報告書・出版物

は じ め に本報告書は、競艇交付金による日本財団の平成18 年度助成事業として実施した「シンプルシップの技術開発及び普及」事業の成果をとりまとめたものです。四面を海に囲まれ、貿易量(重量ベース)の99%以上を船舶による輸送に頼っているわが国においては、船舶に要求される技術、性能水準は常に高いレベルにあり、海上輸送のニーズに対応しながら技術革新も進んできています。高度経済成長時の船舶の大型化、高速化、その後の一転した省エネルギー需要に対応した高効率化や環境問題への対応など、船舶に対しては、ほぼ一貫して高効率化や高付加価値化が求められてきており、このため、工作方法、機械・機器類が複雑化し、運営管理においても一定水準以上の知識、技術及び設備が要求されるようになっています。一方で、世界の多くの開発途上国にあっては、技術面や設備面の不足により、多少性能面、経済面での犠牲を払ったとしても、普遍的で維持管理や廃船処理が容易で安全な船舶が安定的な輸送インフラとして求められていると考えられます。しかしながら、これら途上国に対して船舶を供給する先進国側は、途上国の事情に配慮した船舶を改めて開発することはせずに、先進国仕様の船舶をそのまま提供する傾向が強く、途上国側がせっかく船舶を確保しても、維持修繕する能力がないため、やがて運航はままならなくなり、初期だけの効果となってしまいます。このため、当財団は、複雑で高機能化された近代的船舶を造る発想を180 度変えて、シンプルな設計概念に基づき開発途上国でも容易に運航や維持管理ができる船ができないものか、2 年にわたり調査研究を行って来ました。1 年目は、現地調査に基づき概念設計を実施し、2 年目の平成18 年度の調査では、更にニーズ等を勘案した上で、河川横断用フェリーボートに絞って試設計を実施し、また、普及のために南部アフリカ地区のザンビア共和国及びマラウイ共和国において説明会を開催いたしました。特に、このような途上国仕様の船舶をあえて開発するという取り組みに対しては、ザンビア及びマラウイにおける関係者から高く評価され、実際の船舶調達への期待も高まっております。当財団としましても、この報告書にまとめることができた調査研究の成果が実際に採用され、シンプルシップが幅広く建造・活用されることに期待をしており、それを促進するために今後も必要な協力を惜しまない所存です。最後になりましたが、調査委員会の委員長として熱心、かつ、適切なご指導を賜った熊岸健治氏を始めとする委員各位とご協力いただいた皆様方に深く御礼申し上げます。平成19年3 月海 洋 政 策 研 究 財 団((財)シップ・アンド・オーシャン財団)シンプルシップの設計に関する調査委員会名簿(順不同 敬称略)委員長 熊岸 健治 (株)日水コン 取締役 海外本部長委 員 坂本 安三 (財)日本海事協会 テクニカルサービス部 嘱託成瀬 健 独立行政法人 海上技術安全研究所 構造材料部門 生産技術研究グループ 主任研究員山口 嘉弘 (社)日本中小型造船工業会 経済協力船プロジェクトチーム 座長渡辺 豊徳 渡辺船舶技術士事務所 所長関係者 河村 輝義 国土交通省 海事局 造船課 国際業務室 国際第二係長松岡 一祥 独立行政法人 海上技術安全研究所 構造材料部門 部門長竹崎 全 (財)日本海事協会 テクニカルサービス部長北村 和芳 (社)日本中小型造船工業会 業務部長平田 純一 (社)日本舶用工業会 企画室長石本 惠生 オーバーシーズ・アグロフィッシャリーズ・コンサルタンツ(株)代表取締役飯田 一實 オーバーシーズ・アグロフィッシャリーズ・コンサルタンツ(株)岡村 憲二 オーバーシーズ・アグロフィッシャリーズ・コンサルタンツ(株)田中 和憲 オーバーシーズ・アグロフィッシャリーズ・コンサルタンツ(株)石井 哲郎 オーバーシーズ・アグロフィッシャリーズ・コンサルタンツ(株)仲條 靖男 オーバーシーズ・アグロフィッシャリーズ・コンサルタンツ(株)事務局 工藤 栄介 海洋政策研究財団 常務理事田上 英正 海洋政策研究財団 海技研究グループ グループ長西田 浩之 海洋政策研究財団 海技研究グループ グループ長(佐伯 誠治 海洋政策研究財団 海技研究グループ グループ長)玉眞 洋 海洋政策研究財団 海技研究グループ 調査役三木憲次郎 海洋政策研究財団 海技研究グループ グループ長代理※()内は前任者現地調査写真集1.ザンビアにおけるセミナーセミナー会場案内(於 ホテルタジパモジ、ルサカ)セミナー実施風景セミナー実施風景シンプルシップ模型の展示模型を囲んで、質疑応答ザンビア運輸省ケーマ海事局長他 セミナー後のレセプション2.カズングーラフェリーポイント増水により、通常の発着地点が50m先 フェリー待ち(通関)のトレーラーフェリー運航風景増水により、旅客は水に入り上下船を強いられている。上下船風景大型トレーラの下船大型トレーラーの乗船ハイドロマスター150Ps遠隔操縦左右舷2機を本機にて操縦ブロック継ぎ手部分3.マラウイMLSにおける普及活動Malawi Lake Service(MLS)にて普及活動を実施MLS 客船Ilala号船齢56歳4.マラウイでのセミナーリロングェでのセミナー案内(リロングウェホテル、リロングウェ)セミナー実施風景セミナー実施風景模型を机上において説明コーヒーブレイクレセプション5.タイ水上交通ロングテールによる水上タクシーバンコック港伝統的木造船現地水運事情の聴取目 次1.調査の目的..................................................................................................................... 12.調査の基本方針.............................................................................................................. 23. 調査の方法...................................................................................................................... 34. 概念設計のレビュー........................................................................................................ 54.1 概念設計の概要........................................................................................................... 54.1.1(タイプ1船舶)河川横断用フェリーボート............................................................. 54.1.2(タイプ2船舶)河川航行用自航式バージ................................................................. 74.2 検討課題の整理......................................................................................................... 104.2.1 推進システムの検討.................................................................................................. 114.2.2 ブロック接続方法の検討.......................................................................................... 224.2.3 船体強度の検討......................................................................................................... 264.3 シンプルシップ活用対象地域の拡大・見直し........................................................... 314.4 現地説明会計画立案.................................................................................................. 