助成平成16年度海洋及び沿岸域のゴミ問題に関する調査研究報 告 書平成17年3月シップ・アンド・オーシャン財団海洋政策研究所ま え が き四面環海である日本は、海岸線の57%が人が親しみ愛する自然海岸であり、25%が岩場や岩礁、崖等で形作られ美しい景観を呈している。しかしながら、近年の海岸は海洋ゴミの放置、不法投棄、他国や河川からの流入等によりあらゆる種類のゴミが漂着、散乱し、自然景観を損ない、海を訪れた人々に失望感を与え憩いの場を奪っている。そればかりか、海洋生態系や漁業資源等にも大きな影響を与えている。海洋ゴミを無くするということは、世界にとっても放置することができない、今後の海洋環境の向上にとっても重要な問題であるが、その実現には多額の費用を要し、必ずしも恒常的な活動ができないという状況である。全国の海岸線を持つ地域では、自治体、漁協、環境ボランテア、市民等が、環境を向上させ恒常的に海岸の美化活動を継続させようと努力している人々にとって、清掃活動と共に海洋ゴミの処理等、海岸の清掃費用は大きなアキレス腱となっている。財団は、このような海岸ゴミの状況に鑑み、自治体、漁協、環境ボランテア、市民等、地域の人々が相互に協力しあい、海岸の美化活動を恒常的に続けるための活動システムや海洋ゴミの処理技術について調査研究を進めてきたが、平成14年度は、地域にマッチングした「実践的循環型社会活動システム」を立案し、平成15年度には全国各所で「地域の海洋環境貢献活動(健康な海づくり)プロジェクト」を実践し、平成16年度は、プロジェクトの広がりという観点から既活動地域の周辺地域を対象とした活動を進め、地域主導で継続的な活動の実施を図ると共に、本年2月25日には、本プロジェクトに直接携わってきた地域の方々が集まり、お互いの情報交換やネットワークによりゴミ問題の社会活動システムの構築を目的に、「ゴミ問題に取り組む地域社会」―循環型の継続的活動を目指して―と題して、交流会議を開催した。また、ビニール・プラスチック等が混在する海草・藻等の自然系海洋ゴミの処理システムについて調査を行った。本報告書は、その成果をとりまとめたものであり、これが全国各地域において一つの実践的なアクションプログラムとして、広域的に展開できる一助となればと期待するものであるなお、本調査研究は、競艇の交付金による日本財団の助成金を受けて実施されたものである。平成17年3月(財)シップ・アンド・オーシャン財団会 長 秋 山 昌 廣平成16年度「海洋及び沿岸域のゴミ問題に関する調査研究」研究担当者 寺 島 紘 士 SOF 海洋政策研究所 所 長菅 原 一 美 SOF 海洋政策研究所 研究員平成16年度「海洋及び沿岸域のゴミ問題に関する調査研究」事業について【地域の海洋環境貢献活動プロジェクト(「健康な海づくり」プロジェクト)】はじめにSOF海洋政策研究所では、日本財団の助成により平成14年度から「海洋及び沿岸域のゴミ問題に関する調査研究」事業として海のゴミ問題解決のためのプロジェクトを開始した。このプロジェクトは、海浜のゴミ対策に苦労している地域の方々と協力して、海浜清掃活動に環境チケット(地域通貨の一種)を取り入れ、地域経済の活性化も視野に入れた実践を伴う循環型プロジェクトである。また、海洋環境教育プログラムを通じて、人々(特に子供たち)の海洋のゴミ問題への関心を促し、健康できれいな海を取り戻すことを目的として、SOF海洋政策研究所が提案し、実践している。1.海洋ゴミ問題についての基本認識と取り組みについて海洋をめぐる環境問題解決のためには、各コミュニティでの地道で実践的な取り組み無しには問題の解決ができないと考える。その際、最も大事なことは、その取り組みが地域で循環し継続的に推進されることである。そのためには、個々の地域社会を構成する当事者(行政、企業、NPO、地域住民など)が連携して地域に密着した活動を行うことが必要である。この様な社会活動システム作りがまず必要となるが、SOF海洋政策研究所では、その様な地域社会における社会活動システムモデルを開発し、それを地域のニーズに合わせて具体的に実践するプロジェクトを展開しています。2.モデルの特色1)海洋環境貢献活動(海浜清掃活動)と環境チケット(地域通貨の一種)の組み合わせ2)環境チケットの適用例として、子供たちへの「海洋環境教育」に工夫を凝らしたプログラム、すなわち①海の工作教室 と②海の生物工作教室を実施している。本「モデル」は、海浜清掃活動や実践を伴う海洋環境教育プログラムを通じて、海洋のゴミ問題への関心を促すことを目的として、SOF海洋政策研究所が提案している。3.プロジェクトの内容1)海洋環境貢献活動海岸で清掃を行いゴミの種類や量、ゴミはどこから来るのか等を教えると共に、海の工作教室の材料として海浜で貝殻や木片等を集める。環境貢献活動として、海に限らず河川や道路、公園、商店街等での環境保全活動を取り入れている地域もある。2)環境チケット地域の環境貢献活動事務局が発行する環境チケットを、海浜清掃の参加者に配布し、環境チケットで海の工作教室や海の生物工作教室に参加する資格を与える仕組みである。(環境教育と環境チケットを結びつける仕組みは全国でも珍しい試みである。)これまで活動を実施した地域では、地域のイベントで使える1日限り有効のチケットや、商店、公共施設、レジャー施設等で割引が得られ、また、活動の貢献度に応じて金融機関の金利の上乗せサービスや表彰制度を取り入れている地域もある。3)2つの工作教室工作教室には、海浜の貝殻、木片等の漂流物と砂、小石、植物種子・葉等を用いて木台に絵を書いたり工作を行う「海の工作教室」と、海水魚(ヒラメ)の稚魚をペットボトルで育てるミニ水族館を作る「海の生物工作教室」がある。ミニ水族館は、水道水と塩で作った海水と水浄化機能を有する石を2リットルのPETボトルに入れ、海水魚(ヒラメ等)を育てるもので、餌は人工配合飼料を与えている。このミニ水族館は、特別な装置や手入れ等は不要で、上手に飼うと数ヶ月は水を換えずに飼うことができる。SOF海洋政策研究所では、本プロジェクトを通じて海洋環境保護に対する市民やボランテア組織、地元商工業者、自治体等の積極的な参加を促し、海洋環境に対する地域社会による自発的で持続可能な取り組みを日本全国に広めたいと考えている。日本各地で地域社会が官民一体となった海洋環境問題の解決のための活動を継続的に行い、それを発展させることにより、日本の美しい海岸を取り戻すことを期待する。目 次まえがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「地域の海洋環境貢献活動プロジェクト」(健康な海づくり)プロジェクトについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.