
アジアの事例から学ぶ、ジェンダー視点の起業家支援10年の教訓
過去10年で、アジアにおいて起業家支援が急速に拡大してきたが、女性主導の企業は依然として事業成長と資金調達の課題に直面している。笹川平和財団(SPF)とアスペン・ネットワーク・オブ・デベロップメント・アントレプレナーズ(ANDE)による本報告書では、ジェンダー視点を組み込んだアクセラレーター・プログラムが女性起業家に与える影響を検証する。
世界中で拡大を続けるジェンダー投資(GLI)とは、事業・運用成績だけでなく社会的・環境的成果の向上をも目指し、案件の
ジェンダー要素に重点を置いて投資判断を下すもので、リスク軽減や機会発掘またはその両方につながり得る投資手法です。
ジェンダー投資のエコシステム構築の一環として、カタリスト・アット・ラージ(Catalyst at Large)とサガナ(Sagana)と協力し、東アジアと東南アジアを対象とする公開市場および非公開市場におけるジェンダー投資商品の全容を俯瞰し、本市場の今後の成長や展開を追う際の基点となることを主眼として調査報告書「2019年ジェンダー投資概況調査:東アジア・東南アジア」を執筆しました。非公開市場のデータはウォートン・ソーシャルインパクト・イニシアチブ(Wharton Social Impact Initiative)とカタリスト・アット・ラージが2020年に出版した報告書「プロジェクトセージ3.0」(Project Sage 3.0)、公開市場のデータはベリス・ウェルス・パートナーズ(Veris Wealth Partners)が2019年に刊行した「公開市場の概観」(Public Market Scan)に基づき、これらの報告書から得た一次データを土台に20を超えるインタビューを実施しました。
運用中の投資商品でジェンダー視点を冠したものは公開・非公開市場を合わせると少なくとも計192本存在します。その運用資産時価額(AUM)総額は77億米ドルに上り、 2018年の48億米ドルから61%増となっています。ジェンダー投資の対象地域では北米が世界第1位となっており、公開・非公開市場のいずれにおいても北米に特化した投資商品数が最も多く、全体の41%に達しています。アジアを対象とするジェンダー投資はまだ緒に就いたばかりですが、急速な成長を続けています。アジアを対象とするジェンダー投資ファンドがこれまでに調達した資金は、非公開・公開市場合わせて累計13億米ドルに上り、また商品数は公開市場では世界第2位、非公開市場では第3位となっております。
Category | Special Report |
Year of Publication | 2020.07 |
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