355. シンプルシップ試設計.................................................................................................. 375.1 設計方針及び設計条件............................................................................................... 375.1.1 設計方針................................................................................................................ 375.1.2 設計条件の特定..................................................................................................... 425.2 試設計の実施............................................................................................................. 465.2.1 要求性能確認......................................................................................................... 465.2.2 適用関連規則・法規.............................................................................................. 475.2.3 構造設計................................................................................................................ 505.2.4 強度・堪航性計算.................................................................................................. 515.2.5 推進装置設計......................................................................................................... 715.2.6 艤装設計................................................................................................................ 805.3 環境配慮計画............................................................................................................ 805.3.1 有害物質のインベントリー...................................................................................... 805.3.2 解体計画................................................................................................................... 815.4 バリエーション展開................................................................................................. 835.4.1 船体抵抗の相違........................................................................................................ 835.5 運営・維持管理、概算事業費..................................................................................... 865.5.1 総事業費................................................................................................................... 865.5.2 維持管理計画........................................................................................................... 886. 模型の制作.................................................................................................................. 907. 現地説明会.................................................................................................................. 927.1 現地関係者の状況....................................................................................................... 927.2 現地説明会.................................................................................................................. 927.2.1 ザンビア................................................................................................................... 927.2.2 マラウイ................................................................................................................... 947.3 補足調査...................................................................................................................... 957.3.1 ザンビア................................................................................................................... 957.3.2 マラウイ................................................................................................................... 968.結論・提言..................................................................................................................... 988.1 技術開発部分に関する提言......................................................................................... 