事業の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.事業の計画の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.海岸清掃等に係わる社会活動システムの構築について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.1 地域の海洋環境貢献活動プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.1.1 地域の海洋環境貢献活動プロジェクトの概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1)海洋ゴミ問題についての基本認識とプロジェクトの概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2)活動プロジェクトのコンセプト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3)活動プロジェクトの特色・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4)活動プロジェクト実施の効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5)活動プロジェクトの内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・①海洋環境貢献活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・②環境チケット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・③工作教室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.1.2 地域の海洋環境貢献活動プロジェクトの実施について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 ) 活動プロジェクトの実施要領・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2)環境チケットの活用例について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3)活動拠点の選定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4)活動プロジェクトの実施例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.1.3 海洋環境貢献活動プロジェクトの今後・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.2 「ゴミ問題に取り組む地域社会」―循環型の継続的活動を目指して―交流会議・・・・・・・・・4 . 2 . 1会議の開催日時、場所等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 . 2.2 趣旨・目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.2.3 開会 寺島紘士SOF海洋政策研究所所長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.2.4 挨拶 曽野綾子日本財団会長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.2.5 講演・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1)海洋ゴミと海守の活動 山田吉彦 日本財団海洋グループ長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2)海洋環境と環境チケット 森野栄一 ゲゼル研究会代表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 . 2 . 6 地域の海洋環境貢献活動の事例発表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1)こども地域通貨「タラ」の活動について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・梅田敏文 北海道稚内市教育委員会こども課係長2)酒田港女みなと会議の活動から・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小山惠子 山形県酒田市 酒田港女みなと会議事務局長3)気仙沼市環境貢献活動:エコポイント活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・佐々木正和 宮城県気仙沼市 気仙沼商工会議所 中小企業相談所 所長4)新島の海洋環境貢献活動について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・前田宗佑 東京都新島村産業観光課課長5)多屋区530 運動、まるっとヘルシー多屋海岸の活動について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鯉江正雄 愛知県常滑市観光協会、(有)マリナーズ代表6 ) 日間賀島「海の日イベント」について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・杉浦明巳 愛知県半田市 レッツチタ代表7)加世田市、枕崎市の海洋環境貢献活動について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・菊野憲一郎 鹿児島県加世田市 アトリエ熊、タノカンの家代表8)「来れば来るほど美しくなる宮古島の海辺」海浜清掃ECO バカンスの可能性について・・・・・・・・猪澤也寸志 沖縄県平良市〈宮古島〉 エコガイドコンソーシアム代表9)九州・海ネットワーク2005(鹿屋市、宇土市、伊万里市)の活動について・・・・・・・・・・・・・下津公一郎 鹿児島県鹿児島市 NPOさつま代表4.2.7 パネルデスカッション(テーマ:地域活動の広がりへの期待)・・・・・・・・・・・・・・・・・コーディネーター 大塚万紗子(IOI日本事務局長、文部科学省科学技術審議会委員)・パネリスト 森野栄一、鯉江正雄、下津公一郎、小山惠子、猪澤也寸志4.2.8 会議のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5. 