閉鎖循環式陸上養殖システムの設計・開発・製造及び付帯サービスの開発と提供

海藻で 海も人も すこやかに

どこでもだれでも陸上養殖ができる仕組と文化をつくる。

(株)ARKは神奈川県平塚市に本社を持ち、湘南、ロンドン、沖縄などにも拠点を持つ閉鎖循環式陸上養殖システムの開発・販売を行う会社。ARKの養殖システムは、小規模かつ省エネで養殖事業を始めることができ、濾過機や自動給餌器が完備されていて、スマートフォンから遠隔で管理もできるようになっている。さらにモジュール式になっており、多連結することにて生産量を増やすこともできる。
ARKのシステムが浸透することにより、自律分散型の食生産が可能となり、食の安全保障や、輸送に関わるコストやGHG排出の削減につながる。また、陸上養殖への移行は養殖由来の海洋負荷を減らし、海を回復させることにもつながる。より幅広くシステムを活用できるよう、琉球大学と南方性魚類の陸上養殖の共同研究を行うなど、陸上養殖技術の開発や魚種の拡大にも取り組んでいる。

ウェブサイト：https://www.ark.inc/

A. 持続的に管理されている海洋資源
導入済みの19サイトのうち、2つのサイトでは、既存の国内天然水産物に代わる手段としての養殖生産の導入・検討が進められている。特に、小型の陸上閉鎖型養殖システムを実現することで、飲食店や小売店などのエンドユーザー自身が小規模ながら水産物を生産できる環境が整いつつある。これにより、エンドユーザーは自らのニーズに応じて、必要な種類・量・タイミング・場所での水産物生産が可能となり、サプライチェーン上の過剰供給や流通の偏りを抑えることで、フードロスの大幅な削減につながる可能性がある。この取り組みは、地産地消や持続可能な食料システムの実現にも寄与する革新的なアプローチである。
 
B. きれいな海
従来の海面養殖では、避けがたく漁具の摩耗による一次マイクロプラスチックの流出、設備の破損や荒天によるマクロプラスチックの流出、さらには水産生物の排泄物や残餌に起因する窒素・リンの流出といった環境負荷が生じる。また、海面では在来種以外の生物の養殖や、外来種が混入した餌の使用による生態系への影響も懸念される。これに対し、陸上閉鎖式養殖システムに転換することで、これらの物質的・生態的流出リスクを包括的に回避することが可能となり、より安全かつ環境負荷の少ない持続可能な水産業の実現につながる。
 
C. 豊かに保全・回復されている海洋生物生息域
現在進行中の藻類の陸上養殖の研究開発が成功すれば、天然海藻の採取に代わる持続可能な手段として活用でき、藻場の保全や海洋生態系の維持に貢献する可能性がある。
 
D. 1.5℃の実現
小型の陸上閉鎖型養殖を実現することで、飲食店や小売店などのエンドユーザー側による小規模な水産物の生産が可能となっている。これにより、水産物の輸送にかかるGHG排出が回避される。
 
E. 気候変動に対してレジリエントな沿岸域コミュニティ
天然水産資源の漁獲、海面養殖と比較では、気候変動の影響が不可避だが、陸上閉鎖循環型養殖では影響を回避して安定した生産が可能となる。また、対象種や管理方法によって生産速度が従来の陸上養殖と比較して1.5倍となり得る。