988.2 普及に関する提言....................................................................................................... 99一般配置図添付資料1.シンプルシップ英文資料(A Concept of Simple Ship)2.ショッテルポンプジェット技術資料、カタログ3.ショッテルナビゲーター技術資料、カタログ4.ヤンマーディーゼルエンジン資料、カタログ5.ユニフロートシステム資料6.IMOアフリカ内水航行船舶安全規則(モデル)1.調査の目的科学技術の進歩に伴い、造船業・造船関連工業の分野でも様々な技術革新が追求され、最近の船舶では、その性能がより向上し、搭載機器はさらに高度化・複雑化する傾向にある。しかし、本来船舶に求められるべき機能は必ずしも複雑化の方向だけで達成できるものとは限らない。機能面での高付加価値化の方向とは逆に、よりシンプルな船を目指すということも重要な方向性として検討されるべきであると考える。すなわち、従来のような、船舶性能、あるいは、経済性を中心に船舶としての価値を見出すという考え方とは別に、多少性能面、経済面での犠牲を払ったとしても、安全性を確保した上で、壊れにくく直しやすい、維持管理及び廃船処理が容易な船舶を目指すことに価値を見出すという考え方も一つの方向性として十分に考えられる。具体的な例としては、例えば適切な修繕施設が近隣にないこと、スペアパーツや修繕に必要な部品が入手しにくい環境にあること等の理由から、優良な船舶が十分な維持管理ができないまま酷使せざるを得ない状況にあったり、本来の活動期間よりも短い期間しかフルに使用できないという事例が見られる。また、立地上の問題から、船舶を現地に輸送することが困難であり、現地での組み立てや解体を考慮しなければならないこともある。このような地域は日本には少ないが、アジア、アフリカ、南アメリカ等の開発途上国、極東ロシア、シベリア等の地域においては往々にして見られる事情である。本事業では、「安全で、壊れにくく、直しやすく、使いやすく、環境にも配慮した船」というイメージのもと、このような建造、維持管理、解体等が容易な船舶(シンプルシップ)の概念設計を平成17年度に実施した。平成18 年度調査では、概念設計を基に標準的な船型を具体的に設計し、船舶が今後向かうべき新たな方向として提案するとともに、国内外への普及を促進することを目的とする。-1-2.調査の基本方針本調査は、建造、維持管理、解体等が容易な船舶(シンプルシップ)について、平成17年度に実施した概念設計の結果に基づき、現地調査対象地域とも意見交換をしつつ、特に普及の可能性の高い船種について、スタンダードタイプ(標準船)の仕様を固め、試設計を実施し、他の地域への対応については、当該地域の事情に配慮して機器や一部仕様を変更する等のバリエーションを作成し、汎用性のあるものにすることを基本とする。さらに、標準的な船型を具体的に設計することを通じて、船舶が今後向かうべき新たな方向として提案するとともに、このような「シンプルシップ」の国内外への普及を促進し、もって、海運・水運の発展に資することを調査の基本方針とする。平成17 年度調査において現地調査対象地域の現状とニーズを検討の上、シンプルシップ設計における共通概念を次のとおり具体化し、さらに、安全性を確保した上で、船体構造、推進システム等をできるだけシンプルな設計とし、対象船舶として「河川横断用フェリーボート」及び「河川航行用自航式貨物バージ」の2 種類について概念設計を実施した。 自航船とするが、推進装置は極力簡便な構造とする 荷役は陸上施設又は人力で行うものとする 専門造修施設のない場所での建造(組立て)を可能とし、修理も容易なものとする 稼動地域を移動(陸上移動)可能とする 解体を容易に行えることとする 解体後の船体及び機器等はできる限り再利用可能とする 高度な維持管理技術を必要としない 低環境負荷であるしかし、概念設計において「河川横断用フェリーボート」、「河川航行用自航式貨物バージ」ともに検討課題とされた、簡便で効率的かつ安価な「最適な推進システムの選択」と、ブロック結合システムを含む「船体の強度確保」について、更に検討を加え、推進効率、船体強度、運航費用等の面で、より実現性の高い案について試設計を展開することとする。さらに、他地域への展開の可能性を調査しつつ、バリエーションを作成することを基本方針とする。また、本調査期間中、シンプルシップの概念及び思想の普及を図るために、普及の核となる地域(南部アフリカ地区を想定)において普及のための説明会を開催する。併せて普及のための課題を調査することを基本方針とする。-2-3.調査の方法本調査のフェーズは、①概念設計のレビュー(文献調査)、②試設計の実施、③現地説明会及び普及課題調査、に分かれる。調査方法のフローを以下に示す。図3-1:調査業務実施のフロー概念設計のレビュー(文献調査)シンプルシップ試設計シンプルシップ現地説明会設計方針及び設計条件設計方針の決定設計条件の特定英文資料作成概念設計のレビュー1)河川横断用フェリーボート2)河川航行用自航式貨物バージ試設計要求性能確認適用関連規則・法規構造設計強度・堪航性計算推進装置設計艤装設計維持管理、環境配慮計画1)ザンビア説明会2)マラウィ説明会各種調査報告書等レビューバリエーション展開その他南部アフリカ地域補足調査対象地域情報入手 概算事業費普及課題まとめ現地説明会計画 維持管理計画模型製作概念設計のレビューは、平成17 年度に実施した概念設計2 船型について、さらに試設計を展開するために必要な技術情報を中心に入手し、今後の検討課題とされた、推進システム、ブロック接続方法、船体強度について更に技術レビューを実施した。本レビューを基に、委員会において設計の実施方針を確認後、設計条件を特定し、優先船型-3-として24m型河川横断フェリーボートを選択し、試設計を展開し、技術的にシンプルシップが成立しうる事を確認した。本優先船型の試設計を基に、バリエーションとして、推進システム2種、船体形状2種について検討し、概算事業費、維持管理費を積算した。また同時に50分の1の模型船を制作して、シンプルシップの普及目的に活用することとした。これらの試設計を元に、シンプルシップのコンセプト、技術資料等を作成し、南部アフリカの、ザンビア、マラウイ国を対象として現地説明会を計画、実施し、同時に補足調査を行って今後のシンプルシップ普及策についてとりまとめを行った。これらの調査、試設計等の結果を次に示す。-4-4.概念設計のレビュー4.1 概念設計の概要平成18 年度の調査では、平成17 年度に実施したシンプルシップの概念設計を基に、標準的な船型を具体的に設計し、船舶が今後向かうべき新たな方向として提案するとともに、国内外への普及を促進することを目的としている。平成17年度に実施したシンプルシップの概念設計は、次の2通りである。4.1.1(タイプ1 船舶)河川横断用フェリーボートタイプ1、「河川横断用フェリーボート」は専ら、ザンビアの河川横断及び類似した環境で用いられることを念頭に設計条件を決定した。4.1.1.1 船体部計画(1) 船体計画河川横断用フェリーボートでは船体寸法を大型トラックの全長12m未満とし、最大で2台搭載可能な最小限の全長として24mとした。車両搭載スペースの幅は4mとし、両舷各1m(計2m)の間を乗客用スペースとした。(図4-1参照)載貨能力の検討は、軽荷重量を約70トン、載貨重量を70 トンとして検討した。図4-1:河川横断用フェリーボート船体部主要寸法(平面)(2) ブロックの連結方法ブロックは現地での組立て、分解が容易になり、かつ十分な曲げ強度を持たせるため、ボルト締め、ピン等による連結を検討し、縦強度を横方向の連結で保持しやすい、千鳥配置を基本として船体を並べた。ブロックの連結方法にはボルト及びピン結合による連結を検討したが、船体強度の24m4m 6m-5-検証と合わせて、最適な結合方法の更なる検討を要した。図4-2:ブロック接合部のボルト結合例(3) ランプ部ランプ形状は長さL×幅Bを4m×4mとし、大型車両のランプからの脱輪を防ぎ、なおかつ乗客の安全な乗降を確保するため幅を十分に取った。ランプの上下操作はチェーンブロック又は巻き取りリール等を利用し人力で行うことを基本とした。4.1.1.2 機関部計画求められる推進装置は、できるだけ浅く、推力があり、修理が容易であることが望まれ、諸条件を考慮し、次表のとおり各種推進装置の適応性を推進効率、操作性、保守の容易性、コスト等から検討比較した。