海洋ゴミに関する技術的取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.1 海洋ゴミ集積技術について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.1.1 岩礁域回収システムイメージ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.1.2 海洋ゴミ集積技術の今後の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 . 2 海洋ゴミ処理技術について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 . 2 . 1 人工系海洋ゴミの処理技術について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 . 2 . 2 自然系海洋ゴミの処理技術について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 . 3 海岸清掃に関する社会的運用システムについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 . ま と め・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Appendix “健康な海づくり“プロジェクトについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1. はじめに近年、沿岸域、特に人々が最も親しみ利用している海岸には、ゴミの放置、不法投棄、河川からの流入等によりあらゆる種類のゴミが漂着・散乱し、自然の景観や訪れた人々のやすらぎを奪い、景観だけでなく海洋生態系、漁業資源等にも大きな影響を与えている。このため、毎年全国各地で地方自治体、漁協、環境ボランティア等が、ゴミ清掃活動をしているが、恒常的な清掃システムでないため問題化しているのが現状である。本事業は、海岸、海浜に、漂着、散乱している海洋ゴミ問題に対して、国や民間を越えた社会活動システムの構築という観点から地域主導で取り組む社会システムづくりを目的に始めたものである。2. 事業の概要海洋のゴミ問題を解決するには、社会や個人レベルでの意識改革、陸域と海域が連携した管理体制の一元化、行政、企業、NPO、地域住民の連携等、地域に密着した海岸清掃等に係わる循環型社会活動システムの構築が必要であると考え、平成14年度には海洋ゴミ清掃システムを策定し、主に常滑市で実証活動を行った。平成15年度は、海洋ゴミ清掃活動を継続的に行う循環型社会活動システム「地域の海洋環境貢献活動プロジェクト」として、各地域(稚内、気仙沼、常滑、加世田、宮古島等)において地域のNPO、民間組織等と協働で活動を実施した。今年度は、平成15年度の活動地域に加え、山形県酒田市、愛知県幡豆町、愛知県日間賀島、鹿児島県鹿屋市、熊本県宇土市、佐賀県伊万里市、鹿児島県枕崎市、沖縄県平良市(宮古島)等で活動を実施した。また、本事業で実施してきた「地域の海洋環境貢献活動プロジェクト」に直接携わった地域の方々が一堂に会し、お互いの情報交換やネットワーク化を目指して、平成17年2月25日、日本財団ビルにおいて「ゴミ問題に取り組む地域社会」―循環型の継続的活動を目指して―と題し交流会議を開催した。3.事業計画の内容3.1 海岸清掃等に係わる社会活動システムの構築社会活動システムの地域拡張策として、平成14、15年度に実施した地域(北海道稚内市、愛知県常滑市、宮城県気仙沼市、鹿児島県加世田市、沖縄県平良市(宮古島))に加えて、今年度は、山形県酒田市、東京都新島村、愛知県日間賀島、鹿児島県鹿屋市、宇土市、伊万里市、枕崎市等で、プロジェクトの説明会を開催すると共に、活動を実施した。また、3年間の活動に直接携わってきた各地域の方々が集まり、お互いの情報交換や活動のネットワーク作りと地域におけるゴミ問題社会活動システムの構築を目指し、「ゴミ問題に取り組む地域社会」―循環型の継続的活動を目指して―と題して、交流会議を開催した。3.2 海洋ゴミの集積・処理に関する社会的運用システムの構築平成15年度に実施した国内外の海洋ゴミ集積技術及び海洋ゴミ処理技術調査を基に、自然系海洋ゴミの処理技術について、処理装置を試作し実験を行った。4.海岸清掃等に係わる社会活動システムの構築について4.1 地域の海洋環境貢献活動プロジェクト4.1.1 地域の海洋環境貢献活動プロジェクトの概要本プロジェクトは、海浜のゴミ対策に苦労している地域の方々と協力して、海浜清掃活動に環境チケット(地域通貨の一種)を取り入れ、地域経済の活性化も視野に入れた実践を伴う循環型プロジェクトである。また、海洋環境教育プログラムを通じて、人々(特に子供たち)の海洋のゴミ問題への関心を促し、健康できれいな海を取り戻すことを目的として、SOF 海洋政策研究所が提案し実践している。1)海洋ゴミ問題についての基本認識とプロジェクトの概要海洋をめぐる環境問題解決のためには、国際的な取り組みが必要であることは論を待たないが、各コミュニティでの地道で実践的な取り組み無しには問題の解決ができないと考える。その際、最も大事なことは、その取り組みが「継続的」に推進されることである。そのためには、個別の地域社会を構成する当事者(行政、企業、NPO、地域住民など)が連携して地域に密着した活動を行うことが必要である。この様な継続性を持った社会活動システム作りがまず必要となるが、平成14年度に海浜清掃等の海洋環境貢献活動に地域通貨*の一種の環境チケットを取り入れた「地域の海洋環境貢献活動プロジェクト」(図4.1)構想を策定した。* 地域通貨:環境保全や福祉・教育等、お金に換算しにくい活動・サービス等に関して、地域社会が発行するチケット等を、通常の貨幣に代わり活用する仕組み) 図4.1プロジェクトの概要2)活動プロジェクトのコンセプト地域の海洋環境貢献活動プロジェクトのコンセプトを図4.2に示す。ここで、「海洋環境貢献活動」とは、主として海浜清掃活動であるが、その他、河川・河口の清掃、海浜の植生活動、海面・海底の清掃活動等も地域によっては活動に含まれる。この、海洋環境貢献活動を行う「地域市民」は、海洋環境を守る意識のある人々で誰でも自由に参加できることとし、海洋環境貢献活動を行ったお礼として「環境チケット」が与えられる。