Proposal / Research

提言・研究成果
研究論文

テキストマイニングによる日本の海洋政策変遷の可視化

2023.08.01
公益財団法人笹川平和財団(理事長 角南篤)の海洋政策研究所に所属する朱夢瑶研究員らの研究グループは、複数の海洋関連白書における長年のテキストデータを教師なし機械学習により分類することで、日本における海洋政策の年次推移を網羅的に可視化するとともに、白書を発行する海洋関連機構の関心事の共通点や相違点を明らかにし、海洋政策検討に対するテキストマイニング手法の有効性を検証しました。

本研究の成果は、「Marine Policy」に7月10日付(日本時間)で掲載されました。
詳細は以下のリンクでご覧ください。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0308597X23002877

論文概要

本研究では、2007年‐2020年の水産白書(水産庁発行)、2008年‐2020年の環境白書(環境省発行)、2004年‐2020年の海洋白書(海洋政策研究所発行)を分析対象とし、KH CoderとRソフトウェアを用いて、各白書におけるトピックとその変遷を抽出・可視化しました。その結果、各白書から抽出されたトピックにはそれぞれ大きな違いが見られましたが、いずれも東日本大震災に対応したトピックが含まれていた。ほかにも、全ての白書でトピックの変遷が数年に1回起こっていた。水産白書と環境白書におけるトピックの変遷は関連の法改正を反映したものと考えられた。一方、海洋白書におけるトピックの変遷は世界的な海洋イニシアティブの展開と密接に関連していると見られた。さらに、水産庁、環境省、海洋政策研究所の関係者に専門家インタビューを実施し、本研究で得られた結果の妥当性について検証した。テキストマイニングにより各機関における政策の変遷を可視化することで、政策立案における各機関の方向性や役割の抽出が加速され、将来的な海洋政策の立案における科学的根拠の一つを提供できると考えられる。

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