表4-1:推進装置の種類案 推進器の種類第1案 標準的プロペラ方式第2案 トンネル式プロペラ方式第3案 シャフト上下式第4案 スタ−ンドライブ第5案 船外機第6案 大型舷外機式推進装置(ショッテル、ハイドロマスター、アクアマスター、等)第7案 ウオータージェット第8案 フォイトシュナイダー第9案 外輪船検討の結果、第6案の大型舷外機式推進装置(ハイドロマスター等)の両舷への搭載を前提とした。また、プロペラの没水率と河底への着底をなるべく防ぐため、船体中央部に配置することとした。4.1.1.3 電気部計画河川横断用フェリーボートの電気部は基本的にエンジンの始動用バッテリーDC24V を用いるのみとする。無線、通信装置は河川横断距離が200~300mを前提しているため、装-6-備しない。概略仕様書1) 主要寸法等全長(含むランプ) 約 32.4 m全長(船体) Loa 約 24.0 m垂線間長 Lpp 約 24.0 m全 幅 Bmax 約 6.0 m型深さ Dmld 約 1.6 m計画満載型喫水 dmld 約 1.0 m2) 満載排水量及び総トン数等載荷重量 DW 約 71 Ton計画満載排水量 Δfull 約 136 Ton総トン数(国際) 40 Gross Ton3) 主機関主機関 マリンディーゼルエンジン × 2基連続最大出力/回転数 105/2500 SHP/rpm5) 速力等最大速力(満載) 約 6 ノット巡航速力(満載・定格出力) 約 2~3 ノット6) 最大搭載人員乗組員 4 名旅 客 100 名合 計 104 名4.1.2 (タイプ2 船舶)河川航行用自航式貨物バージタイプ2、「河川航行用自航式貨物バージ」はマラウィ政府の「シレ・ザンベジ水路輸送計画」に基づき検討をした。運航条件は、無給油でンサンジェ~ベイラ間を航行可能とすることを前提に、船速を8ノットと仮定。貨物は雑貨180トンを積載、船体に荷役装置は設けず船首部ランプを利用して荷役することとした。-7-4.1.2.1 船体部計画(1) 船体計画河川航行用自航式貨物バージでは、シレ河、ザンベジ河の航行用の浅喫水が求められ、喫水は1.4m程度に抑え、船体寸法はRO/RO による大型トラックの積載を考慮して全長12mのトラックが2台以上搭載可能とし、車輌搭載デッキの長さを18mとした。船首部の両舷ブロックは絞り、船体抵抗減少を狙った。居住区及び操舵室を設ける。(図4-3参照)載貨能力は、軽荷重量を約173トン、載貨重量は燃料を約26トン、貨物を180 トンとして計算し、平水時の安全を検討した。図4-3:河川航行用自航式貨物バージ船体部主要寸法(平面)(2) ブロックの連結方法ブロックの接続方法は河川横断用フェリーボートと基本的に同じとするが、河川航行用自航式貨物バージの場合は波浪、うねりによる縦強度を十分に考慮する必要があるほか、荷物の積載バランスによるモーメントの検討が必要である。(3) ランプ部ランプ形状はL×Bを4m×4mとし幅を十分に取った。また、中折れ方式を採用し前方視界の確保と波除けに配慮する。ランプの上下操作はチェーンブロック等の人力で行うことを基本とする。(4) 安全設備上甲板両舷には堅牢なブルワークを装備し、荷物、車両の落下を防止する。救命装置は固定型筏1艇及び救命環2個を装備する。消火設備は粉末又は泡消火器を機関周辺に適当数配備する。30m10 m-8-4.1.2.2 機関部計画河川航行用自航式貨物バージは幅広浅喫水船型により抵抗が大きく、船速を7.5ノット時の必要馬力は2700馬力となり、675馬力の機関を4基装備することとした。推進システムを簡潔にするために主機、舵、推進器が一体となった推進方式で、Z 軸推進方式等の大型舷外機式推進装置で、かつ、プロペラが上下可能な方式を検討した。4.1.2.3 電気部計画河川航行用自航式貨物バージの電気部はバッテリーDC24Vを用いるのみとする。本計画ではランプの昇降は人力で考えているが、電動ウィンチの必要性が生じた場合、エンジンにオルタネーターを装備するなどのバッテリー充電対策を講じる。無線、通信装置は運航距離から判断しVHF無線送受信機を標準として装備する。概略仕様書1) 主要寸法等全長(含むランプ) 約 34.2 m全長(船体) Loa 約 30.0 m垂線間長 Lpp 約 30.0 m全 幅 Bmax 約 10.0 m型深さ Dmld 約 2.0 m計画満載型喫水 dmld 約 1.4 m2) 満載排水量及び総トン数等載荷重量 DW 約 206 Ton計画満載排水量 Δfull 約 380 Ton総トン数(国際) 約 123 Gross Ton3) 主機関主機関 マリンディーゼルエンジン × 4基連続最大出力/回転数 675/1800 SHP/rpm5) 速力等最大速力(満載) 約 7.5 ノット巡航速力(満載・定格出力) 約 7.5 ノット最大航続距離(巡航速力・無補給) 約 275 海里6) 最大搭載人員乗組員 4 名-9-7) 容積等燃料タンク 310,000 リッター4.2 検討課題の整理本調査は、建造、維持管理、解体等が容易な船舶(シンプルシップ)について、平成17 年度に実施した概念設計の結果に基づき、現地調査対象地域とも意見交換をしつつ、特に普及の可能性の高い船種について、スタンダードタイプ(標準船)の仕様を固め、試設計を実施し、他の地域への対応については、当該地域の事情に配慮して機器や一部仕様を変更する等のバリエーションを作成し、汎用性のあるものにすることを基本としている。さらに、具体的に設計展開を通じて、「シンプルシップ」の国内外への普及促進を調査の基本方針としている。本基本方針は平成18 年度第1 回(通算第4 回)シンプルシップの設計に関する調査委員会にて、確認され、「安全で、壊れにくく、直しやすく、使いやすく、環境にも配慮した船」というシンプルシップの目的が妥当であり、対象として計画している南部アフリカ地域もODAの観点からも妥当であることが確認された。本委員会での主な指摘事項は次のとおり。• 現地ニーズ及びODA等の動向から、早期に普及活動を実施することが必要である。このためコンセプトを英文化して宣伝する事が必要。• 現地で組み立てる為の船体強度、精度確保を更に検討する必要がある。概念設計において試設計における検討課題とされた、簡便で効率的かつ安価な「最適な推進システムの選択」と、ブロック結合システムを含む「船体の強度確保」について、更に検討を加え、より実現性の高い案について試設計を展開すると共に、上記委員会コメントを反映して、試設計を展開することとした。検討課題の分野は次のとおりである。(1) 推進システム概念設計段階では、推進効率、安全性、維持管理の容易性などから最適なシステムを提案するに至っていない。このため汎用機器の中から更に情報を入手し、浅喫水で推進効率の高いもの、構造がシンプルなもの等を整理すると同時に、簡便な推進システムについて更に調査し、シンプルシップへの適用の可能性を判断する。(2) ブロック接続方法我が国の造船業界は、各種浮体構造の接続について、小型浚渫船の船体に適用するな-10-ど、建造実績とノウハウを有しているため、これらの実績の調査を行う。また、海外における仮設浮体構造の調査を行い、その特徴について検討し、シンプルシップに適用可能な接続方法の整理を行う。(3) 船体強度船体ブロックの接続方法と並行して、船体の曲げ強度に係る評価方法を検討する。特に、ブロック集合体における強度の評価方法について資料等を調査し、試設計段階においてなるべく簡便にチェックができるよう資料を整理する。概念設計を実施した「河川横断用フェリーボート」、「河川航行用自航式貨物バージ」の2タイプについて、上記課題を次のとおり検討した。4.2.1 推進システムの検討概念設計段階では、各種推進システムの中から、コンベンショナルなプロペラによる推進方式を選定している。エンジンは舶用ディーゼル舷外機を用いて、減速ギアを介して推進する手法である。試設計に入るにあたり、現地のニーズを再確認し、推進効率よりも、“維持管理の容易性/壊れにくい構造であること=既存の技術を用いること”に主眼をおき、既存の推進システムの中から、2 種類の推進方式を検討することとした。即ち、①プロペラ推進システム(ハイドロマスター方式)及び②ポンプジェット推進システムである。これらのシステムを選定した根拠、利点と不利な点は次表のとおりであり、更に推進システムとして成立すること、推進効率のチェックのために、必要な馬力の簡便な推定を実施した。表4-2:推進システムの選定基準判断基準 プロペラ推進(ハイドロマスター方式)ポンプジェット推進技 既存技術である ○ ○術 機器取り扱いの簡易性 ○ ○操 操船の容易性 ○ ○船 浅水深での航行性 △ ○(360 度推力回転可)部品数 △ ○特殊部品 ○無し ○無し維持管理故障の予見 △プロペラダメージ △ポンプ異物吸入実 アフリカ等途上国 ○ △績 先進国 ○ ○-11-(1) 船体の抵抗計算及び必要馬力推進システムの成立検証のために、河川横断フェリーについて、推進抵抗を推定し、必要な馬力の簡便な推定を行う。