海藻の種苗生産及び、陸上・海面栽培を通じた海藻の生産と販売

海藻で 海も人も すこやかに

(同)シーベジタブルは高知県安芸市を本社とし、スジアオノリの陸上栽培とその他海藻数種類の海面栽培を主軸とする水産会社。
陸上栽培は地下海水を使用し、特許取得済みの独自技術の施設を用い、海面栽培では自社ラボで生産した種苗を全国の漁業者と協力し栽培している。
また、栽培だけでなく、海藻の加工や商品開発にも力を入れており、「青のりしょうゆ」など独自商品の展開も行っている。
食害種などの影響で磯焼けが全国的に進んでいる中、種の存続が危ぶまれる海藻を採取し、培養、栽培することによって種を次世代に繋いでいくことができる。本社のある高知県では四万十川がかつてスジアオノリの主産地であったが、2020年には出荷量が0kgになり、同社が陸上栽培をすることによって同地域の生産を繋いでいる。

ウェブサイト：https://seaveges.com/

A. 持続的に管理されている海洋資源
海面や陸上で栽培された海藻が、天然藻場からの海藻採取に代わる供給源として市場に流通することで、過剰採取の圧力を軽減し、天然藻場の保全に貢献している可能性がある。天然海藻の採取の代替手段として生態系の重要な構成要素である藻場の持続的な管理と保護に間接的に寄与するだけでなく、海藻の海面栽培そのものが周辺海域の生物量の増加に貢献することが研究機関と連携した調査から定量的に示されており、生物多様性の維持や沿岸生態系の生産性向上に対するポジティブなインパクトが可視化されている。
 
B. きれいな海
海面栽培では、海水中のリンや窒素などの栄養塩が海藻に吸収されることで、水質浄化や富栄養化の抑制に寄与する可能性がある。これにより、赤潮のリスク軽減や海洋環境の健全性維持にもつながる自然ベースの対策として注目されている。
 
D. 1.5℃の実現
海藻の海面栽培では、海水中に溶存する炭素を海藻が光合成により吸収・固定し、その成長過程で一部が難分解性の粒子（デトリタスなど）として生成される。これらの粒子は沈降し、深海まで輸送されることで炭素が長期的に海中に固定されると考えられている。このプロセスは「ブルーカーボン（Blue Carbon）」として注目されており、気候変動緩和に貢献する自然由来の炭素吸収源としての可能性を持つ。
 
E. 気候変動に対してレジリエントな沿岸域コミュニティ
海藻採取・分類、藻類種苗生産、水質・栄養分析などを専門とする科学者が在籍し、さらに社外の海洋科学者とも連携することで、最新の科学的知見を事業開発や意思決定に直接反映している。全国的に藻場の消失が進む中、海藻種の保存と計画的な生産体制を確立することで、海藻を水産資源として安定的かつ持続可能に供給する基盤を強化している。
 
F. 社会経済へのポジティブな成果
女性従業員の割合が高く、また新入社員の賃金は、各地域の最低賃金と比較しても十分に競争力のある水準に設定されており、重要な業務やポジションにおいても公正かつ持続可能な雇用環境が実現されている。