「環境チケット」は、地域の環境がきれいになったお礼として商工業・観光業者・自治体等が協力し、地域商店や公共施設、レジャー施設の割引、地域銀行の預金金利の上乗せ等の特典が付加される仕組みである。本プロジェクトでは、初めてプロジェクトを実施する時に環境チケットの使い方を知ってもらうため、海浜清掃参加への特典(メリット)として海の工作教室を開催した。図4.2 地域の海洋環境貢献活動プロジェクトのコンセプト地域市民3)活動プロジェクト特色①フィールド重視・問題解決型モデルである。②官民協働の地域パートナーシップが創出できる。③海浜清掃、海洋環境教室、漂着物・海の植物・生物等を使った海の工作教室を導入した。④海洋環境貢献活動に地域通貨の一種である環境チケットを導入した。4)活動プロジェクト実施の効果①継続的な地域社会活動が可能になる。②海洋環境が改善される。③地域社会の環境意識が向上する。④海洋資源(観光、レジャー、いやし効果等)が創り出される。⑤環境チケットの導入により商店等の集客効果等により地域経済が活性化する。5)活動プロジェクトの内容①海洋環境貢献活動海岸で清掃を行いゴミの種類や量、ゴミはどこから来るのか等を教えると共に、海の工作教室の材料として海浜で貝殻や木片等を集める。環境貢献活動として、海に限らず河川や道路、公園等での清掃、整備等の環境保全活動を取り入れることもできる。写真4.1、写真4.2に海浜清掃活動の状況等を示す。写真4.1 海浜清掃活動の様子 写真4.2 集めた海洋ゴミ(愛知県常滑市多屋海岸) (愛知県常滑市多屋海岸)②環境チケット地域の活動事務局(サポーター、既存又は新設)が発行する環境チケットを、海浜清掃の参加者に配布し、環境チケットで海の工作教室や海の生物工作教室、海洋環境教室等に参加する資格を与える仕組みである。平成14年度から今年度まで、活動プロジェクトを実施した地域では、工作教室の他、地域のイベントでも使える1日限り有効のチケットや、商店、公共施設、レジャー施設等で割引や、地元金融機関の定期預金で優遇金利等の特典が得られるシステムを取り入れている地域もある。図4.2~図4.13に、本活動プロジェクトで使われた環境チケットの例を示す。図4.2 常滑市の環境チケット 図4.3 気仙沼大島の環境チケット図4.4 気仙沼市の環境チケット図4.4 気仙沼市の環境チケット図4.5 鹿児島県加世田市の環境チケット 図4.6 常滑市の環境チケット図4.7 稚内市の環境チケット 図4.8 宮古島平良市の環境チケット図4.9 新島の環境チケット 図4.10 日間賀島の環境チケット図4.10 鹿屋市の環境チケット 図4.11 宇土市の環境チケット図4.12 伊万里市の環境チケット 図4.13 枕崎市の環境チケット③工作教室工作教室には、海浜の貝殻、木片等の漂流物と砂、小石、植物種子・葉等を用いて木台に絵を描いたり工作を行う「海の工作教室」と、海水魚(ヒラメ等)の稚魚をペットボトルで育てるミニ水族館を作る「海の生物工作教室」等が開発されている。海の工作教室は、地域の海浜清掃活動を行ったときに、海洋ゴミを一緒に貝殻やきれいな小石、木片、枝等を集めて工作材料にする様にしている。地域によっては杉や檜等の間伐材を2cm~3cmの厚さに輪切りした木材を工作ベースとして利用している。工作を始める前に、集めた海洋ゴミがどこから発生し、どの様にして海岸に流れ着くか、海洋ゴミの海洋環境に与える影響等について説明を行っている。海の工作材料や工作用の道具等はできるだけ地域で準備することを推奨しているが、初めての場合や、海浜で拾った材料だけでは種類、数量とも少ないので、希望によっては活動事務局が材料(数100種類をストックしている。)を用意している。写真4.3に海の工作教室の様子を、写真4.4に海の工作材料を、写真4.5に海の工作材料(工作ベース)を、写真4.6に海の工作教室作品例を示す。写真4.3 海の工作教室 写真4.4 海の工作材料写真4.5 海の工作材料(工作ベース) 写真4.6 海の工作教室の作品例海の生物工作教室で作るミニ水族館は、水道水と塩で作った海水と浄化する多孔質の石を、2リットルのPET ボトルに入れ、海水魚(ヒラメ等)を育てるもので、餌は人工配合飼料を与えている。このミニ水族館は、海の生物を育てることを通じて、海と生物の関わりや命や水の尊さを教えることを目的に開発したもので、育てるには特別な装置や手入れ等は不要で上手に飼うと数ヶ月は水を換えずに海水魚を飼うことができ、ある程度成長したら海に戻す事を推奨している。海の生物工作教室の様子を写真4.3に、海水魚(ヒラメの稚魚)を入れたPETボトルを写真4.4に示す。写真4.7 ミニ水族館製作の様子 写真4.8 PET ボトルミニ水族館写真4.9 ミニ水族館(ヒラメ稚魚) 写真4.10 ミニ水族館(ヒラメ稚魚)4.1.2 地域の海洋環境貢献活動プロジェクトの実施について1)活動プロジェクトの実施要領①海浜清掃の前に、清掃の要領、注意事項等について説明する。②海浜清掃後に、参加者にゴミ袋と環境チケットを交換する。③受付で環境チケットと海の工作セットと交換し、海の工作教室に参加できる。④海の工作セットを使った工作教室では、地域の航空写真や衛星画像のパネルを使って、山から川、そして海との関係を説明し、川に捨てたゴミが海に流れ、海岸に漂着することを現場で説明して、子供たちにゴミを捨てないことの大切さを教える。⑤海の工作教室で製作した作品と海の工作セットは各自持ち帰る。海の工作セットは、自分で海、山、川等から自然物を集め、工作を行う。2)環境チケットの活用例について図4.9に気仙沼市の環境チケットの運用システムを、図4.10に加世田市の環境チケットの運用システムを示す。気仙沼市では、商工会議所が環境チケットの運用主体となって海域、陸域を合わせた環境貢献活動を推進し、町の商店等で商品の割引や地方銀行の預金金利の上乗せ等の優遇等の特典も行っている。加世田市では、同市で定期的に開催している砂像を展示する砂の祭典イベントの出店で、環境チケットにより商品の割引が得られるシステムとなっている。③環境チケットで海の工作セットと交換④海の工作教室を開催①海浜で清掃活動を実施②清掃活動後ゴミ袋と環境チケットを交換⑤作品と海の工作セットを持ち帰る。3)活動拠点の選定図4.9 気仙沼市の環境チケット運用システム図4.10 加世田市の環境チケット運用システムポイントカード(環境チケット)平成14年度にプロジェクトの全体構成の策定を行い、愛知県常滑市多屋海岸においてその実証活動を行った。