1) 河川横断フェリー抵抗、必要馬力推定a. 本船要目 (箱船)・ 全長Lo a x 全幅B x 深さD = 24m x 6m x1.6m・ 喫水 d:=1.00m・ 載貨時の排水量 Full Load △=136t・ 幅喫水比 B/d: = 6.00・ 全長 Lwl: = 24.00m・ 細長比 L/B: = 4.00・ 方形係数 Cb: = 1.00・ 柱形係数 Cp: = 1.00・ 浸水面積 S: = 204m2b. 抵抗値推定船体抵抗計算は、日本造船技術センター技報の「箱形浮体の抵抗試験」データを用い、各L/B の値を読みとり、各B/d でのL/B=4.00 の値を推定する。本船この推定値をさらにB/d=6.00 で内挿した(次表参照)。しかし、目標の6 ノットはチャートの外挿域となり、Vs=6kn 以上の推定ができないため、抵抗係数:CDで推定した。(CD=1.20 一定として計算)表4-3:有効馬力の計算 (試験データより)有効馬力 EHPの計算 箱型浮体の抵抗試験データより (B/d=6.00 外挿域)船速Vs(knots) 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0全抵抗Rt 756 1415 2357 - - -有効馬力EHP(ps) 15.6 38.8 80.8有効馬力EHP(kW) 11.4 28.6 59.5しかし、目標の6ノットはチャートの外挿域となり、Vs=6kn以上の推定ができないため、抵抗係数:CDで推定した。(CD=1.20一定として計算)表4-4:有効馬力の計算(CD より)有効馬力 EHP の計算 CDより推定船速Vs(knots) 3 4 5 6 7 8抵抗係数CD 1.20 1.20 1.20 1.20 1.20 1.20全抵抗Rt 872.6 1,551.3 2,423.9 3,490.4 4,750.8 6,205.1有効馬力EHP(ps) 18.0 42.6 83.1 143.6 228.1 340.5-12-有効馬力EHP(kW) 13.2 31.3 61.1 105.6 167.8 250.4推力Thrust(kgf)(2軸計) 1,091 1,939 3,030 4,363 5,938 7,7561軸Thrust(kgf) 545 970 1,515 2,181 2,969 3,8781軸Thrust(kN) 5.3 9.5 14.8 21.4 29.1 38.0各馬力推定方式による有効馬力曲線を次に示す。図4-4:有効馬力曲線有効馬力曲線0.050.0100.0150.0200.0250.0300.0350.0400.00.0 5.0 10.0船速(ノット)有効馬力(ps)SRC技術報告による推定CDによる推定プロペラ馬力85%出力前表より、Vs=6knots における 推定EHP=143.6 ps、主機関定格馬力=180ps×2基、85%出力にて速力6ノットが必要となる。全効率 ηall =有効馬力143.6ps/(180ps x 2 基 x 0.85)=0.445 となるが、プロペラ効率が良すぎるので、主機関馬力を見直し255psとすれば推進効率0.331となり妥当と判断できる。c.プロペラ設計連続定格出力 255ps x 2,550rpm/1000rpmとする-13-表4-5:プロペラ設計表(5翼 展開面積比Ae/Ad=0.55)船速Vs 6 7 8プロペラ速度Vp 4.68 5.46 6.24全効率eall 0.285 0.324 0.360有効馬力EHP’ 73 83 922xEHP’ 145 165 184δ 180D採用 0.800P採用 0.379上記検討結果から、85%出力にて、Vs=5.6ノット。4/4出力にて6ノットが推定できるが、満載喫水1.0mに対し、直径0.8mの推進器を装備する上、抵抗計算ではチャート外挿域であり、プロペラの推進効率が極端に悪い。このためジェット推進等の検討が必要となった。d.ポンプジェットの検討プロペラに代わる推進システムとして、ショッテルポンプジェットによる推力を検討する。ポンプジェットの型式をSPJ22、57として入力を変えた場合の推定速力(ノット:Kn)は下表のとおりである。表4-6:ショッテルポンプジェットによる推力特性速力Vs(kn) SPJ22-110kW SPJ22-72kW SPJ57-250kW SPJ57-215kW SPJ57-163kW SPJ57-70kW0 13 9.9 38 34 28 162 12.5 9.2 36 32 26.5 14.24 12 8.4 34 30 24.5 12.16 11.5 7.9 32 28 22.4 108 11 7.2 30 26 20.4 7.8表4-7:シンプルシップ抵抗計算(CD=1.2)速力Vs(kn) 3 4 5 6 7 8船体抵抗(kgf) 872.6 1,551.30 2,423.90 3,490.40 4,750.80 6,205.10船体抵抗(kN) 8.55 15.20 23.75 34.21 46.56 60.81各、ポンプジェット形式、入力毎の推力特性とシンプルシップ抵抗曲線による、船速カーブは下図のとおり。-14-図4-5:ポンプジェット形式と船速曲線上図より、切り合い点(CD=1.2)から、各船速と対応する必要軸馬力は次のとおり。表4-8:船速・必要馬力船速Vs(kn) 3.60 5.00 5.55 5.80必要軸馬力SHP(kW) 140 326 430 500必要軸馬力SHP(ps) 190.3 443.2 584.6 679.8従って、主機関定格出力MCRが255ps x 2,550 rpm の場合、2基で510ps、85%常用出力433.5psで、次のような船速、馬力曲線となる。051015202530354045500 1 2 3 4 5 6 7 8 9VS knThrust kNSPJ22-110kWSPJ22-72kWSPJ57-250kWSPJ57-215kWSPJ57-163kWSPJ57-70kW船体抵抗値(CD=1.2)速力Vs (kn)推力kN-15-図4-6:速力馬力曲線(ポンプジェット)馬力曲線01002003004005006007008003.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5速力(ノット)2軸合計馬力(ps)満載状態(CD=1.2)定格出力常用出力満載状態(CD=0.6)本船速馬力曲線による、各船速の必要馬力は次のとおり。推進効率は20%を下回る。表4-9:船速/馬力/全推進効率船速Vs(kn) 3.0 4.0 5.0 6.0有効馬力EHP(ps) 18.0 42.6 83.1 143.6軸馬力SHP(ps) 105 255 445 780全効率ηall 0.17 0.17 0.19 0.182) 河川航行用自航式貨物バージ抵抗、必要馬力推定a. 本船要目 (箱船)・ 全長Lo a x 全幅B x 深さD = 30m x 10m x 2m・ 喫水 d:= 1.40m・ 載貨時の排水量Full Load △=380t・ 幅喫水比 B/d: = 7.14・ 水線長 Lwl: = 30.00 m・ 最長比 L/B: = 3.00・ 方形係数 Cb: = 1.00-16-・ 柱形係数 Cp: = 1.00浸水面積 S: = 412m2b. 抵抗値推定抵抗値は河川横断フェリーと同様に抵抗係数CDで推定する。表4-10:有効馬力の計算(CDより)CD=1.10一定として計算船速Vs(knots) 5 6 7 8 9 10抵抗係数CD 1.10 1.10 1.10 1.10 1.10 1.10全抵抗Rt 5,184.4 7,465.5 10,161.3 13,272.0 16,797.3 20,737.4有効馬力EHP(ps) 177.8 307.2 487.9 728.2 1,036.9 1,422.3有効馬力EHP(kW) 130.8 226.0 358.8 535.6 762.6 1,046.1Thrust(kgf) (4軸合計)(t=0.20) 6,480 9,332 12,702 16,590 20,997 25,9221軸Thrust(kgf) 1,620 2,333 3,175 4,147 5,249 6,4801軸Thrust(kN) 15.9 22.9 31.1 40.6 51.4 63.5CDによる推定馬力、プロペラ馬力を次に示す。