ガス供給インフラマップ(凡例)LNG受入基地内航船受入基地LNGプラントLNGサテライト基地都市ガスパイプライン供給LNGローリー供給貨車コンテナ輸送供給内航船供給北海道LNG・都市ガス供給インフラマップLNG受入基地(内航船受入も可能)(1) 石狩LNG基地(北海道ガス:2012年操業予定)内航船受入基地(2) 函館みなと工場(北海道ガス)(3) 釧路LNG二次基地(北海道ガス・新日本石油:検討中)(4) 北海道鉱業所LNG受入基地(2011年11月受入開始予定)LNGプラント(5) 勇払油・ガス田/LNGプラント(石油資源開発)LNGサテライト基地(6) 釧路ガス(7) 北海道ガス北見支店(8) 旭川ガス(9) 岩見沢ガス(10) 帯広ガス(11) 室蘭ガス(12) 長万部町水道ガス課東京ガス袖ヶ浦工場(2)函館みなと工場(5)勇払油・ガス田/LNGプラント(9)岩見沢ガス(11)室蘭ガス(8)旭川ガス(6)釧路ガス(10)帯広ガス石油資源開発(7)北海道ガス北見支店(1)石狩LNG基地(2012年操業予定)石油資源開発(12)長万部町水道ガス課(3)釧路LNG基地(検討中)帯広駅まで貨車コンテナ、帯広駅から北海道ガス北見支店までローリー輸送(4)北海道鉱業所LNG受入基地(2011年11月受入開始予定)- 30 -(2) 東北地域①供給地東北地域において、外航船のLNG 受入基地は、仙台市ガス局の新港工場(2007 年度実績:約14 万㌧)と、東北電力・石油資源開発の東新潟LNG 基地(2007 年度実績:369 万㌧)の2箇所である。現在、東北電力の新仙台火力発電所が建設中である(2016 年創業予定)。また、八戸(青森県)には、新日本石油が内航船受入基地を持ち東京ガス袖ヶ浦工場よりLNG を受け入れているが、輸入LNG 基地の建設計画がある(2015 年創業予定)。また、微量ながら国内油田産天然ガスが秋田・山形にはあり(秋田:申川油田など、山形:余目油田)、油田周辺のガス会社等の事業者に供給されている。②需要地・輸送手段外航船受入のLNG 基地である東新潟LNG 基地と仙台市ガス局新港工場との間には、新潟・仙台ガスパイプラインが敷設されており、主に仙台市ガス局、東北電力、仙台市近隣の大口需要家に対して供給されている。また、山形天然ガスパイプラインや白石・郡山間パイプラインなど支線から、東北天然ガスをはじめとした山形県及び福島県の事業者や大口需要家へ供給が行われている。国内油田産天然ガスをもつ秋田県及び山形県では、国内産天然ガスに加えて、LNG が東新潟LNG 基地よりローリー輸送にて県内各地のLNG サテライト基地に輸送され、気化された天然ガスをあわせ、秋田県・山形県内パイプラインにより供給を行っている。他にも、ローリー輸送により、仙台市ガス局新港工場から宮城県内の古川ガス、石巻ガス、気仙沼市ガス水道部、福島県の東北ガスへ供給を行っている。また、東新潟LNG 基地からも山形県・秋田県だけでなく、青森県の青森ガスや福島県の若松ガスにも供給している。内航船受入基地である八戸LNG 基地からも、ローリー輸送にて青森県内の弘前ガス、十和田ガスの他、大口需要家への供給も行っている。③最終エネルギー消費の動向青森県は、最終エネルギー消費の割合が天然ガス:3%に対して、石炭製品:48%であり、今後の環境政策、エネルギーの高度利用の観点から、石炭製品からの燃料転換の需要があるといえる。最終エネルギー消費の動向(構成比) 【東北】0 20 40 60 80 100青森岩手宮城秋田山形福島(単位:%)天然ガス石油製品石炭製品その他最終エネルギー消費の動向 【東北】0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000青森岩手宮城秋田山形福島(単位:TJ)天然ガス石油製品石炭製品その他(資料)資源エネルギー庁「平成21 年度 エネルギー消費統計(エネルギーバランス表)」より作成図2-3 産業部門の最終エネルギー消費の動向(実数/構成比)【東北】- 31 -(資料)(株)テックスレポート発行「ガス年鑑2008年度版」より作成図2-4 東北LNG・都市ガス供給インフラマップLNG受入基地(1) 仙台市ガス局新港工場(仙台市)(2) 東新潟LNG基地(東北電力・石油資源開発)内航船受入基地(4) 八戸LNG基地(新日本石油)LNGサテライト基地(5) 青森ガス(6) 弘前ガス(7) 十和田ガス(8) 男鹿LNGサテライト基地(9) 酒田天然ガス(10) 鶴岡ガス(11) 庄内中部ガス(12) 気仙沼市ガス水道部(13) 古川ガス(14) 石巻ガス(15) 東部ガス(福島支社・郡山工場)(16) 東部ガス(平事務所・好間工場)(17) 若松ガス(18) 東北ガス(19) 常磐都市ガス(20) 常磐共同ガス(21) いわきガス(6)弘前ガス (4)八戸LNG基地(2)東新潟LNG基地山形市福島市白石市(1)仙台市ガス局新港工場東北天然ガス(株)山形天然ガスパイプライン(13)古川ガス(14)石巻ガス(5)青森ガス(7)十和田ガス⑭東部ガス(福島支社・郡山工場)(21)いわきガス(19)常磐都市ガス(17)若松ガス(12)気仙沼市ガス水道部新潟・仙台間ガスパイプライン(石油資源開発)(16)東部ガス(平事務所)(20)常磐共同ガス(18)東北ガス郡山市(8)男鹿LNGサテライト基地石油資源開発東京ガス東北天然ガス仙台市ガス東京ガス新日本石油:石油資源開発卸供給エリア:東京ガス卸供給エリア:新日本石油卸供給エリア:東北天然ガス卸供給エリア:仙台市営ガス卸供給エリア白石・郡山間パイプライン(東北電力・石油資源開発)余目油田申川油田東北LNG・都市ガス供給インフラマップ(凡例)LNG受入基地内航船受入基地LNGプラントLNGサテライト基地都市ガスパイプライン供給LNGローリー供給貨車コンテナ輸送供給内航船供給(9)酒田天然ガス(10)鶴岡ガス(11)庄内中部ガス袖ヶ浦工場- 32 -(3) 関東・甲信越①供給地関東地域では、東京湾周辺に外航船のLNG 受入基地が密集しており、富津LNG 基地(東京電力)、根岸工場(東京電力・東京ガス)、袖ヶ浦LNG 基地(東京電力・東京ガス)、東扇島LNG 基地(東京電力)、扇島工場(東京ガス)の5 つの基地が立地している。甲信越地域では、前述の東新潟LNG 基地(東北電力・石油資源開発)による供給のほかに、現在、上越LNG 基地(中部電力、2012 年操業予定)と直江津LNG 基地(国際石油開発帝石HD、2014 年操業予定)が建設中である。また、茨城県の茨城港日立港区に東京ガスの日立LNG基地整備の計画がある(2015 年操業予定)。②需要地・輸送手段関東・甲信越地域の特徴として、南北を縦断するパイプラインが網羅的に敷設されており、パイプラインを利用した天然