平成15年度は、海域毎に特徴のある4ケ所(稚内市、気仙沼市、加世田市、平良市(宮古島))の地域を選定し、「海洋環境貢献活動プロジェクト」を実施、今年度は、日本海側の酒田市と離島地域の東京都新島村、愛知県日間賀島、愛知県幡豆町等で活動を実施すると共に、九州地区では、3ケ所(鹿屋市、宇土市、伊万里市)においてプロジェクトの説明会の開催と活動を実施し、その後、枕崎市で活動プロジェクトの普及活動を行った。図4.10に平成14年度から今年度までの3カ年間に実施した活動プロジェクト実施位置を、表4.1に活動拠点の選定条件及び特徴を、表4.2に活動プロジェクト実施場所、主催者、参加人数等を、表4.3に活動プロジェクト説明会開催場所及び参加人数等を示す。活動プロジェクト実施地域図4.11 環境貢献活動プロジェクトを実施した活動拠点稚内市気仙沼市常滑市加世田市宮古島酒田市伊万里市新島村枕崎市鹿屋市宇土市 幡豆町日間賀島表4.1 活動拠点の選定条件及び特徴地 域 地 域 の 特 徴活動の共通項、連携(ネットワーク)、関心度海 域広域市町村地域の特性海岸のゴミの状態地域の役割組織化度合環境チケット適用の関心度海洋環境地域通貨砂丘鳴砂リアス式海岸集積処理技術川→海海外ゴミ観光教育地域経済活性化活動の取組み情況(新聞等報道等広報活動)オホーツク海北海道北海道稚内市・漁業・コンブ(海草)・地域通貨・教育・観光・船舶,ロシア,韓国からのゴミ漂着・海草漂着(コンブ,アマモ等・北海道地域の活動拠点・海草ゴミリサイクル技術の実証・教育委員会,環境,NPO,観光協会,自治体,信用金庫,漁協・子供通貨タラとの協働(環境→地域通貨興味大)○○○○○○○・説明会実施・子供通貨タラと協働・日刊宗谷日本海側山形県酒田市・観光・川と海と港・文化、歴史・日本海のゴミ・波の荒い海・大陸からのゴミ・地域文化、環境を守る活動拠点・日本海側の活動拠点・地域NPO、自治体港湾組織・今後の課題○○○○○○・説明会実施・地元港湾事務所協力東北宮城県気仙沼市(三陸海岸)・漁業 ・川と海・鳴き砂の浜・三陸リアス式海岸・観光・河川からのゴミ漂着(葦,ヨシ,雑草海草等)・リアス式海岸の海洋ゴミ堆積(崖・岩礁等危険地帯)・太平洋側東北地域の活動拠点・海洋ゴミ集積技術の実証・商工会議所,観光協会,自治体,教育委員会,環境NPO・市全体で環境チケット適用(ポイント制度)(海浜,商店街,道路等の 清掃・整備掃)○○○○○○○○○・地元組織の立上(商工会議所中心, 自治体,電力協力)・河北新報、電気新聞、毎日新聞関東東京都新島村・漁業・島嶼のゴミ・観光・海外のゴミ・本州からのゴミ(台風時の河川からの材木等)・島嶼の活動拠点・地域経済振興・自治体主導・教育関係者・今後の課題○○○○○○○・地元組織の立上(自治体の主導、協力)愛知県常滑市・観光・地域通貨・愛知博・中部国際空港・競艇場・河川からのゴミ漂着・観光客のゴミ・海藻漂着・プロジェクトの骨格作り・中部地域の活動拠点・地域通貨組織・海洋教育(ノウハウ蓄積)・指導的地域・環境コンサルタント・地域通貨組織・商工会議所,観光協会,大学,ライフセービング協会、,自治体・海洋環境教室+海の工作教室の創設・LETチタと連携・公共施設への適用・民宿で適用企画中○○△○○○○○・説明会実施・知多半島,島嶼等周辺地域への 広がり・中日新聞、日本経済新聞愛知県幡豆町・観光・イベント(はずストーンカップ)・観光客のゴミ・河川からのゴミ漂着・地域文化、環境を守る・市域経済振興・自治体主導・観光協会、商工会・今後の課題○○○○○・活動の試行・自治体主導太平洋側中部愛知県日間賀島・観光・イベント・民宿・観光客のゴミ・河川からのゴミ漂着・地域の観光振興・島嶼の活性化・既存の地域通貨との連携・子供の環境教育・レッツチタの協力・効果の確認○○○○○○・地元観光協会の主導・臨海教室への適用鹿児島県加世田市・砂丘・砂像の祭典・きれいな砂浜、観光・船舶,中国,韓国からのゴミ漂着・河川からのゴミ・九州地域の活動拠点 ・商工会議所,環境NPO,自治体,大学・砂像イベント等で適用・市商工会展開準備○○○△○○○○○・イベントと協働・南日本新聞・九州海ネットワーク協力鹿児島県鹿屋市・きれいな砂浜・観光・河川からのゴミ ・大隅半島地域の活動拠点 ・自治体主導・商工会議所,環境NPO・今後の課題(試行中)○○○△○○○○○・説明会、活動試行実施・九州海ネットワーク協力鹿児島県枕崎市・きれいな砂浜・観光・船舶,中国,韓国からのゴミ漂着・河川からのゴミ・加世田活動拠点の協力 ・商工会議所,環境NPO,自治体,大学・自治体商工観光課主導○△○○○○・説明会、活動試行実施・九州海ネットワーク協力熊本県宇土市・きれいな砂浜・観光・河川からのゴミ・観光客のゴミ・熊本地域の活動拠点 ・環境NPO,自治体 ・民間マリーナ主導○△△○○○○・説明会、活動試行実施・九州海ネットワーク協力九州佐賀県伊万里市・きれいな砂浜・観光、歴史・河川からのゴミ ・佐賀地域の活動拠点 ・自治体、環境NPO ・公営マリーナ主導○△○○○○・説明会、活動試行実施・九州海ネットワーク協力東シナ海沖縄沖縄県伊良部町、平良市・観光・きれいな砂浜・地域通貨・船舶,中国,韓国からのゴミ漂着・観光客のゴミ・海藻漂着・沖縄・南西諸島の活動拠点 ・環境NPO,観光協会,商工会議所,自治体・エコツーリズムへの適 用 (観光振興,島嶼商 店,企業,漁協間の連携)○○○△◎○○○・説明会実施・宮古新報,宮古毎日新聞・宮古テレビ表4.2-1 活動プロジェクトの実施場所、実施日、参加人数等(2002 年7月~2004 年2月)活動のタイトル実施日参加人数(名)主 催 者1.多屋区530運動(愛知県常滑市多屋海岸)2002 年7 月7 日160常滑市多屋区2.海辺の漂流教室(愛知県常滑市多屋海岸)2002 年7 月14日120常滑市青年会議所3.SKI(ショーコスギ塾)(愛知県常滑市多屋海岸)2002 年7 月20 日60SKI/ショーコスギ塾4.まるっとヘルシー多屋海岸(愛知県常滑市多屋海岸)2002 年7 月21 日500常滑市多屋観光協会5.海とふれあうフェステバル(愛知県常滑市多屋海岸)2002 年7 月21 日200常滑競艇場6.こどもエコクラブ「はまっこクラブ」(愛知県常滑市多屋海岸)2002 年7 月29 日15 はまっこクラブ7.常滑ガールスカウト愛知県第16団(愛知県常滑市多屋海岸)2002 年9 月1 日60 常滑ガールスカウト8.名古屋歯科医療専門学校(愛知県常滑市多屋海岸)2002 年9 月3 日65 名古屋歯科医療専門学校9.親子で挑戦 ネイチャークラブ(愛知県常滑市多屋海岸)2002 年10 月21 日113 常滑市生涯学習課10.小田浜の環境を守り自然に親しむ会(宮城県気仙沼市)2002 年10 月26 日50 十八鳴浜の環境を守り自然に親しむ集い実行委員会11.青く豊かで、美しい海辺をめざして(常滑市多屋海岸)2002 年12 月1 日25 愛知県農林水産部12.