図4-7:有効馬力曲線有効馬力曲線0.0200.0400.0600.0800.01,000.01,200.01,400.01,600.00 5 10 15船速(ノット)有効馬力(ps)CDによる推定プロペラ馬力85%出力-17-Vs=6knots における推定有効馬力EHP=728.2 ps、主機関馬力=675ps×4 基、85%出力にて速力7.5 ノットが必要である。この場合の全推進効率は ηall=728.2/(675x4x0.85)=0.317 以上が必要となる。c. プロペラ設計主機関の連続定格出力 683ps x 2,035/827rpm とする。表4-11:プロペラ設計表(6翼、展開面積比Ae/Ad=0.5)船速Vs (kn) 7 8 9 8.8プロペラ速度Vp 5.46 6.24 7.02 6.86全効率ηall 0.290 0.326 0.356 0.351有効馬力EHP’ 198 222 243 2404xEHP’ 792 889 974 958δ 129.2プロペラ直径 D採用 1.000ピッチ P採用 0.671プロペラ直径1.0m、船速8.8ノット、4基合計出力2,732psでシステムは成立する。(2)推進システムの検討シンプルシップに適用する推進方式は、河川横断用フェリーボートの推進装置を対象に検討を実施する。シンプルシップとして河川横断用フェリーボートに求められる推進装置の要件は次のとおりである。1) 技術要件(可航水深1.5m)(ア) プロペラの取り付け深度は、空気吸い込みが起きない範囲で、できるだけ浅くする。• 推進器を含めたバージの喫水を1.2m以内• 軽荷時の喫水0.5mでプロペラの十分な没水率• 満載時の喫水1mでも推進装置を水面下1.2m以内に納める(イ) 船体部は排水量型船舶であり、速力より推力が求められる。• プロペラは低回転、大直径が高効率• 小径、高ピッチ、高回転の推進器は低効率(ウ) 水深が浅いため、プロペラ等の推進器の損傷の度合いが高い。従って船体を上架することなく推進装置の修理ができることが望ましい。(車両搭載、浅喫水及び両頭型(ピストン型往復航)を考えると推進装置の配-18-置は舷側が好ましい)2) 適用性(ア) 運航・維持管理が容易である。(イ) 維持管理コストが低廉である。(ウ) 持続性が確保できる。これらの条件を考慮し、概念設計にて 9案の推進方式を推進効率、操作性、保守の容易性、コスト等から検討したが、総合評価が低い推進方式と推進器取り付け位置が船首尾にあるものは不適格として、以下の2案に絞り、推進方式を検討した。第1案: 大型船外機式推進装置(ハイドロマスター等)第2案: ポンプジェット方式これら推進装置の概要は次のとおり。-19-表4-12:推進装置の形態別特徴、問題点等案 推進器の種類 推進器概略 推進器の種類特徴、問題点第1 案 大型舷外機式推進装置(ショッテル、ハイドロマスター、アクアマスター、等)ショッテルナビゲーターNAV110ショッテルナビゲーションタイプNAV110型で入力195~260Kwプロペラ直径800mm全長4100 x 前幅1800 x 高さ2000甲板にディーゼルエンジンを据え付け、Z型に折れ曲がった推進軸によりプロペラを駆動する。大口径、低ピッチのプロペラで十分なスラストが発生できる。エンジンユニット、燃料タンク、操縦装置全て込みとなっている。プロペラは油圧により上下可能。またチルト可能。操舵も油圧により行う。コストが高い。第2 案 ポンプジェットショッテルSPJ57タイプショッテルポンプジェットSPJ 57型 入力168~257Kw口径φ1300mm ポンプ単体重量1.57トン遠心ポンプの吐出水を回転可能なノズルから噴出させることにより推進力と操舵機能を得る装置で、船底からの突出はない。本案件に理想的な推進装置だが低速ではプロペラに比較し効率が悪く、コストが高い。河川ではごみや砂等の吸い込みの問題が指摘される。-20--21-表4-13:推進方式の検討(24m型河川横断フェリーの場合)案 推進器 配置 推進効率(経済性) 操作性 部品調達容易性堅牢性リスク 保守点検容易性据付解体容易性第1案大型舷外機式推進装置(ショッテル、ハイドロマスター、アクアマスター、等)2基両舷中央船速6.00Kt/必要軸馬力510Ps(推進効率(有効馬力/軸馬力)= 0.331)但し、プロペラ没水率が約50%程度ゆえ検証必要なるも、プロペラ設計により効率改善見込みあり。推進システム:NAV110 適用操舵可能アフリカでのサービス体制ヤンマー:南ア拠点に3代理店ショッテルアフリカ地域に多数代理店有りその他、欧州より対応プロペラ損傷の可能性有プロペラ保護策必要日常点検容易但し、操縦に油圧装置等有り。オーバーホールは陸上デッキ上に据付可能。解体も比較的容易第2案ポンプジェット2基2軸中央船速6.00kt/必要軸馬力7805Ps(推進効率0.18~19)但し、ポンプジェットの推力カーブを船型に合わせて検証の必要有り。ポンプジェット:SPJ57 適用定常旋回が可能アフリカでのサービス体制:第1案に同じショッテルガンビアで河川フェリー実績有突起部無しポンプ異物吸込の可能性有り日常点検容易但し操縦に油圧又は電動装置あり。ポンプは目視できない。オーバーホールは陸上船底取付けが必要。従って、推進ユニットとして独立構成が必要-21-4.2.2 ブロック接続方法の検討(1) 結合方法の検討第1案:通常のボルト密着方式概念設計においては、シンプルシップの精神である、溶接等をなるべく避け、現地にて容易に結合・分解が出来る方法を念頭に、当初、ブロック端面同士を接して結合する案を検討した。この方式は、完全に面接触が維持できれば、船体は剛体の集まりと考える事ができる。この場合、圧縮方向のモーメントは面で受け、前後方向の引張りにも強いなど、船体の強度面の問題はほぼ無く、基本的に船体に働く曲げモーメントに対するボルトの引張耐力を考慮すれば良い。しかし、その後の検討で、連結部の突出を防ぐ為にブロック構造が複雑になること、多くのボルトを配し、なるべく面接合を均一に保つ必要があること、更に接触面の隙間腐食が懸念されることが挙げられている。このため、連結部は隙間を設け、連結装置をブロック間に設ける構造を基本とする2つの代替案を検討した。図4-8:概念設計で提示されたボルト密着方式複雑なブロック形状作業性隙間腐食の懸念(陰イオンの濃化が促進される)引張りはボルトにかかる圧縮はブロック面で保持第2案:中央ピン配列方式図4-9 に示すとおり、端面の複数箇所をピン結合(ボルト締め)する。船体長手方向は最大-22-応力が掛かるため、ピンは横方向より太くする。横方向も同様にピン接合する。本方式の特徴は、ブロック中央にピン配列をすることにより、各ブロックはピンを支点にフリー動き、曲げモーメントによって船体に働く引張り力は、ピンの剪断力として働くため、接合部の強度検討時に基本的にピンの剪断耐力を確保すれば良いことである。一方で各ブロックのフリーな動きを制限するために、圧縮方向に働く力は、緩衝材(硬質ラバー等)で受け、第1 案と同様にブロック自体の剛性で保持する。検討課題は、ピンを嵌め合い結合するとブロックの工作精度が求められ、フランジ位置の取付け制度は悪いと、ピンが入らないことが予想される。従って位置決めピン以外はボルト穴を楕円ルーズホールとするなどの考慮が必要である。また、シンプルシップ組立て時にボルト位置の微調整のための、ジャッキ装置等を必要とし、ブロックの位置決めが重要となる。また、緩衝材の材質の耐用年数も同様に検討課題である。図4-9:中央ピン配列方式第3案:ユニフロート方式現在我が国の建設業界でも広く用いられているユニフロート方式とピン結合を組み合わせたブロック結合方法を検討した。ユニフロート方式は、陸上での組みたてが不要で、浮かせた状態で組み立てが可能な工法であることも大きな利点である。ユニフロート方式は土木工事台船、フェリーボート、桟橋等に実績があり、連結方法の特徴として以下の点があげられる。・ 連結・解放作業は全て浮遊中の甲板上で行うことが出来る。・ 鍵型連結により縦横何れの方向にも連結が可能。緩衝材-23-24図4-10:ユニフロート概略鍵型連結部(長手、横手両方向の接続に可能)上部ピン結合はピン(ボルト)接合とし、下部のフックをかみ合わせた後、横移動させ、夫々、雄、雌のホゾ付きアイプレートにより正確にボルト穴の位置決めの後、結合する。-24-図4-11:ポンツーン断面図雌型ホゾ付きアイプレート雄型ホゾ付きアイプレートA~A 断面図A A(2) ピン結合強度の基本的考えシンプルシップのブロック連結方式は、河川横断フェリー、河川航行用自航バージ夫々について、載貨状態おいてブロック結合された船体にかかる最大曲げ応力を求め、ブロックの縦面の連結で(船首尾方向)結合部の剪断力に耐えうるピン接合を基本として計算した。ピン結合強度(ボルトに掛かる最大剪断荷重)の検証を船体強度の計算を含め次に示す。-25-4.2.3 船体強度の検討船体強度計算は連結部(ボルトまたはピン)にかかる剪断力を考慮した簡易手法によって検討を行った。(1) 前提条件シンプルシップは、箱型の浮体ユニットを相互にピン等で連結することにより、全体の形状を成す。運航時に波浪荷重が作用する場合、積載時にトレーラーが載り込むときや、船上をトレーラーが移動するときの船体に作用する力を推定する方法を検討した。計算上、シンプルシップのブロックは連結後は剛体と考えて、河川横断フェリー、河川航行用自航バージ夫々について、載貨状態おいてブロック結合された船体にかかる最大応力を求め、最大応力をブロックの縦面の連結で(船首尾方向)連結部にかかる引張荷重及び剪断力として計算した。(2) 応力計算および強度計算ブロックサイズを、6.0m(L)×2.0m(B)×1.6m(D)として、ピン接合(ボルト締め)による連結とし、最大剪断荷重が掛かる場所にボルトがあると考える。計算の結果長手方向で、1/4長さの部分に最大荷重が掛かる。この部分にかかる最大荷重をボルト(ピン)で受けるため、連結方法の第1 案の場合には、ボルトにかかる引張荷重と、剪断力を計算。第2 案の場合は、中央のピンを支点としてブロックがフリーとなるため剪断力のみを計算した。図4-12:計算モデル図第3 案のユニフロート方式はブロック上部をピン接合、下部を鍵型継ぎ手で結合するため、剛体とみなし、計算は第1 案に準拠する。従って、鍵型継ぎ手の断面積はM30 ボルト断面積第2案第1案-26-27(561mm2)と同じとし、引張力及び剪断力がかかるものとした。河川横断フェリーと河川航行用バージの各連結方式毎の強度計算条件は次のとおりである。1) 河川横断フェリーの強度計算条件• 重量曲線:軽荷重量は136トンとして、均一な分布荷重と考える。• 浮力曲線:喫水は136/(24x6) = 0.944m、浮力も均一な分布と考える。• 波浪荷重曲線:波長24m、波高1.2mとする。• トレーラ搭載:長さ12mとして、船体中央部に搭載し、一様分布荷重とする場合と、トレーラの上下船時の偏荷重を考える。考えられる最大の荷重差は、60 トントレーラーが乗下船する場合に、前輪(又は後輪)のみ船体の端に載り、隣接のブロックには荷重が掛かっていない場合の最大剪断荷重である。この場合には剪断荷重をトレーラー重量60トン×50%=30トン+波浪外力による最大応力(剪断力)13.75トン=43.75トンとする。2) 河川航行用自航式バージの強度• 重量曲線:軽荷重量は174トンとして、均一な分布荷重と考える。• 浮力曲線:喫水は174/(30x10) = 0.58m、浮力も均一な分布と考える。• 波浪荷重曲線:波長30m、波高1.5mとする。• DW搭載:長さ15mとして、船体中央部に搭載し、一様分布荷重とする。DW=206ton。河川航行バージはトレーラーによる輸送は考慮せず、バルク貨物を均等に搭載するものと考え、最大剪断荷重は表に示す一様分布荷重による最大剪断荷重とする。船体強度計算の結果を表4-14に、計算表を表4-15、16に示す。-27-表4-14:応力計算および強度計算(連結部)結果河川横断フェリー 河川航行用自航バージ軽荷重量 136トン 174トン載貨状態 トレーラー60 トン、12m 長を船体中央部に搭載、一様分布加重とする。206トン、搭載長さは15mとし、船体中央部に搭載、一様分布加重とする。最大引張荷重 中央から前後6m地点の合計15.97トン+15.68トン=31.65トン中央から前後8m、9m地点の合計41.09トン+40.7トン=81.79トン最大剪断荷重 中央から6m 地点(1)15.97トン*1(2)43.75トン*2中央から8m 地点41.09トン剪断応力 9kgf/mm2 同左連結方法ボルト M30 (鋼SS400、SM400) M30 (鋼SS400、SM400)ボルト総数 計算上8 本。但し、3 ブロック並列のため、3本×3=9 本とする計算上21 本。但し、4 ブロック並列のため、6本×4=24本とするボルト1本にかかる荷重引張荷重38.9kN(3.97トン)剪断荷重32.9kN(3.36トン)JIS降伏荷重=21.66トン引張荷重38.9kN(3.97トン)剪断荷重32.9kN(3.36トン)JIS降伏荷重=21.66トン第1案安全率 21.66/3.97×9/8=6.14 21.66/3.97×24/21=6.24ボルト径 M30 (鋼SS400、SM400) M30 (鋼SS400、SM400)ボルト総数 計算上5本。但し、3 ブロック並列のため、2本×3=6 本とする計算上13 本。但し、4 ブロック並列のため、4本×4=16本とするボルト1本にかかる荷重剪断荷重32.9kN(3.36トン)JIS降伏荷重=21.66トン剪断荷重32.9kN(3.36トン)JIS降伏荷重=21.66トン第2案(1)*1安全率 21.66/3.36×6/5=7.74 21.66/3.36×16/13=7.93ボルト径 M30(鋼SS400、SM400)ボルト総数 計算上14本。但し、3ブロック並列のため、5本×3=15本とするボルト1本にかかる荷重剪断荷重26.93kN(2.75トン)JIS降伏荷重=19.68トン第2案(2)*2安全率 19.68/2.75=7.16ボルト M30 (鋼SS400、SM400) M30 (鋼SS400、SM400)鍵継ぎ手 厚さ40mm以下、SM400断面50mm×60mm厚さ40mm以下、SM400断面50mm×60mmボルト、鍵継手総数ボルト3本×3=9本とする鍵継ぎ手2ヶ×3=6ヶとする計算上3本×4=12本とする鍵継ぎ手2×4=8ヶとするボルト、鍵継手1本にかかる荷重ボルト:引張荷重38.9kN(3.97トン)剪断荷重32.9kN(3.36トン)鍵継手:引張荷重58.7kN(5.99トン)剪断荷重34.0kN(3.47トン)ボルトJIS降伏荷重=21.66 トンボルト引張荷重38.9kN(3.97トン)剪断荷重32.9kN(3.36トン)鍵継手:引張荷重58.7kN(5.99トン)剪断荷重34.0kN(3.47トン)JIS降伏荷重=21.66トン第3案安全率 21.66/3.97×9/8=6.14 21.66/3.97×24/21=6.24*1:貨物が均一分布荷重として搭載された場合の最大剪断荷重*2:トレーラーの上下船時の最大剪断荷重(河川横断フェリーのみ)-28-29表4-15:河川横断フェリー 強度計算 (単位:トン)船長方向(X) -12 -11 -10 -9 -8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5主船体重量曲線 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44トレーラ重量曲線 4.62 4.62 4.62 4.62 4.62 4.62 4.62 4.62 4.62 4.62 4.62 4.62主船体浮力曲線 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44トレーラに対する浮力 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40波浪外力曲線 0.00 3.56 6.88 9.72 11.91 13.28 13.75 13.28 11.91 9.72 6.88 3.56 0.00 -3.56 -6.88 -9.72 -11.91 -13.28重ね合わせ -2.40 1.16 4.48 7.32 9.51 10.88 15.97 15.50 14.12 11.94 9.09 5.77 2.22 -1.34 -4.66 -7.51 -9.69 -11.07船長方向(X) 6 7 8 9 10 11 12主船体重量曲線 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44 5.44トレーラ重量曲線 4.62主船体浮力曲線 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44 -5.44トレーラに対する浮力 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40 -2.40波浪外力曲線 -13.75 -13.28 -11.91 -9.72 -6.88 -3.56 0.00重ね合わせ -11.54 -15.68 -14.31 -12.12 -9.28 -5.96 -2.40トレーラ搭載時-20.00-15.00-10.00-5.000.005.0010.0015.0020.00-15 -10 -5 0 5 10 15船の船長方向(m)荷重(t)主船体重量曲線トレーラ荷重曲線主船体浮力曲線トレーラに対する浮力曲線波浪外力曲線重ね合わせ-29-30表4-16:河川航行用自航式バージの強度計算 (単位:トン)-15 -14 -13 -12 -11 -10 -9 -8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5主船体重量曲線 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61DW重量曲線 12.12 12.12 12.12 12.12 12.12 12.12 12.12 12.12 12.12 12.12 12.12 12.12 12.12 12.12主船体浮力曲線 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61DWに対する浮力 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65波浪外力曲線 0.00 7.45 14.57 21.05 26.61 31.01 34.06 35.61 35.61 34.06 31.01 26.61 21.05 14.56 7.45 0.00 -7.45 -14.56 -21.05 -26.61 -31.01重ね合わせ -6.65 0.80 7.92 14.40 19.97 24.37 27.41 41.09 41.09 39.53 36.48 32.08 26.52 20.04 12.92 5.47 -1.97 -9.09 -15.58 -21.14 -25.546 7 8 9 10 11 12 13 14 15主船体重量曲線 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61 5.61DW重量曲線 12.12 12.12 12.12主船体浮力曲線 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61 -5.61DWに対する浮力 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65 -6.65波浪外力曲線 -34.06 -35.61 -35.61 -34.06 -31.01 -26.61 -21.05 -14.57 -7.45 0.00重ね合わせ -28.58 -30.14 -30.14 -40.70 -37.66 -33.26 -27.69 -21.21 -14.09 -6.65トレーラ搭載時-50.00-40.00-30.00-20.00-10.000.0010.0020.0030.0040.0050.00-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20主船体重量曲線トレーラ荷重曲線主船体浮力曲線波浪外力曲線重ね合わせトレーラに対する浮力-30-4.3 シンプルシップ活用対象地域の拡大・見直し平成17 年度調査ではシンプルシップのニーズが特に高いと考えられる地域として、アジア、アフリカ、南アメリカ等の開発途上国、極東ロシア、シベリア等を挙げ、現地調査で南部アフリカのザンビア共和国及びマラウィ共和国を調査した。現地調査の結果、アフリカ内陸部においても河川・湖水において船舶は重要な交通インフラとして活用されており、河川横断フェリー、湖水フェリー、貨客船、貨物船、河川航行貨物船等多種多様に渡るニーズがあることが確認された。特に、ザンビア国における河川フェリーの重要性は大きく、またシンプルシップの概念に共通し、適用の可能性も十分あると判断された。従って、平成18年度調査では、ザンビア国の河川横断フェリーを中心とした、シンプルシップの活用の可能性を更に調査し、「シンプルシップ」の普及のために、運航対象地域をザンビア、マラウイが位置する南部アフリカ地域、特にSADC(南部アフリカ開発共同体(South Africa Development Community))を中心とする地域とし、同地域の経済と交通状況を調査し、普及策を検討した。南部アフリカ地域の交通網を表す言葉に「回廊(Corridor)」があるが、「回廊」とは、この地域では、一般に海への出口を示している。同地域は、貴重な鉱物資源を有する内陸国を6 ヵ国も抱えていたため、国境を越えて「回廊」を整備する必要性に迫られていた。1980年代に東西方向への「回廊」の整備が進み、更に1990年代に入り、南アの民主化に伴い、域内の経済関係が緊密になり、物流に変化が生じた。その結果、更に交通網整備を戦略的に進める必要性が生じた。この主な回廊に沿って、ミッシングリンク、即ち寸断された回廊、交通網が多く存在しており、その多くは河川、湖水によるものである。従って、これらの回廊における、シンプルシップのニーズは高いと考えられる。表4-17:南部アフリカ地域における主要回廊南部アフリカの主な回廊①南部回廊(南ア-ボツワナ/ジンバブエ-ザンビア-コンゴに抜ける北上物流幹線)②マプト回廊(南ア-モザンビーク)③ウオルビスベイ回廊(ボツワナ~カラハリ/カプリビ~ウオルビスベイ)④ベイラ回廊(ジンバブエ-モザンビーク)⑤ナカラ回廊(マラウイ/タンザニア-モザンビーク)⑥タザーラ回廊(タンザニア-ザンビア)⑦ロビト回廊(ロビト-コンゴ/ザンビア)-31-32図4-13:南部アフリカにおける主要な回廊図これらの回廊に沿って、主要幹線道路でのシンプルシップの活用拡大が見込まれるほか、同地域では、マラウイ湖、タンガニーカ湖、ヴィクトリア湖等の広大な内水湖があり、湖水の交通船としての需要も見込まれる。又、河川を活用した河川航行計画についても、マラウイ国の「シレ・ザンベジ河開発計画」に代表されるように、河川を利用した貨物、旅客輸送需要もシンプルシップ活用の潜在的な稼動箇所として期待できる。シンプルシップ稼動の端緒としてザンビア国内でも数多くのフェリーニーズがある。次図はザンビア国内のフェリーポイントを示したものであり、ザンビア国内でも16箇所の主要フェリー運航地点があると考えられ、更に新規運航需要も見込まれる。-32-33図4-14:ザンビアのフェリー運航箇所一覧-33-34表4-18:ザンビアにおけるフェリー運航箇所フェリー運航箇所 地域1 Kalungwishi Pontoon Northern/Laupula2 Safwa Pontoon Nothern3 Mbesuma Pontoon Northern4 Mpanta Pontoon Northern5 Kasenga Pontoon Laupula6 Ndoba Pontoon Luapula7 Katansha Pontoon Luapula8 Kapalala Pontoon Luapula9 Chipembe Pontoon Eastern/Northern10 Kakumbi Pontoon Eastern/Northern11 Lunga Pontoon North Western12 Watopa Pontoon North Western13 Kalongola Pontoon Western14 Kazungula Pontoon Southern15 Lubunga Pontoon Central/North West16 Lunsemfwa Pontoon Central-34-354.4 現地説明会計画立案現地説明会(セミナー実施)の対象国として、ザンビア国及びマラウィ国を想定し、計画を立案した。しかし、ザンビア国の河川フェリーでも、コンゴ民主共和国、ジンバブエ国等の国境を接して航行している状況があり、また、マラウィ国の河川航行用貨物バージの計画では、ザンベジ河を航行しモザンビークに抜ける航路を想定しているなど、河川及び船舶の利用者が多国間に渡っていることから、ザンビア国及びマラウィ国の近隣諸国を含めた説明会の可能性について調査したが、コンゴ、ジンバブエについては政情不安もあり、情報入手が不可能であった。ナミビアは対象となる河川、内陸水運が無い。更に、モザンビークは河川が多く、潜在ニーズはあると考察されるが、JICAにて河川用の7橋梁建設事業が開始されており、回廊におけるシンプルシップのニーズにも変化がある可能性
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