吹上浜美化活動と体験学習(鹿児島県加世田市)2003年5 月3~5 日230 吹上浜砂の祭典実行委員会13.多屋区530運動(愛知県常滑市多屋海岸)2003 年7 月6 日160 常滑市多屋区14.まるっとヘルシー多屋海岸(愛知県常滑市多屋海岸)2003 年7月20 日400 常滑市多屋観光協会15.稚内市・太田市フレンドシップ2003(北海道稚内市)2003 年8 月23日200 稚内市16.宮古島エコバカンス2004(沖縄県伊良部町)2004 年2月28日80 宮古エコガイド教育コンソーシアム小計2,438 名表4.2-2 活動プロジェクトの実施場所、実施日、参加人数等(2004年6 月~2005年2月)活動のタイトル実施日参加人数(名)主 催 者17.宮古島エコバカンス2004(沖縄県伊良部町)2004 年6月12日120宮古エコガイド教育コンソーシアム18.発見!酒田みなとの探検隊(山形県酒田市)2004 年7 月11日78酒田港女みなと会議19.はずストーンカップチャレンジレース(愛知県幡豆町)2004 年8 月8日300幡豆町観光協会、商工会20.まるっとヘルシー多屋海岸(愛知県常滑市多屋海岸)2004 年7 月18 日200常滑市多屋観光協会21.日間賀島海の日イベント(愛知県日間賀島東浜サンライズビーチ)2004 年7 月18 日200日間賀島観光協会22.新島の海洋環境貢献活動(東京都新島前浜海岸)2004 年11 月20 日129 新島村産業観光課23.鹿屋市の海洋環境貢献活動(鹿児島県鹿屋市浜田海岸)2005 年1 月22 日15 九州・海ネットワーク実行委員会24.宇土市の海洋環境貢献活動(熊本県宇土市赤瀬海岸)2005 年1 月23 日30 九州・海ネットワーク実行委員会25.伊万里市の海洋環境貢献活動(佐賀県伊万里市伊万里マリーナ脇)2005 年1 月29 日15 九州・海ネットワーク実行委員会26.枕崎市の海洋環境貢献活動(鹿児島県枕崎市恵比寿海岸)2005 年1 月29 日50 九州・海ネットワーク実行委員会小計1,137 名2003年7 月~2005年1月までの活動参加人数 合計3,575名表4.3 活動プロジェクトの説明会開催場所等説明会開催場所実施日参加人数(名)主な参加者1.京都府網野町、宮津市2003 年5月22 日~23 日15琴引浜の鳴り砂を守る会及び天の橋立観光協会2.沖縄県宮古島2003 年6月11 日~13 日30平良市、沖縄県宮古支庁宮古商工会議所、伊良部町漁協3.北海道稚内市2003 年6月17 日~18 日 10稚内市教育委員会他4.韓国、ソウル市2003 年6月26 日~28 日14韓国海洋水産開発院、韓国海洋研究院、韓国海洋少年団他5.韓国、天安市、釜山市(韓国の海洋環境保全活動強化のための2003 年ワークショップ)2003 年11 月13 日~16 日30韓国海洋水産開発院、韓国海洋研究院、海を愛する市民団体、ゴミ問題解決のための市民協議会、韓国海洋救助団他6.東京(主催:BG財団:日本財団ビル)2004 年 2 月 5日60全国44都道府県市町村教育委員会教育長他7.山形県酒田市(山形県沿岸域総合利用推進会議、沿岸域活用研修会)2004 年 3 月15 日30庄内総合支庁、鶴岡市、酒田市、温海町、地域プロジェクト検討会、酒田港湾事務所、山形水産試験場他8.鹿児島県鹿屋市市民会館2005 年1 月22 日 15 九州・海ネットワーク実行委員会鹿屋市、枕崎市9.熊本県宇土市宇土マリーナ2005 年1 月23 日 30 九州・海ネットワーク実行委員会宇土市10.佐賀県伊万里市伊万里マリーナ2005 年1 月29 日 15 九州・海ネットワーク実行委員会伊万里市4)活動プロジェクトの実施例平成14年度~平成16年度に実施した活動プロジェクトの例を写真4.11~写真4.22に示す。図4.11~図4.14に、活動プロジェクト実施後に新聞等の報道に掲載された記事を示す。清掃作業海の工作教室海の工作教室の作品海の工作教室清掃作業 海の工作教室ゴ ミの収集環境チケットと工作材料の交換写真4 . 11ショーコスギ塾実施日:平成14年7月20日(土)場 所:愛知県常滑市多屋海岸海浜清掃作業中収集 した海洋ゴミ海の工作教室海浜清掃終了海の工作教室海の工作教室の作品海の工作教室海の工作教室終了写真4 . 12小田浜の環境を守り自然に親しむ会実施日:平成14年10月26日(土)場 所:宮城県気仙沼大島小田浜写真4 . 13吹上浜美化活動と体験学習実施日:平成15年5月3日~5日場 所:鹿児島県加世田市吹上浜吹上浜清掃会場集積された海洋ゴミゴミと環境チケットを交換海の工作ツール、工作材料の交換海の工作教室開始海の工作教室海の工作教室の作品終了後の記念写真北海道稚内、利尻島海浜清掃中 海岸のゴミ海浜清掃中 海の工作材料海の工作教室の作品海の工作教室海の生物工作教室写真4 . 14稚内市・太田市フレンドシップ2003実施日:平成15年8月23日(土)場 所:北海道稚内市坂の下海岸沖縄宮古島の海海洋ゴミ清掃作業中海浜清掃の看板海浜清掃終了海の工作教室海の生物工作の作品海の工作材料海の工作教室作製中写真4 . 15宮古島エコバカンス2004実施日:平成16年2月28日(土)場 所:沖縄県伊良部島渡口の浜海の工作教室写真4 . 16発見!酒田みなとの探検隊実施日:平成16年7月11日(日)場 所:酒田北港緑地公園北緑地公園の会場( 雨で海浜清掃中止)海の工作教室の説明海の工作教室の材料確保海の工作教室海の生物工作教室海の工作教室の作品活動の了記念写真写真4 . 17日間賀島海の日イベント実施日:平成16年7月18日(日)場 所:日間賀島東浜サンライズビーチ海浜清掃の説明海浜清掃海の工作教室の受付海の工作教室の材料確保海の工作教室海の工作教室海の工作教室の作品海の工作教室の作品海の工作教室の作品写真4 . 18新島の海洋環境貢献活動実施日:平成16年11月20日(土)場 所:新島前浜海岸海浜清掃開始海浜清掃清掃後の海洋ゴミ海の生物工作教室の説明海の工作教室海の工作教室海の生物工作教室写真4 . 19鹿屋市の海洋環境貢献活動実施日:平成17年1月22日( 土)場 所:鹿屋市浜田海岸写真4 . 20宇土市の海洋環境貢献活動実施日:平成17年1月23日( 日)場 所:宇土市赤瀬海岸鹿屋市浜田海岸海の工作教室海浜清掃海の工作教室宇土市赤瀬海岸海浜清掃中海の工作教室海の工作写真4 . 21伊万里市の海洋環境貢献活動実施日:平成17年1月29日( 土)場 所:伊万里市伊万里マリーナ脇写真4 . 22枕崎市の海洋環境貢献活動実施日:平成17年1月29日( 土)場 所:枕崎市恵比寿海岸伊万里マリーナ脇の海岸海の工作教室伊万里 マリーナ脇の海岸海の工作教室枕崎恵比寿海岸海の工作教室恵比寿海岸のゴミ海の工作教室図4.11 宮城県気仙沼市の報道記事図4.12 愛知県常滑市の報道記事図4.13 活動プロジェクトの紹介記事図4.14 鹿児島県加世田市の紹介記事図4.15 宮城県気仙沼市の紹介記事図4.16 全国教育長会議の紹介記事図4.17 北海道稚内市の紹介記事図4.18 沖縄県平良市の紹介記事図4.19 鹿児島県枕崎市の紹介記事4.1.3 海洋環境貢献活動プロジェクトの今後平成14年度に開始した「地域の海洋環境貢献活動プロジェクト」は、今年度まで約3,600名の小中学生・幼稚園生とその父兄を中心に、地域の方々が参加して頂いた。地域の方々が主体となり、計画の立案や実施等、多くの方々の協力で海浜清掃の実施、清掃の参加者への環境チケットの配布、そのチケットで海の工作セットを用いた海の工作教室を開催し、参加者には大変好評であった。今年度は、プロジェクトを実施しようとする地域にある工作材料を集めると共に、他の地域で集めた材料を組み合わせ、工作教室の始めに活動を実施してきた他の地域の環境、歴史等の説明を行った。また、一度活動を実施した地域が周辺地域の活動拠点となり、独自で活動プロジェクトが開催できる様、工作教室の道具一式をパッケージ化して拠点地域に貸し出すことを試みた。海浜清掃と海の工作教室を組み合わせることで、参加者に山と川と海とゴミの関係を分かりやすく説明し、ゴミがどこからくるのか、また日常生活で海を汚さないためにはどうしたらよいかを考える場を、子供達を中心に実践活動を通じて提供してきた。海の工作教室を活用した海浜清掃プログラムは、一般の人に海に興味を持たせ、地域に海洋環境への貢献活動を広めるための有効なプログラムであった。本活動プロジェクトで取り入れた環境チケットは、近年各地で運用している「地域通貨」の様に、画一的な決まりを求めず地域で取り入れ安い形態とし、その運用は地域の主体性に任せることとし、既に運用している地域通貨と協働する事も可能である。本活動プロジェクトが地域で広がるためには、有力な事務局が必要であるが、事務局は地元の生活に密着している商工会や観光協会が主体となり、自治体がそれをサポートし地元の人材を育てることが望ましい。 特に最近は、地域の環境を大切に守ろうとするNPO組織が立ち上がっており、その方々が既存の組織と協力し合い、非常に良い関係を作り上げている。また、事務局に過大な負担を求める様なシステムは、活動を継続的に長く進めることが難しく、環境チケットの利用範囲も、最初は海や海に関係する物やサービスの利用に限定し、徐々に他の分野に広げた方が、海洋に対する意識高揚に役立つと思われる。海洋環境貢献活動プロジェクトが地方のメディアや新聞などで話題になり、工作教室以外にも、四季を通じて楽しめる海や海辺を活用したプログラムを開発することで、海に対する意識が高まり、継続的な活動につながると思われる。今後、3年間で構築してきた地域の拠点を大事に育て、更に周辺地域への活動の広がりを期待して、活動拠点地域間のネットワークを構築すると共に、お互いの情報交換を行うための連絡拠点作りを行い、海洋ゴミ問題解決のための海洋環境を守る社会活動システムの普及を図ることと致したい。4.2 「ゴミ問題に取り組む地域社会」―循環型の継続的活動を目指して―交流会議4.2.1 会議の開催日時、場所等1)開催日時: 平成17年 2月25日(金)9:45~17:102)主 催:(財)シップ・アンド・オーシャン財団 海洋政策研究所3)共 催: 日本財団4)後 援: 国土交通省、海上保安庁、環境省、水産庁、海守5)場 所: 日本財団ビル2 階大会議室 東京都港区赤坂1-2-24.2.2 趣旨・目的四面環海である日本は、海岸線の約57%が人々が親しみ愛する自然海岸であり、岩場や岩礁、崖、砂浜等で形作られた美しい景観を呈している。しかしながら、その海岸はゴミの放置、不法投棄、河川からの流入や漂着ゴミ等によりあらゆる種類のゴミが散乱し、自然景観を損ない、海を訪れた人々に失望感を与え、憩いの場を奪っている。そればかりか、海洋生態系や漁業資源等にも大きな影響を与えている。海洋ゴミ問題は、放置することができない重要な問題でありますが、その解決には多大な費用・労力・時間が必要であると共に、人々の海洋ゴミに対する意識の向上が必要とされている。(財)シップ・アンド・オーシャン財団では、競艇交付金による日本財団の支援を受けて、自治体、環境ボランテア、一般市民等、地域の人々が相互に協力しあい、四季を通した海岸の清掃活動を恒常的に続けるための活動システム(環境チケットを取り入れた地域社会活動と海洋環境教育を組み合わせた地域の海洋環境貢献活動プロジェクト)の調査研究を進めてきた。この度、上記プロジェクトに直接携わってきた地域の方々が一堂に会し、お互いの情報交換や活動のネットワーク作りについて討論を行い、地域におけるゴミ問題社会活動システムの構築を目指し討論を行う。交流会議発表メンバーこども地域通貨「タラ」の活動について:梅田敏文 女みなと会議「発見!酒田みなとの探検隊」:小山惠子 気仙沼エコポイント活動:佐々木正和新島の海洋環境貢献活動:前田宗佑 多屋区530運動、まるっとヘルシー多屋海岸:鯉江正雄 日間賀島「海の日イベント」:杉浦明巳加世田、枕崎市の海洋環境貢献活動:菊野憲一郎 来れば来るほど美しくなる宮古島の海辺:猪澤也寸志 九州・海ネットワーク(鹿屋、宇土、伊万里):下津公一郎4.2.3 開 会 寺島紘士 (SOF 海洋政策研究所所長)海洋政策研究所の所長をしております、寺島でございます。本日は、年度末に向けて大変お忙しいところ、また東京では珍しく、朝起きてみたら雪が積もっていたというような天候で、お寒い中、沢山の皆様方にお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。私ども、シップ・アンド・オーシャン財団は、3 年前になりますか、「人類と海洋との共生」ということを目指しまして、海洋政策研究所を設立致しました。海洋と沿岸域の総合管理と持続可能な開発、というようなことを目的としまして、政策研究をいたしております。その成果に基づきまして、社会に色々な提言をしたり、或いは、海洋白書やニューズレター、そういうものを発行し、更に社会にとって非常に重要だと思われるような、海洋関係の情報を提供するということをやっております。本日は、海洋ごみの問題を取り上げまして、地域社会がこの問題に、どうやって自発的かつ継続的に取り組んで行くのかということについて考えるために、このような会議を開催致しました。ごみ問題というのは、大変大きな問題であります。どうも、元を辿ると今日の経済、生活様式というのが、大量生産、大量消費、そしてその後に大量廃棄ということが付いてくる訳でございまして、そういう生活様式をいつまで続けているのか、というような問題を含んだ大きな問題であり、かつ、ひとりひとりに非常に密接に関係してくる問題でございます。御承知のように、日本は非常に細長い国でございまして、四面海に囲まれておりまして、海岸線が3 万5 千キロにも及ぶという国でございます。その美しい海岸が今、ごみの放置、或いは不法投棄、或いは河川からの流入、そして海からやって来る漂着ごみ、そういった事に悩まされております。こういうごみは、人間社会が排出する、そういうごみだけではなくて、山の手入れが悪いために、放置された木材が大雨のときに流されて海に出てくる。或いは海底から大量の海草が打ち上げられる。いろんな問題がございます。こういった海洋ごみの問題というのは、なんとかしなければいけない問題でございますけれども、なかなかその解決のためには大変な費用がかかる。或いは、労力と時間がかかります。夏の海水浴場なんか行きますと、非常にきれいなんですが、シーズンが終わって同じ所に行ってみると、大量のごみが散乱している、というようなこともよく見かけます。地元では、これを何とかしたいという風に思っておりますけれども、簡単に手が出せないというのが現状ではないかと思います。そこで、私たちの海洋政策研究所では、競艇交付金によります日本財団の御支援を受けまして、海洋ごみに悩まされている地域の皆さんが自分たちの問題として、このごみ問題にどう継続的に取り組んで行ったら良いかというような視点で、この3 年間研究をしてまいりました。その結果、こう言っていいかどうかあれですが、シップ・アンド・オーシャン・モデル、或いはSOF モデルというような活動モデルを開発してみました。それに基づいて、現在全国十数ヶ所で実際に取り組みが行われております。その取り組みにつきましては、今日お集まりの、全国各地からお集まりいただいた方々に、これから夕方までいろいろな発表をしていただくことになりますけれども、このSOF モデルと云いますのは、地域が一体となって、ごみ清掃活動を支援する手段ということで、環境チケットというような機能をそこに活用して、地域の善意といいますか、そういったものを環境チケットというような仕組みを通じて表すものです。もうひとつは、小中学校での環境教育と結びつける。そして、その手段として海洋工作教室、というようなものをやってみる、というようなのがエッセンスではないかと思うんです。言ってしまうと非常に簡単なんですけれども、なかなかノウハウ、結構なノウハウが要ります。そういうことで、地域の皆さんに非常に魅力的なものとして受け入れて頂いたのではないかというように思いますが、まだまだこれを、地域の実情に合わせてどういう風にやっていくのかという問題は、これからの問題でございます。ただ、私ども、この活動をやってみて感じましたことは、非常に地域の、この問題に対する関心が深い、強いということでございます。それだけ皆さん、言葉はあれですが、困っている、なんとかしなきゃいけないと思っている、ということではないかと思います。そう言う意味で、非常にごみ問題と言うのは重要な問題だなということを痛感している次第でございます。本日は、先程も司会のほうからお話しましたが、全国でやっている方々の中から、9 地域の方々に実際に、この会場にお集まり頂いております。こういう形で一同に会するのは初めての機会でございますけれども、どんな結論、姿勢感がそこから出るか、大変楽しみにして居るわけでございます。尚、本日は、最近皆さんも御存知だと思いますけれども、日本の海を守るために、海上保安庁と日本財団が音頭を取って、組織化致しました、そして今、全国で活動を始めております「海守」の活動についても、この海洋ごみの問題と非常に関係が深いということで、合わせてその情報を共有し、また今後の活動に参考にしていただくというようなことで、企画をしておりますので、どうぞ宜しくお願い申しあげます。以上、ちょっと長くなりましたが、開会にあたりまして、私の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。4.2.4 挨 拶 曽野綾子 (日本財団会長)日本財団の曽野綾子でございます。今日はありがとうございます。主催者、後援者、それから、個人としてもお集まりくださいまして、沢山の方々に、こう言う問題でご参加頂くことに対する感謝と尊敬の念を新たにいたしております。最初から自分のことを喋って、申し訳ないんですけど、私は戦前、一人娘で育ったので、みんなにさぞかし甘やかされて育ったんだろうと言われたんですけど、私は母に、徹底して「汚い物を掃除しろ」ということから仕込まれたんです。ですから、洗濯は自分の事は勿論。昔は洗濯機はございませんから、洗濯板というので、こうやって、お風呂の中で洗ったりしたんですけれども。その他に、台所のごみというのは、その頃はビニール袋ございませんから、捨てると下に受けるバケツがあるんですね。そのバケツが、夏なんかですと、2 日、3 日経つとイヤーな匂いがしてくるのを、母は全部それを所定の、門の外のまたごみ箱って、タールを塗った木箱があったんですけど、そこに捨てさせて、そこを全部洗って、なんか知らないんですけど、子供だから…。殺虫剤みたいな、父の吸ってた煙草を水に溶かした物だった気がするんですね。そういう物をかけて綺麗にしろということです。お手洗いの掃除と言うのは、小学校2、3 年からキッチリ言われました。私は、母にその時に、汚いものを綺麗に出来れば、怖いものは無いと教わったんです。ちょっとオーバーかも知れませんけど、なんとなく、その母の、母的田舎のおばさん的信条というのはよく分かるような気が致します。それから、こちらに伺いましてから、私はある意味でのわがままというか、ある意味での教育と言う意味で、この若い人々とか、それから中央官庁の若手の方、マスコミの方と一緒に「世界の最貧困を見る」という旅行を何年もいたして参りました。そして、アフリカが主な目的地なんでございますけれども、そこで「貧困とは何か」。簡単なんです、定義は。貧困とは、今日食べるものが無いことを言うんでございます。ですから、日本人にはひとりも、何と申しますか。貧困な人がいない訳でございます。それでアフリカに参りまして、まあ私は学者でもございませんし、小説書きで、極めて視覚的、視野の狭い、浅い人間なんでございますけれども、貧困はどういう形で見えるかと申しますと、私の子供の頃の、考えられておりました貧困と言うのは、物が無いことでございました。着る物が無い、食べる物

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